http://sports.yahoo.co.jp/hl?c=worldsoccer&a=20071115-00000021-spnavi-socc
上の記事によれば、トッテナムの監督に就任したファンデ・ラモスがスペインからの補強を狙っているらしい。
名前が挙げられているのは、カシージャス、カヌーテ、ダニ・アウベス、シャビ、ビジャなど。
マドリーのカシージャスには4000万ユーロの移籍金と700万ユーロの年俸を用意しているとのこと。
これは極めて怪しい情報だと思う。
第一に、同じスペイン人とはいえ、ファンデ・ラモスとカシージャスに個人的な強いつながりがあるわけではなく、「教え子の選手が監督を慕っての移籍」といった図式ではなく、通常の移籍交渉になること。
この手の話題で選手の話を信用することは危険だとは思うが、
マドリー生え抜きであるカシージャスに移籍の意思があるとは考えづらく、これまで自発的に出ていきたいと示唆した発言はない。
また、カシージャスを移籍させることはレアルマドリードにとって不利益なことの方が多い。
この額では同等の力量、年齢のキーパーを買えないだろうということが大きい。
現在失点が際立って多いわけではないが、やはり彼のスーパーセーブに救われている面も多く、また、これからまだ何年にもわたってゴールを守ってくれるであろう若さも重要。
さらに、生え抜きキーパーの放出となれば、昨シーズンの優勝である程度の支持を得たと思われるカルデロン政権への風当たりが再び強まることは必至。
(”サン・イケル”とまで呼ばれる彼の放出の影響が「風当たり」程度で済むとは思わないというのが個人的印象。)
これらのことから、彼の移籍はないだろう、というのがワタシの推測。
それ以前にトッテナムには、ミスが時折出るとはいえ、実力が確かなロビンソンがいるので、獲得するとなれば第二GKが妥当だと思う。(彼は79年生まれと、年齢的にもGKとしてまだ一線を張れる)
トッテナムにとっても、わざわざロビンソンを放出、または控えに降格させてまで進める話ではないだろう。
両者ともに移籍の話は絶えず、特にアウベスはCLに毎シーズン出られるようなクラブへの移籍を願っているとされ、今オフではチェルシーへの移籍話が成立寸前まで進んだ。
記事にもあるように、セビージャ会長であるデル・ニドは、移籍交渉に関して一筋縄ではいかない人物。マドリーもセルヒオ・ラモスらの交渉では、結局彼の言い値に近い額でようやく獲得した過去がある。
が、逆にいえば、選手の売り時を見誤らないだろう人物であるということもできる。
良い額で売れば、安価で使える選手とまた契約できるという自信があるからだ。それは言うまでもなく選手獲得の名手と言っていいモンチがいるから。
よって、トッテナムが相応の額を積めば、彼らの移籍がクラブ間で成功する可能性はある。
ここで問題となってくるのが、ファンデ・ラモスのセビージャ退団の経緯だろう。
シーズンが始まったばかりの時期にトッテナムからのオファーに同意し、セビージャを出て行ってしまった監督の誘いに選手が乗るかどうか。
また上にも書いたように、アウベスはより上位のクラブへ移ることが移籍希望の真意なので、その点でもトッテナムは魅力に欠ける。
他に記事に挙げられた、シャビ、ビジャも、現状のファンデ・ラモスとトッテナムに魅力を感じるとは思いづらいし、相当の額を積まなければクラブ間交渉も成立しないだろう。
こうした選手をどんどん引き抜けるかというと、これまで書いてきたように不可能に近いというのが、率直な印象。
ただ、ファンデ・ラモスをセビージャ時代の数倍の年俸で誘ったわけだから、トッテナムがチームに大胆な変革を望んでいることは事実だろう。
そして、スペイン人の監督がコミュニケーションをとりやすいスペイン語を話せる選手を望むことは非常にありうること。
それを考えると、獲得するにしても、もう少し単価の安い選手を何人か(現在進行形で冬の獲得もあり得る)、というのが妥当だと思う。
トッテナムは13試合終わって勝ち点11(2勝6敗5分・23得点、24失点)と、調子が良くないので、冬に何人か獲得して立て直しを図りたいところだろう。そこでどういう動きを見せるかが見どころだと思う。