レアルマドリードのある生活

レアルマドリードの応援日記。試合中心にお送りします。

リーガ・エスパニョーラ第26節 vアスレティック

今節の敗戦で首位の座をバルセロナに譲ることとなった。だが、それよりもこの時期にこの程度の内容なのが気になるところ。

■マドリーの先発メンバー

GK:カシージャス

DF:カルバハル、バラン、ペペ、マルセロ

MF:ベイル、イジャラメンディ、クロース、イスコ

FW:ベンゼマロナウド

71分:イジャラメンディ→ヘセ、76分:クロース→ルーカス・シウバ、80分:ベンゼマチチャリート

CLも意識してかイジャラメンディが先発。

アスレティックの先発メンバー

GK:イライソス

DF:デ・マルコス、エチェイタ、グルペギ、バレンシア

MF:イラオラ、エチェバリア、ミケル・リコ、ウィリアムス

FW:ムニアイン、アドゥリス

64分:ムニアイン→スサエタ、74分:ウィリアムス→ギジェルモ、89分:ミケル・リコ→トケーロ

コパでは決勝に進んだアスレティック。新しくなってもサン・マメスは要塞のまま。

■早く、あるべき姿へ

前半のマドリーは狙いが分からないプレーに終始。形としては4-3-3と4-4-2の変形だが、きちんとリトリートしてロングカウンターを狙うわけでも、高い位置で早く奪ってショートカウンターを狙うわけでもなく、何となく守るだけで、攻撃に繋げるための主体的な守りは見られず。

ベイルの戻りが遅いのは今に始まったことではなく、4-4の形に入ろうとするだけでも少し前よりはずっと良いのだが、彼を含めた中盤がルーズで、アスレティックの面々は容易に前を向いて攻撃を作っていた。

そんな中、ペペはさすがの対応。バランもペペとの組み合わせでは大きなミスはなく、彼らの対人能力のおかげで守備はかなり救われている。

中盤の守備が機能しないマドリーは、低い位置でボールを奪うことに。良い時はそこからベンゼマに当ててロナウドとベイルを生かす速攻に繋げることができるのだが、このところ攻撃のスピードが一向にあがらない。

スピードが上がらないのはその後の展開でも同じ。左に寄せてクロースのサイドチェンジはお馴染みの形だが、スペースが比較的ある右でもゆっくりの攻めばかり。左利きのベイルが縦に行くことがまた少なくなってきているし、カットインからシュートやラストパスを狙うようなプレーもなく下げるだけになって、アスレティックの守備の中へ入れずに終わることがほとんど。

アトレティコビジャレアルと同様、アスレティックも4-4-2でバランスよく守っており、遅い攻めとならざるを得ないマドリーはその守備組織のバランスを乱すことが出来ていない。サイドが怖くなければ相手の守備は中央を固める意識でいれば良く、両サイドを生かせず雑なクロスに終わることが多いで、中央も苦しくなる悪循環に陥っている。

良い形を作るためには、どこかで誰かが走らなければならない。

どの場面でも走らずにチャンスを作ることはできない。マドリーはボールを奪うところ、速攻に出て行くところ、狭い局面を打開するところなど、ここというところで全く走れておらず、ゆっくりと守りゆっくりと攻めている。

マドリーのようなクラブであっても、これで良い内容の試合になることを期待するのは虫が良すぎるというもの。

例えば、アンチェロッティは少ないタッチでのプレーをしなければいけないと述べているが、プレーヤーが棒立ちのままでワンタッチやツータッチでボールを動かすことはできない。出してからパスコースを作り、受けて捌いてまたコースを作るの繰り返しがあって少ないタッチのプレーが可能になる。

ボールが来るのを待っているプレーヤーが何人もいては、そうした軽やかな攻撃の形は作れない。

チーム全体としてコンディションが低下しているのは明らかで、状態が良いプレーヤーを探す方が難しい。

ここまでコンディションが悪くなった理由はよく分からないが、W杯明けのシーズンであることの影響は間違いなく、CWCや中東でのミラン戦など、ヨーロッパから出ての試合があったことも状況を悪化させたかもしれない。

ただでさえ少人数で主力の損耗は激しいし、こうした遠征で慣れない土地に行くことが増えれば帯同するメンバー全体の精神的な負担も増す。昨シーズンに比べ、こうしたことでジワジワとダメージを受けたことは否めない。

救いがあるとすれば、後半に立ち直りを見せたこと。

ビハインドを負っても走れないままであればこのまま沈み行くだけだが、ハーフタイムを経て攻撃の圧力を増せるだけの運動量を取り戻せたことは、肉体的にも精神的にも改善できる可能性があることを示している。

この1つの試合に限って言えば、見るべきところがないような状態の前半を過ごしたことで勝ち点3が遠のいたことは間違いなく、ハーフタイムにアンチェロッティに言われてから立ち直ったのでは遅い。誰にも言わなくとも、彼らは自ら相応のプレーをすべきプレーヤーだ。

しかしながら、これからのシーズンを考えればまだ挽回の余地はある。ハーフタイムで改善できたのだから、アンチェロッティによるチームのマネージメントも問題とはならないだろうし、後半にやれたことを90分の最初からできるようになれば、ずっと良い内容で結果を得られる。

チーム全体にあったかもしれない慢心も、この2試合で勝ち点を5も落とし首位の座を奪われたことで、吹き飛んでくれれば。

やるべきことをやらなければこうなる、という試合は今年何度も見た。幸い、立ち返るべきところははっきりしているし、未知の領域でもない。これらの辛い経験を踏み台に、あるべき姿へと可能な限り早く戻ってほしい。

今はそれより他に言うべきことはない。