混戦のグループが多いCL。2位につけているビッグクラブもあり、打算も頭をよぎるが、余計なことを考えていると足下をすくわれる。1試合ずつ戦っていきたいところだ。
■マドリーの先発メンバー
GK:ケイラー・ナバス
DF:カルバハル、バラン、セルヒオ・ラモス、マルセロ
FW:イスコ、ロナウド
58分:ベイル→アセンシオ、67分:イスコ→ベンゼマ、71分:マルセロ→コエントラン
セルヒオ・ラモスが復帰。チームとしてはアトレティコ戦のやり方を継続することに。
■スポルティングの先発メンバー
GK:パトリシオ
MF:アドリアン・シルバ、ウィリアム・カルバーリョ;ジェウソン・マルティンス、ブルーノ・セーザル
FW:ブライアン・ルイス、ドスト
62分:ブルーノ・セーザル→ジョエル・キャンベル、67分:ブライアン・ルイス→スケロット、77分:ドスト→アンドレ
■アトレティコ戦の再現はできず
良い内容で勝利したアトレティコ戦を受けてのこの試合。ジダンは同じメンバーを先発させる選択をした。
「結果を出している形は変えない」というのは1つの考え方であり、あのアトレティコ戦を見てがらりとやり方を変えるという判断をするのはかなり難しい。これはこれで正解だった。
とはいうものの、同じメンバーをそろえたからと言って、同じように試合を運べるかというと、状況もこちらのコンディションも相手も変わるから、もちろんそんなにうまく行く訳はない。
この試合では、マドリーはアトレティコ戦ほどの集中力はなかったし、スポルティングは可能性にかけてプレスをかけていて、それも当たりが強いものだったので、アトレティコ戦のようにボールを運べず、逆に引っかかってカウンターを受ける場面が多かった。
プレーのレベルが変わるのは当然だし、素晴らしく良かった試合と比べれば質の低下が目に付いてしまうのはやむを得ない。しかし、どの試合も同じ集中力、プレーの強さを保てば良いというものでもない。
シーズン終盤の時期ならともかく、この時期にアトレティコ戦のようなプレーを続けるとどこかで息切れしてしまうもの。シーズンを乗り切っていく上では「ほどほどにやって勝つ」という試合がどうしても必要であり、アトレティコ戦のような試合の後で、意図するとしないとに関わらずそうした試合となってしまうのも、見る側としては不満はあっても受け入れなければならないだろう。
そうしたことを考えると、29分にセットプレーから先制できたことは重要なポイント。
流れの中でそれほど負荷をかけず、うまくいかない状況が続いていても、こうした形でリードできると楽になる。重要なキッカーであるクロースを欠いているが、それでもこうして点を取れていることが嬉しい。
全体としてはうまくいかなくても、重要なところは抑えて勝てれば、エネルギーを使った週末の後では十分で、そのためには理想的なゴールだった。
スポルティングは、高い位置の守備では理想的な奪い方が何度も出来ていた。だが、そこから時間がかかって良い形はさほど多くなかった。ウィリアム・カルバーリョが落ち着かせる場面が目立ち、マドリーとしては助かった格好。悪い選択ではないが、怖さがない。彼のような身体能力のあるプレーヤーがゴリゴリボールを運んでくる方がマドリーとしては面倒だったはず。
特に中盤はそうした相手に身体的に継続して対処できるプレーヤーがいないので、「普通のプレー」をしてくれたことはラッキーだった。
■いろいろありつつも
中盤でのやり合いが長く続く中で、マドリーにアクシデントが発生。
ベイルがドリブルで仕掛けた際にディフェンダーと接触、そのまま交代となった。ひどい接触ではなかったものの、後日の診断の結果右足首の外傷性腓骨筋腱脱臼と発表、手術を受けることとなって最低2か月の離脱となってしまった。
攻撃面での迫力は維持しつつ、最近は守備もさぼらずプレーしてくれることで、チームは大きな恩恵を受けていた中での長期離脱となり、残念。CWCも含め長距離移動を回避できるのは不幸中の幸い。しっかり治して後半戦に備えてほしい。
まずまずうまく行っていたスポルティングは、62分にブルーノ・セーザルをジョエル・キャンベルに交代、攻めるという意図をはっきりさせた。
ところが、65分にペレイラがコバチッチへの暴力行為を取られ、一発退場。コバチッチがわざとらしく倒れたのは確かだが、これからという時間帯にペレイラは不用意な行動だった。
これでマドリーが1-0でゆるゆると逃げ切り、とはならないのが面白いところ。
マドリーはこうした展開になると、露骨にギアを落としすぎる傾向が強い。2点差ならともかく、エリアにまで容易に侵入されることが増えると、何かあれば追いつかれてしまう。それこそ、さすがにトーナメントではこんなプレーはしないが、年に1つか2つは余裕を持ちすぎてしっぺ返しを喰らって勝ち点を落とす試合がある。メンバーが変わってもそういうことは変わらないので、体質とでもいうべきものなのだろう。
失点となるペナルティを与えたのが、せっかく復帰してきたコエントランだというのも切ない。ようやく出場機会を得て少しずつ、というところで、痛恨のハンド。相手にかわされたのでもなく、ハンドをアピールして挙げた手に当たってこちらのハンドを取られる、という状況には滑稽ささえあった。
そうした場面に居合わせて目だってしまう彼の運のなさが何とも言えない。ほどほどのプレーで終われば、素晴らしくはなかったが復帰直後だしこれから、とも言えるのだが、それすらも達成できなかった。
80分にこのペナルティを決められ、マドリーは一気にばたつく。
こうなると、えてしてそのまま終わってしまうものだが、勝ち越せてしまうのが今のマドリーの運の強さ。しかも復帰してきたセルヒオ・ラモスのクロスに途中交代で入ったベンゼマが合わせるという劇的なゴールだった。
何はともあれ無敗は続いた。負傷者はでているが、いるメンバーが代わる代わる活躍しているのが今のチーム。試合そのものは面白みに欠ける内容だったが、今のマドリーの状況の良さが見て取れた。
■最後に
この試合の勝利でグループステージ勝ち抜けは決定。最終節のドルトムント戦が1位通過をかけた試合ということになった。最初に触れたように、1位通過だからといって安心は全く出来なくなるかもしれないが、あまり考えない方が良いだろう。すっきり勝ってトーナメントに行きたい。
ベイルは今シーズンも負傷で残念だが、アセンシオやハメスに期待しておく。
まずは週末のヒホン戦で、誰が穴を埋めるのかに注目したい。