レアルマドリードのある生活

レアルマドリードの応援日記。試合中心にお送りします。

CWC準決勝 vクルス・アスル

マドリーは大会がこの形になってから初めての出場。準決勝からの登場となる。

当初のスタジアムは雨で芝の状態が悪く、マラケシュへ移動しての開催となった。

■マドリーの先発メンバー

GK:カシージャス

DF:カルバハル、ペペ、セルヒオ・ラモス、マルセロ

MF:ベイル、イジャラメンディ、クロース、イスコ

FW:ベンゼマロナウド

64分:セルヒオ・ラモス→バラン、73分:クロース→ケディラ、76分:イスコ→ヘセ

少しメンバーを落とす可能性もあったが、アンチェロッティは主力組11人を並べた。

クルス・アスルの先発メンバー

GK:コロナ

DF:フローレス、ドミンゲス、マサ、ピント

MF:トラード、ベルナルデッジョ;ロハス、フォルミカ、ヒメネス

FW:パボーネ

65分:ヒメネス→ファビアン、パボーネ→バレラ、76分:ロハス→バラデス

メキシコシティのクラブ。パボーネはベティスでプレーしており、マドリーとの対戦経験がある。

サイドバック躍動

マドリーはメンバーをいじらず、考え方はここ最近と同じ。

ボールを持った時はイジャラメンディとクロースの他にイスコが絞ってきて中央のポゼッションの安定を助け、その分左サイドはマルセロがカバーする。クルス・アスルはパボーネとフォルミカが横並びになってイジャラメンディとクロースを見ていたので、彼らが自由にならない時はイスコが顔を出してリズムを作っていた。

右サイドのベイルはサイドにいるというよりは中央に入っていることが多く、右サイドも左同様サイドバックのカルバハルが受け持つことが多かった。中央の3人とセンターバックでボールを動かし、サイドバックでサイドを使って前線と連動していく流れ。

クルス・アスルはマドリーが押し込めばパボーネを残して4-5でブロックを作っていたが、マドリーの後方のパス回しが落ち着いていない状況では人数をかけて前から追うこともしていた。このプレスがかかった時は当然マドリーの両サイドバックも最終ラインで対応。人数は足りているが、繋ぐことに固執している感もあって、手数を多くかけすぎていた印象。

そのため、クルス・アスルのやり方は半分成功していたと言える。スコアレスのまま時間が過ぎてジリジリするのはマドリーの方だし、自分から手数をかけてくれればプレスから戻る時の時間も稼げ、リトリートして守ることもしやすい。これをうまく続けていってセットプレーなどでチャンスを作れれば彼らにとって面白い展開になりそうだった。

マドリーは割と自由になっていた両サイドバックが攻撃面で良いプレーをしたことでサイドで優位に。クルス・アスルの中盤が彼らをしっかりケアしないのを良いことに、スペースを得て仕掛けることができていた。

先制はカルバハルのプレーで得たフリーキックから。クロースのボールにセルヒオ・ラモスが頭で合わせた。クロースはセットプレーで安定して良いボールを供給している。

クルス・アスルにとっては飛び出したコロナがボールに触れずその後ろに入ってきたセルヒオ・ラモスに決められる、不運な失点。力の差はあれど、うまく試合を作れそうな雰囲気があっただけに、15分で失点してしまったのはもったいなかった。

2点目もカルバハルから。

36分、相手の股を抜いて右サイドをえぐり、ふわりとしたクロス。落下点にベンゼマが飛び込んで決めた。

カルバハルのドリブルもさることながら、緩いボールを選択したクロスのセンスが素晴らしい。アルメリア戦でも突破からマイナスのクロスでロナウドのゴールをアシストしており、好調な様子。突破までは良くてもクロスがいまいち良いボールになっていない最近のマルセロに比べ、カルバハルは期待できるボールを蹴ることが出来ている。

ベンゼマはまたもゴールを挙げた。相手のパスミスを奪ってのチャンスではシュートが枠外に飛びもったいないことをしたが、この場面では良いところに入っていった。

中盤に降りていってのプレーやポストプレーは相変わらず素晴らしく、その上継続してゴールを挙げられていて頼もしい。シーズン終盤の大事な時期にも同様の活躍をしてくれることを強く期待する。

39分、パボーネのエリア内でのポストプレーから反転しようとしたところ、セルヒオ・ラモスが手をかけてしまいペナルティ。手が出てしまったところでセルヒオ・ラモスの負け。パボーネに対してクロスが多く入る展開ではなかったが、ここぞというところで良いパスを受けて仕事をした。

ところが、トラードのペナルティをカシージャスがセーブ。トラードのシュートもコースが甘かったが、アルメリア戦同様に当然のごとく止めてしまった。最近はそれほど仕事が多くなく、良くも悪くも話題が少なかったカシージャスがここにきて2試合連続で大きなプレー。試合が決まったところではなく、アルメリア戦では同点となる場面、この試合ではクルス・アスルに勇気を取り戻させるような1点差となる場面で、価値は高い。

後半に入って50分、イスコがボールを奪いベンゼマへ。ばたついたがこれを収め、左サイドのロナウドへスルーパスロナウドのクロスにベイルが頭で合わせ、3-0として試合の行方は決まり。

マドリーはカードを貰っていたセルヒオ・ラモスをバランに替え、クロースをケディラ、72分にダメ押しの4点目を決めたイスコをヘセと主力を休ませる余裕を持って試合を進め結局無失点のまま4-0と勝利した。

■ベイルはどこに?

上に書いた通り、ベイルは右サイドに張り付くというより、マイボールの時は早めに中へ入ってロナウドベンゼマと近い距離にいることが多かった。

それで、中央で降りてきてボールを引き出すようなプレーがあったかというとそうした動きはなく、ボールを待つことがほとんど。組み立てへの貢献はなかったといっても言い過ぎではない。確かに彼はゴールを決めた。ではその他の時間はどこにいたのか?

アルメリア戦の記事でも書いたように、今の彼のプレーは仕事の幅が狭く、極端に言ってゴールを決めるだけのプレーヤーになってしまっている。もちろん得点を挙げられるのは重要なことだが、彼のポジションはそれだけに特化して良いところではない。

サイドでのドリブルも悪くはないが、ディフェンスはまずスピードで抜かれるを警戒するので、距離を取って守ろうとするので、一定距離ボールを進めることはそう難しいことではない。アタッキングサードの狭いところで待ち構える相手を崩すプレーをもっと成功させて欲しい。昨シーズンのCLシャルケ戦で見せたようなエリア付近での突破は、このところ見られていない。

前に残りがちになることで起こる守備面での問題もアルメリア戦の記事で書いた通り。ロナウドをサイドの守備から解放しつつ残ったメンバーでバランスの良い守備陣形を作ることが、今のマドリーの4-4-2の目的の1つであるから、4-4のブロックを作る一員である右サイドのプレーヤーはきちんと戻って守備参加することが求められる。カウンターに備えてばかりではいられない。

守備参加が遅れる現状は、アンチェロッティが理想とするところとは離れているように思われる。

このように、ベイルのプレーへの参加の度合いは攻守ともに低くなっている。

率直に言って、現状右サイドでプレーしうるのは彼しかいないが、ハメスやヘセがコンディションを取り戻してきた際はどんどん競わせた方が良い。攻守様々な局面で顔を出してくれるプレーヤーがピッチにいるべきだ。チームメイトとの競争の中で、ベイルにもそうしたプレーを求めたい。

■イジャラメンディ

モドリッチの負傷以降出場機会を得ているイジャラメンディは、シンプルにボールを動かすプレーと、マドリーの他のプレーヤーよりこのポジションでの守備的な役割に長けている点で違いを作っている。

彼は攻撃面で強い特長があるわけではないが、それゆえにパートナーの長所を引き出すべく役割を変えることができている。

今の定番である彼とクロースとの組み合わせでは、イジャラメンディを残してクロースが前に出て行く傾向になってきており、クロースがエリア付近でこぼれ球を拾ってシュートを狙えるような場面がこのところ増えてきている。

また、クロースはロングパスの精度が高く、彼のパスで効果的なサイドチェンジが狙えるので、組み立ての際は良いタイミングで彼に預けて攻撃を展開している。

この試合では後半にクロースとケディラが交代したが、パートナーがケディラとなると、イジャラメンディがパスを捌く側に回る。

彼がボールを動かしてリズムを作ることで、ケディラは苦手な組み立ての役割を多く担わずに済むようになる。ケディラが出場した時間帯はすでにおおよそ勝負がついており、中盤の緊張感がそこまで高くなかったこともあるが、イジャラメンディの役割の変化によってケディラは自由を得ていた。

イジャラメンディより守備的なプレーを厭わないプレーヤーはマドリーの中盤におらず、クロースがパスの能力を残しながら守備の役割を担えるよう進歩しているところで、イジャラメンディがマドリーの中盤の守備にもたらすメリットは大きい。その上で彼がパートナーをはじめ周囲にうまく合わせてプレーできることは、非常に大きなプラスの材料だ。彼がいることで組み合わせの選択肢を増やすことに繋がる。

アンチェロッティはクロースを低いポジションでのプレーに耐えうるよう起用を継続しながら改善を図っており、、モドリッチが復帰してくればモドリッチとクロースの組み合わせがファーストチョイスになるだろう。だが、守備面を考慮しながら誰と組み合わせてもプレーを合わせることのできるイジャラメンディが貴重な戦力になることは間違いない。

■勝って年越しを

準決勝のもう一方はサン・ロレンソが勝利。決勝はヨーロッパと南米の対戦となった。

決勝に勝利し、連勝記録を伸ばしてタイトルを獲得し、2014年を気分良く終えたい。

短いながらも年末年始の休暇を挟み、1月は最初からバレンシアとアウェイで対戦となる。連勝や休暇でチームが緩まなければ良いのだが。

バレンシアのようなクラスのクラブとの対戦は11月のリバプール戦以来。連勝中こうしたクラブとの対戦はほとんどなかったということなので、年明け早々大きなテストが待っているようなもの。

2014年をすっきり終えて、ほど良い緊張感で2015年を迎えたい。