レアルマドリードのある生活

レアルマドリードの応援日記。試合中心にお送りします。

セルヒオ・ラモス騒動は収束へ向かう

契約延長交渉が暗礁に乗り上げたことに端を発し、移籍騒動になっていたセルヒオ・ラモスの将来はようやく落ち着きそうだ。

中国でプレシーズンを過ごしているチームにペレス会長が合流、ホセ・アンヘル・サンチェスGM、セルヒオ・ラモス代理人レネ・ラモスとともに会談を行い、残留と契約延長に向けて大きく前進したと報じられている。以下、記事の内容について簡単に。

会談の中でラモス側は、クラブからプレーヤーや代理人について悪い印象を与えるニュースがリークされたことについて怒っていると伝え、会長とGMはその説明を受け入れたという。また、契約延長するかどうかは経済的な面によるものではなく、特別な額の年俸を要求したことはない、マドリーで引退することが望みだと強調し、ここ数年カシージャスが受けたような扱いを受けたくはないと伝えた。

マドリーから離れた場所で契約延長交渉が進展するかどうかは微妙で、マドリーに帰ってから落ち着いて交渉を再開すると思われ、鍵となる年俸については、彼の貢献が評価された形となることを望んでいるが、報じられてきた1000万ユーロについては必ずしもこだわるつもりはなく、乗り越えられない壁とはならなくなっている。

ペレス会長はこの数週間雪だるま式に大きくなっていたこの問題を取り除くことに集中しており、今回の中国行きもコントロールできなくなりかけていた状況を落ち着かせることが目的だった。

会見を終え、会長はただの憤りだったものが大きな問題となったことを理解した。公には、セルヒオ・ラモスが残留するだろうという立場を崩していなかったが、カシージャスに加えセルヒオ・ラモスまでクラブを去るのではないかという大衆の疑念により、ペレス会長にとって、そしてクラブのリーダーシップが失われるという点で重い代償を支払うことになった。

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今回の件は、契約延長交渉が頓挫したところに、ユナイテッドが登場したことで一気に複雑化した。

セルヒオ・ラモス側も当初からそこまで退団に傾いていたわけではないと思われるが、経済面では過剰ともいえるオファーを用意するなどと盛んに報じられ、デヘアと絡めて交渉するのではとの憶測も手伝って、一気に現実味のある話として取り上げられるようになった。

ユナイテッドがどこまで本気で獲得を目指したかは定かでないが、少なくともデヘアの問題で主導権を取られたくなかったことは確かで、セルヒオ・ラモスにちょっかいを出して揺り戻しを図ったのだろうと思われる。

大きなオファーを出してみて、契約できてしまえば良いし、そうでなくてもデヘアについて多少なりとも優位に立つことはできる。「セルヒオ・ラモスを出すリスクを負うくらいなら、言い値の4000万ユーロで手を打つ」となるかもしれないからだ。

ペレス会長にとって、このユナイテッドの動きは予想外だった。

イメージに反しマドリーは年俸にはシビアで、シティやPSGのように巨額の年俸を出すことはできないし、していない。そのため、最後まで揉めれば移籍させることも選択肢にはあっただろう。だがそれは最後の手段で、記事の中にあったように、リーク等による情報の操作でクラブにとって優位な落としどころを見つけるのが第一。ある意味でセルヒオ・ラモスのマドリディスモに甘え、イメージの悪化を恐れほどほどのところで妥結できるだろうと思っていた節がある。

そこに、現実味のある移籍先が出てきたことで、危機感が出てきたというところだろう。わざわざ中国まで出向いて和解の道を作った。

万が一の移籍もやむなしとのアンケートもあったことから、ペレス会長のイメージ戦略は半分は成功した。

しかし、クラブのカピタンを続けて失う危機を迎えたことの意味合いは大きい。アンチェロッティの解任で、ただでさえペレス会長の方針に疑問符がついている中で、ある程度やむを得ないと思われたカシージャスに続き、問題のなかったはずのセルヒオ・ラモスまで、となれば、スポーツ面をあまりにも軽視していると多くのマドリディスタに捉えられるだろう。

そうなれば、過去にもあったように、ベルナベウがチームのプレーを支え応援する場ではなく、ペレス会長を糾弾する政治的な場となってしまうこともあり得る。そんな状況でチームが落ち着いて成績を伸ばすことは不可能だ。

残留と契約延長という望ましい形での決着ではあるが、ペレス会長に大きな教訓を与えた形で、マドリーの新しい第一カピタンを巡る騒動は終わりを迎えようとしている。