レアルマドリードのある生活

レアルマドリードの応援日記。試合中心にお送りします。

2連続引き分け、問題点を整理する

マドリーはミッドウィークの第5節ビジャレアル戦を1-1、週末の第6節ラスパルマス戦を2-2で終え、2試合連続の引き分けとなった。

長いシーズンなのだし、2試合連続引き分けくらいは十分にありえることで、ここぞとばかりに否定的な話題が様々に掘り起こされるのは大げさに過ぎる部分もある。

とはいえ、この際、問題点を確認しておくことは今後に役立つだろうと思われるので、少し整理したい。

■攻守双方におけるカゼミロ問題

最初に、カゼミロの不在の影響について。

カゼミロは第4節のエスパニョール戦の19分に負傷交代、その後検査を受け、1か月程度離脱すると報じられている。

中盤の底で拾いエリアをカバーしてボールを奪ってくれる彼を失ったことで、チームの守備能力は低下した。最終ラインの前で相手の攻撃を受けてくれる人がいなくなったことで、最終ラインが相手とすぐに勝負しなければならないことが増えている。そうなれば自然とエリア内での対応も増えるし、失点に直結するような場面に繋がりやすくなる。

中盤の最も大きなフィルターを失い、守備が不安定になったということが第一のポイント。

そして、カゼミロ離脱にはもう1つポイントがある。それは中盤が流動的になり過ぎ、攻撃が返って行き詰っているという点だ。

エスパニョール戦こそ、彼が退いてクロースが入ったことでボールが動くようになり、攻撃が活性化したのだが、それは一時のこと。中盤の役割分担が混乱している状況にある。

カゼミロがいる時は、彼はバランスを崩して高い位置まで上がってこないので、インテリオールの2人が左右と前後に補完しながら動くことになるが、「クロースが底に入り、その前にモドリッチともう1人(アセンシオ、イスコ、ハメス)」という構成だと、それが崩れる。

クロースもシュートエリアに入ってくることがあるし、モドリッチももう1人も高い位置にいるので、混雑する。流動的というと聞こえは良いが、皆が無秩序に出て行って攻撃に関与しているといった方が良いだろう。

結果、中盤のうち1人が最前線に押し出されて4-2-4のようになり、動きが取れなくなってサイドからクロスしかないという展開になってしまう。

守備が計算できるプレーヤーがカゼミロしかおらず、その彼を欠いた以上、守備の不安が出てくることはやむを得ない。それは夏に彼の控えを獲得せず、マルコス・ジョレンテのようなカンテラーノを出した時から明らかだったことで、今更騒いでも致し方ないところだ。

だが、それで攻撃的なプレーヤーを並べるのであれば、少なくとも得意なはずの攻撃面においては、カゼミロの出場時とは違った形を構築して欲しいと思うのだが、そうはならず、逆に混乱を来たし攻撃の手詰まりに繋がっているということが第二のポイント。

もちろん、これは中盤だけの問題ではない。存在感が薄いベンゼマロナウドが前線にいることで攻撃が鈍くなっていることは明らかだし、それは中盤のプレーヤーに補い得ることではない。

だから、モラタの起用が増えたり、ロナウドのコンディションのために途中交代させたりするのであり、彼らを先発に安住させていないジダンの対応は正しい。

とはいえ、カゼミロ不在となればこうした中盤の構成をとらざるを得ず、またカゼミロ不在は今回だけでなく今後も起こり得ることである以上、その場合の中盤のプレーヤーの役割の整理はしておくべきだ。

■緩いメンタリティ

2つ目はチームのメンタリティの部分について。

この1か月ほど、マドリーが前半を眠ったまま過ごす試合をたびたび見てきた。

もともとマドリーは緩い時にはとにかく緩いのが伝統だし、自ら苦境に陥るのは珍しいことではないのだが、最近もその伝統が復活してきたようだ。

こうした試合が続いて危惧されるのは、プレーヤーが先を見過ぎているのではないかということだ。

今シーズンはリーガ、CL、コパ(昨シーズンは失格、その分試合数が少なくなった)、CWCと非常に過密な日程になっている。そのため、私も長いシーズンを見据えたマネージメントが必要だと何度か書いてきた。

だが、それはプレーヤーを管理する側のこと。プレーヤーはピッチに入れば、目の前のその試合に集中しなければならないが、そのあたりの集中が何となくなされていないように見受けられる。

もちろん、それはプレーヤーが意識的に手を抜いているなどという意味ではない。連戦の疲労はあるだろうし、先々の日程も分かっている、そうした中で常に100%の出力を維持することは難しいだろうということだ。

まして、マドリーは伝統的に緩みやすいクラブ。プレーヤーはその意識はなくとも、「トーナメントのCLではないし、リーガの下位相手ならこれくらいの力で」といったような雰囲気がチームのプレーから出るのは、全体としては集中せず、力を出していないということになってしまう。

前回CL優勝時は、年末まで破竹の連勝を続けたが、1月の中東での親善試合以降、一気に流れを失った。

その経験から考えれば、確かに今の段階で無理をし続ける必要はなく、CLが決勝トーナメントに入る1月末頃にベストの状態になっていればいいともいえる。

ただし、それは必要なだけ勝っていればの話。先を考えた結果勝ち点を落とし、今年もリーガは難しいとなってしまっては本末転倒だ。

シメオネは「試合から試合へ」と言う言い方をし、アトレティコはその通り各試合において力を尽くすということが徹底されている。そうしたメンタリティは大事で、過密日程への準備はしつつマドリーも意識を変えなければいけない。

■今後に向けて

しかし、恐らくこうしたメンタリティはしばらく続く。とにもかくにも負けてはいないからだ。

おかしな話ではあるが、できれば、決定的な敗北を喫する前に目が覚めるようなやられ方をした方が良いかもしれない。

負けてほしいなどとは思わないし、できれば勝利の中で変化が起こってくれればと願うが、このままずるずるシーズンが進んでしまうのは怖い。

例えば第12節アトレティコ戦、第14節バルセロナ戦といったリーガの山場までこんな調子で、どちらにも勝てないなどという事態になれば、またしても監督の進退問題に発展してしまうだろう。そうなればチームが得るものは何もなくなってしまう。

カゼミロの不在はいずれ彼が帰ってくることでとりあえず解決するとしても、メンタリティはなかなか難しい。引き返せなくなる前に、チームに良い変化が起こってくれることを祈ろう。