レアルマドリードのある生活

レアルマドリードの応援日記。試合中心にお送りします。

CWCを終えて

2016年、マドリーはCWC優勝で公式戦の日程を終えた。

南米がかつてよりも力を失ったことで、ヨーロッパのクラブの優勝はほとんど義務となっている大会でのこの結果は最低限のもの。優勝の喜びよりも、2試合ともに苦労したという思いがずっと強かった。

特に決勝では、日本の名門である鹿島がどこまでやるかという見方がなされつつも、鹿島からは、勝つつもりでプレーし、親善試合のような試合にはさせないとの強いメッセージが繰り返し発信されたことで、彼らのチャレンジを後押しする雰囲気が生まれていた。

そうした雰囲気をものともせずに、力の差を見せてくれればと願っていたが、良い試合をすることになってしまい、見た直後は率直に言って情けないという以外に言いようのない思いだった。

「何だかんだあっても最後には勝つのがマドリーだ」と多くのマドリディスタが言っていたが、そこには、タイトルを取った誇らしさとともに、相手に合わせて試合をしてしまうことに対する自嘲のニュアンスが、確かに含まれていたように思う。

ビジネスチャンスがある日本での開催であることもあって、試合に影響の出ない程度に様々なイベントがあった。それは中長期的に見ればクラブのためになることには違いない。しかし、最大のサービスであり、ファンを獲得する手段は、ピッチで素晴らしいプレーを直接見せることである。相手を圧倒し、素晴らしいプレーでマドリーの魅力を発信しうるせっかくの機会をみすみす逃したことは、コンディションの問題はあったにせよ、余りにももったいないことだった。

では、この厳しい経験はシーズン後半に向けてどういう意味合いを持つことになるのだろうか。

最初に書いたように、ヨーロッパのクラブにとってはこの大会の優勝は、力関係で言えば当然のもの。しかも今回は、南米勢が決勝に上がってこず、ACLに優勝して出場してきてさえいないアジアのクラブとの対戦となった。表向きには簡単な試合などないと言っても、こうした事実から離れて集中することは難しいものだ。そして実際、大変な苦戦を強いられることになった。

マドリーがいかに相手に合わせて手を抜いてしまいがちだとしても、アジアのクラブにリードまで許す展開になるとは思ってもみなかっただろう。

リーガやCLならある程度レベルの想定はできるし、規模で言えば核下のクラブであっても場合によっては難しい試合を強いられることは覚悟しているだろうが、鹿島にここまでやられたことの衝撃は大きかったと思われる。

この体験から、手抜きの少ないチームになっていってくれれば、日本での疲労や、散々だった試合内容も意味のあるものになる。

CL優勝クラブにとっては罰ゲームであり、移動や遠い国での試合を「こなす」ものでしかなかった大会において、マドリーはヨーロッパ勢としてほとんど初めてと言っていいくらい「まともに」試合をすることになった。

このことで、シーズンの後半に向けてねじが巻き直され、仮に初のCL連覇ともなれば、このCWCは意義深い大会になったと振り変えることが出来るし、そうなることを願ってやまない。

今シーズンは、アウェイでアトレティコに勝ちバルセロナとは引き分けに持ち込む強さを見せた一方、ビジャレアルラスパルマスドルトムント、エイバルとの連続引き分けや、CLグループステージ2位通過といった結果があり、ここまでは不安定な印象が拭えていない。

強い相手には頑張るが、そうでないと緩む点は、まさにCWCでの経験と重なる。

伝統的に、全く隙がないマドリーは想像しがたいのは否定できないし、今のチームがいきなりそうなるとも思っていないが、タイトルを獲得するに足るだけの集中をし、シーズン後半に期待が持てるようになってほしい。