レアルマドリードのある生活

レアルマドリードの応援日記。試合中心にお送りします。

ケディラとヘセはどう使うべきか

代表戦の期間中、マドリーのプレーヤーに大きなけがはなく皆帰ってきた。

逆に長期離脱していたケディラが練習に復帰し、レバンテ戦では招集リスト入りとチームに完全復帰。更に昨シーズンのシャルケ戦で負傷していたヘセも間もなく練習に復帰予定と、メンバーが揃いつつある。今シーズンのマドリーはGK3人を含めて22人と登録人数が少なく、フィールドプレーヤーは全員をうまく使って行きたい状況で、彼らの復帰は嬉しいニュースだ。

今回は、考えうる彼らの起用法について簡単にまとめることにする。

ケディラ

マドリーは攻撃時に4-3-3、守備時に4-4-2の形を昨シーズンから継続している。

昨シーズン中盤でベストだったと言える3人はシャビ・アロンソモドリッチ、ディマリアで、守備時には底のシャビ・アロンソとインテリオールのモドリッチが守備時に中央に入り、ディマリアが左サイドへ出て右のベイルとともに2列目の4を作っていた。

今シーズンは底がクロースかイジャラメンディ、インテリオールにモドリッチとハメスかイスコという形が多いが、昨シーズン同様、底のプレーヤーとモドリッチが中央に残り、もう1枚のインテリオールがサイドに開いて守備陣形を作るのが基本。

この形をベースに考えていきたいが、まず、底は組み立てでパスを捌く必要があることから、非常に難しい。ケディラセンターバックの間に下りてパスを展開することに向いていないのは明らかだ。そんな彼が想像できるだろうか。パスを出す見方をしていないし、恐らくは精度に自信を持っていないので、パスを出すリズムがどうしても悪くなってしまう。

そうなると、インテリオールでモドリッチと組むのがより良いということになる。

ケディラが入るメリットは、高さのあるプレーヤーとマッチアップしやすくなる点と、ハメスやイスコに比べ守備面で計算が立つ点。

CL決勝ではゴディンに競り負け先制点を許す場面を作ってしまったが、彼に今のマドリーの他のプレーヤーにはない強みを見出すとすれば、高さと中盤での守備。

4-4-2になればサイドに開くことになるポジションで、不慣れではあろうが、イスコもそうしてサイドに入っていたことを考えれば、運動量を生かしてスペースを潰しボールを奪うことに集中すれば、ある程度はやれるだろう。

問題は攻撃面。彼をこのようにして起用すると、モドリッチへの負担が非常に大きくなってしまう。

モドリッチ1枚では相手の守備の狙いも定めやすく、ボールを前に運ぶのに苦労するようになるだろう。それでは前線の3枚に多くボールを供給できず、強力なアタッカーを生かせない。これは彼以外の攻撃的なプレーヤーをインテリオールに置くのに十分な理由だ。守備のバランスは重要だが、そのために攻撃が死んでしまっては何の意味もない。

厚みを増すためにケディラが前線に出て行っても、その後が悩ましい。ポジションに戻りきらなければならず、それが疎かになるようでは彼を起用するメリットを得られないからだ。

結局のところ、攻撃面での彼の取り扱いは難しいものとならざるを得ない。

そのため、先発でプレーするとすれば、インテリオールで高い位置にはあまり出ずシンプルにプレーし、守備時に広いスペースをカバーし得るよう準備しておく、というのがあり得るやり方になるだろう。

ただ、これでは攻撃が立ち行かないことも十分考えられる。その場合は、ベンチスタートで70分頃から出場し、試合を締める役割をこなしていく他ない。

守備のために自由な動きを制限されるかもしれないこと、途中出場が多くなるかもしれないことといった立場は、彼にとって受け入れがたいだろう。どうしてもチーム内の役割に満足できないのであれば、代役の確保を前提に1月に移籍することもやむを得ない。

現状ではそのくらい彼を起用できる許容範囲は狭い。

■ヘセ

ヘセのポジションは言うまでもなくウイング。ただし、現状どう考えてもロナウドを外すことは考えられず、まずはベイルとのポジションを争うことになるだろう。

今シーズンのベイルは、W杯がなくプレシーズンを最初から落ち着いて過ごせていたにも拘らず、目立たない時間帯が多い。リーガで7試合出場4得点3アシスト、CL2試合出場1得点1アシストというここまでの成績以上にぱっとしない印象で、彼が中心となった試合はここまでないと言ってもいいような状態。絶対的なプレーヤーとはなっていない。

ヘセが攻守ともに運動量を惜しまず、サイドの高い位置でも低い位置でもプレーに絡んでいければ、昨シーズンの負傷前同様先発の座を奪う可能性は現状では十分にあると考えている。負傷の影響がどこまで出るのかは実戦でプレーしてみないとわからない部分も多く、スピードは戻らないのではないかなどとも言われているが、中盤の守備陣形の一角を担いつつ、攻撃に転じれば高い位置まで一気に出て行く両面のプレーが求められるポジションなので、まず距離を走れれば重宝されるだろう。その上で速さが維持できているのであれば言うことはない。

ヘセに関して気になる点は、守備時にどこまでやってくれるか。

昨シーズンはかなり頑張っていた印象なのだが、長期離脱後で目に見える結果が欲しくなるのがプレーヤーの心情。ゴールを求めて前に居残ることが目立つようだと、彼を起用する意義は少なくなってしまう。

そのあたりはアンチェロッティのマネージメント次第だが、チームのために労を惜しまない意識でプレーを継続してくれれば、ベイルとの競争でチーム力は大きく増すだろう。

■最後に

最初に触れたように、今シーズンのチーム登録人数は少ない。

そのため、ケディラのように契約切れが近いプレーヤーが更新の合意に至ることがなくとも、ピッチに出さないというようなことはないだろう。もちろん、1月に移籍を求めるなど状況の変化があれば代役を確保することになるだろうが、少なくとも現状においてプレーヤーを飼い殺しにする意思はないし、そうしている余裕もないというのが正直なところ。

彼らの復帰でチームができることが増えてくれれば、より多くの選択肢を持つことができる。

できればあと1人くらいフィールドプレーヤーがいてくれれば良かったのだが、アンチェロッティのチーム掌握術の素晴らしさは昨シーズンで証明されているところ。全員をうまく使いながら、シーズンの最後に良い結果をもたらして欲しい。