レアルマドリードのある生活

レアルマドリードの応援日記。試合中心にお送りします。

アンチェロッティの500日

11月7日で、アンチェロッティがマドリーの監督に就任して500日となった。

この節目についてのABCの記事を簡単に。

今はコンチャ・エスピナでのバラとワインの日々だ。リスボンで10個目のビッグイヤーを掲げてから5か月半が過ぎたが、マドリーはクラブの歴史上最も成功した時期へ進む波の頂に上り続けている。

リーガでは単独首位に立ち、CLでは既に計算上グループを首位通過でき、コパは初戦を突破できる状況にある。そしてこれらは全てカルロ・アンチェロッティの手腕によるものだ。

このイタリア人監督がマドリーのベンチに座り始めてから500日が経過したが、彼は2013年6月13日にサンチャゴ・ベルナベウのパルコで約束したとおり素晴らしいチームを作り上げた。彼は「マドリーは素晴らしいフットボールをして勝たねばならない。」と言ったのだった。パリでの2年を経て、カルレットはフロレンティーノ・ペレスの強い希望叶えるため凱旋門からアルカラ門へとやってきた。「1年前、いつかあなた(アンチェロッティ)はマドリーの監督となるでしょうと言いましたが、その日がやってきました。私もあなたと同じように夢に満たされています。世界中の何百万人ものファンがをあなたのベストを期待しています。挑戦は今ここから始まるのです。」マドリーの会長であるペレスは、あの暑い夏の朝、スペインの首都でそう述べたのだった。

モウリーニョからアンチェロッティ

アンチェロッティは、頂点とどん底の上がり下がりだったモウリーニョとの3シーズンの後にバルデベバスに降り立った。モウリーニョはマドリーの歴史上最も華やかなリーガ優勝(’11~’12シーズンの勝ち点100、121得点)を成し遂げ、CL決勝トーナメントベスト16の壁を破ったが、その後には耕された土地ではなく荒れ野が残った。トロフィールームには11個のうち3つしか飾られていないのだ。この国では独特で変わらないスタイルのおかげで、苦悩に満ちた生が続くことに対する愛より退屈が勝る。”ピースメイカー”カルレットは追加の時間を得たのだ。

遅れたベイルの加入、エジルの不評の移籍とシャビ・アロンソの11月までの離脱は、アンチェロッティ時代の初めを難しくした3つの問題だった。シーズンの最初の4分の1に良い目標となったアトレティコバルセロナは、マドリーのアイデンティティーに数独パズルを生じさせ、カンプノウでのクラシコではセルヒオ・ラモスを中盤で起用することになった。しかし、カルロは落ち着いて確固としたままで、「鍵を見いだすだろう。私のプレーヤーにとても自信を持っている。」と述べたのだった。その通りだった。ヨーロッパでの良いパフォーマンス、シャビ・アロンソの復帰とディマリアのインテリオールへのポジション変更の成功によって、BBCを置いた有名な4-3-3が成果を挙げはじめたのだった。

■光と不確定要素

2月、マドリーは無失点でコパ決勝へ進出した。3月にはシャルケを下し(合計スコア9-2)CL準々決勝へ進出し、リーガでは首位を走るバルセロナアトレティコと6ポイント差につけていた。三冠の夢が数週間の間ベルナベウを包んだが、国内大会でのだらしない結末が偉業を阻んだ。そう、コパとデシマへの敬意によって、英雄たる栄誉と功績を獲得したのだ。ジダンボレーシュートがあったグラスゴーでの素晴らしいパフォーマンスから12年経っていたが、アンチェロッティはデシマ達成まで9か月しか必要としなかった。

カルレットがマドリーのベンチに座る2シーズン目は、50日に満たない間に0から100まで動いた。夏にはオフィスで習慣が破られた。今シーズンの大きな契約であるハメスとクロースは7月半ばに公式発表となり、夏の移籍市場の終わりにはディマリアとシャビ・アロンソの移籍でマドリーが暗い舞台となってしまった。この2人の予期せぬ移籍とスーペルコパでのアトレティコに対する敗戦、リーガの悪いスタート(9ポイントのうち3ポイントしか勝ち点を取れなかった)によって、セビージャを下したヨーロッパスーパーカップの優勝の成果は小さく見えることとなった。前任者であるモウリーニョが36か月かかって獲得したのと同じタイトルをアンチェロッティは12か月で勝ち取ったが、それでも十分ではなかったのだ。

アンチェロッティは神経質さに対する盾を取り、「今年もマドリーにとって適切な解決策を見いだす。」と希望のメッセージを再び発した。有言実行だった。1か月半のうちに、CLとコパは年明けまで心配する必要をなくす結果を得ながら、リーガの首位と6ポイント差とした。さて、結果がよければ印象は素晴らしいものとなる。クロース、モドリッチ、イスコとハメスがいる4-4-2のシステムは3日ごとに開催される”講習会”の様相であり、ロナウドとキャリアの中で一番いい時期を過ごしているベンゼマは世界のフットボールファンの心を捉えた。アンチェロッティのマドリー2.0は今世紀になって誰も出来ていないようなプレーをしている。このままいけば、6週間後にはCWCのカップを掲げているだろう。そうなれば、アンチェロッティがベンチに座ってから、6つのうち4つのタイトルとなる。

・・・・・・・・・・・・・・・

記事ではモウリーニョとタイトル数の比較がされているが、モウリーニョの作った土台があってこそ今のアンチェロッティのマドリーがある。

かつてアンチェロッティが監督候補として名前が挙がった頃は、マドリー全体が大きく揺れ動いていた時期で、基礎となるものがしっかりしていなかったため、個人的にははっきりとした形を持った別の監督の方が良いと考えていた。

モウリーニョはチームの内外に問題を残していったものの、チームに実力の疑いはなく、守備への意識、速い攻撃といった土台も失われることなく遺された。アンチェロッティの柔軟なやり方で、その上に建物を建てていくことができたのだから、この2人の監督の組み合わせ、引き継がれ方はベストだった。

アンチェロッティは最初の夏から、ギリギリまでチームを確定できないままにシーズンをスタートさせたにも関わらず、シーズン中に解決策を見い出し、チームを完成させてコパ優勝と念願のデシマを達成した。

現有戦力をうまく使って形を作るのがアンチェロッティの長所で、ミランやPSGといったクラブでもそれは証明されてきたが、今シーズンもマドリーで遺憾なく発揮されている。

結果はもちろん、プレーの内容、チームの雰囲気を作る点から言っても、長期に渡って監督を務めてほしいところ。

今シーズン、この短期間に解決の糸口を見出しチームの能力を引き出していながら、まだ良くなるという期待感が彼のチームにはある。

目指す目標は高いが、今後が楽しみだ。