レアルマドリードのある生活

レアルマドリードの応援日記。試合中心にお送りします。

リーガ・エスパニョーラ第31節 vエイバル

CLを控えた週末のリーガ。アンチェロッティはここに来て大規模なローテーションを敢行した。

■マドリーの先発メンバー

GK:ケイラー・ナバス

DF:アルベロア、バラン、セルヒオ・ラモス、マルセロ

MF:イジャラメンディ;モドリッチ、イスコ

FW:ヘセ、チチャリートロナウド

61分:モドリッチ→ルーカス・シウバ、64分:セルヒオ・ラモス→ぺぺ、マルセロ→ナチョ

ケイラー・ナバスの先発は事前の報道通り。それに加え、イジャラメンディ、ヘセ、チチャリートが先発となった。

■エイバルの先発メンバー

GK:イルレタ

DF:リージョ、アニバロ、ナバス、ディダク

MF:ボルハ、ダニ・ガルシア;カパ、サウール・ベルホン、ララ

FW:マヌ・デル・モラル

46分:サウール・ベルホン→アルアバレーナ、66分:マヌ・デル・モラル→ピオバッカーリ、77分:ダニ・ガルシア→ボアテング

残留に向けて奮闘するエイバル。降格圏との勝ち点差は少なく、1、2試合で大きく動く状況。

ベンゼマ不在でも

アトレティコ戦を控え大胆なローテーション策を取ったアンチェロッティ

その中で最も大きなポイントは、ベンゼマを先発起用しなかったこと。

チチャリートはこれまで僅かな出場時間しか与えられていないが、最終ラインと勝負するタイプの彼は、下がってボールを受けて周囲を生かすベンゼマがいることを前提とした今のマドリーでは、なかなか仕事がしづらい状況があった。

相手のラインの間で受けてパスを供給する役割を誰が行うか。

チチャリートが得意なプレーをせず、ベンゼマ的9番の役割をこなすようにする、というのは1つの解決策。実際、この試合ではボールを受けようというプレーが何度もあり、チームの形に自分を合わせようとする彼の献身が見られた。

もう1つの解決策は、ベンゼマがいる時は彼が良く使うスペースを、中盤のプレーヤーが積極的に利用すること。

この試合ではモドリッチとイスコがインテリオールとして先発したが、彼らはどちらもボールを運べるタイプ。下がって待ち受けるエイバルの2列目の前から、ドリブルで最終ラインとの間にボールを進めることができていた。

ベンゼマがいれば、中央のライン間は彼の居場所。そこが空く分、彼ら2人が積極的にスペースに入ってトップ下的な役割を担っていた。

これを下支えしたのはイジャラメンディの守備。

彼の守備は安定しており、エイバルの攻撃の目をことごとく摘んでいた。彼がいることで、前のモドリッチとイスコは後ろを心配することなく高い位置に入っていけていた。

エイバルは全員が自陣に下がってブロックを作る形。

奪って速攻を狙うが、イジャラメンディとセンターバックの2人に潰され、前線で基点を作ることができない。マドリーの守備陣は可能性の低いプレーを強いることができており、特に前半は良い形で速攻を作らせることをほとんどしなかった。エイバルのシュートは結局2本のみで、マドリーのボール支配率は70%。エイバルがゴールに迫る前に攻撃をつぶし、しっかりボールを持って攻められていたことがわかる。

気になったのはサイドの使い方。

イジャラメンディとセンターバックが磐石だったので、サイドバックはかなり自由に高い位置を取っていたが、彼らをすぐに使わず、ひと手間加えてからパスを出すことで、可能性の高いクロスが何本も入っていた。

チームの調子が上がらない時期は、良くも悪くもシンプルに使い、シンプルにクロスが入ることがしばしばあり、得点の可能性を感じないサイド攻撃に終始することが多かった。

ボールを延々と持てる試合だったからとはいえ、それに比べるとこの試合のサイド攻撃は見ていて期待が持てるものだった。

特にアルベロアの上がりはタイミングが良く、2点目となるチチャリートのゴールをアシストする結果も出し、好印象。

■理想どおりの得点経過

マドリーの先制は21分。

正面ながら遠い位置からのフリーキック。ベイルが不在なので自動的にロナウドが蹴ることになるが、枠に入れることを意識したシュート。彼にとっては”優しい”威力のシュートだったものの、壁を越えてくるボールに対処しようと先に動いたイルレタの逆を取り、ゴール。

蹴れども蹴れどもゴールに結びつかなかったロナウドフリーキックが久々に決まった。

31分には先述の通りアルベロアのクロスにチチャリートが合わせ、久々のゴール。チームにとってはもちろん重要な追加点であるが、それと同時に彼自身にとっても嬉しいゴール。久々の先発で結果を出した。

苦労することも考えられた試合で、前半のうちに2点リードと、願ってもない試合展開。

リード後もマドリーはボールを支配。マルセロが自由に振舞ってシュートを狙うなど、終始攻撃のムードだった。

こちらも久々の先発となったケイラー・ナバスにはプレー機会が少なく、彼らしい仕事はほとんど見られず。チームの守りがきちんとできていた証ではあるが、彼自身にとっては物足りない状況だったかもしれない。

もう1人、先発のチャンスとなったヘセは、前半存在感があまりなし。

右サイドではアルベロアをうまくつかっていた場面もあるが、彼らしいプレーを継続的にはできていない。左サイドでアイソレーション状態になり、1対1を仕掛けた場面では、抜きにかからず迷ってリズムを乱しボールを失ってしまっていた。

以前の彼であれば自信満々に仕掛けていたところで、行こうか迷っているところに、復帰したとはいえ負傷の影響を感じてしまう。身体的には治ったが、以前のように相対するディフェンダーをスピードではがせないと思ってしまっているように見える。こうした精神的な部分の回復、今の体ではこう動けるとか、こう動けば良いといったようなことを把握し、継続して実践できるようになるまでには、まだまだ時間がかかるかもしれない。

83分のゴールは、ドリブルで相手をかわし、落ち着いてファーへシュートを決めた彼らしいプレー。瞬間的なスピードを生かした突破、ゴール前での冷静さと、一連のプレーの中に彼の良い時の印象が見て取れた。こうしたプレーと結果を積み重ねていくことで精神的にも元のレベルに戻り、ようやく完治したと言えるのだろう。

今後に期待が持てる目に見える結果を出してくれたことは嬉しい。90分全体の出来としては率直に言って良くないが、彼にはもうしばらく時間をあげたい。期待をこめて待っていたいと思う。

アトレティコ戦へ

交代が遅いアンチェロッティも、前半のうちに2点リードし磐石な試合展開だったことで、64分までに交代枠3つ全てを使った。モドリッチ、マルセロ、セルヒオ・ラモスと主力組を下げ、負傷から復帰してきたペペをテストする、恐らくプラン通りの交代。

CLで先発する可能性があるプレーヤーでフル出場となったのはロナウドとイスコだが、ロナウドは滅多に途中交替とならないし、それでも先発すると思われる。

この試合のローテーションの趣旨を考えれば、フル出場となったイスコはCLではベンチとなるのではないだろうか。その場合はハメスが先発となる。ハメスの復帰で、こうしたやり繰りが考えられるようになった。

先述の通り、マドリーはエイバルに2本のシュートしか許さず、余裕のある勝利。先発を休ませ、プラン通りに交代を行った上で勝ち点3を得た。

こうした試合をものにできたことで、チーム状態が上向いていることを感じる。

アトレティコとの試合は全く楽観できないが、落ち着いてやれれば前回対戦時のようなことにはならないはず。負傷者が復帰してきて、それに伴い結果がついてきた良い状態で挑める。

アトレティコ相手にもそろそろ良い結果を出してほしい。