レアルマドリードのある生活

レアルマドリードの応援日記。試合中心にお送りします。

リーガ・エスパニョーラ第20節 vレアル・ソシエダ

上位陣が勝ち点を落とした今節。ここで勝ち点差を広げることが出来ればまた弾みがつく、という試合となった。

■マドリーの先発メンバー

GK:ケイラー・ナバス

DF:ダニーロ、バラン、セルヒオ・ラモス、ナチョ

MF:カゼミロ;コバチッチ、クロース

FW:ルーカス・バスケスベンゼマロナウド

66分:ベンゼマ→モラタ、77分:コバチッチ→イスコ、84分:ルーカス・バスケス→アセンシオ

コバチッチが先発。モラタの先発はなく、今節もベンゼマが前線に入った。

レアル・ソシエダの先発メンバー

GK:ルジ

DF:サルドゥア、ラウール・ナバス、イニゴ・マルティネス、ケビン・ロドリゲス

MF:イジャラメンディ;スルトゥサ、カナレス

FW:オヤルサバル、ウィリアン・ジョゼ、フアンミ

57分:オヤルサバル→シャビ・プリエト、ウィリアン・ジョゼ→カルロス・ベラ、77分:ベラ→グラネロ

元マドリーのプレーヤーが多い。実力者が揃っている印象で、EL圏内の順位も納得の布陣。

■劣勢となるも

ラ・レアルの中盤には技術の高いプレーヤーが並ぶ。イジャラメンディ、スルトゥサが底から組み立て、より高い位置ではカナレス、オヤルサバルが仕掛けられる形。

ベルナベウでも高い技術をベースに、序盤からポゼッションでマドリーを上回り、アタッキングサードで長い時間プレーしていた。

マドリーはあまり繋ぐことが出来ず、クリア気味のボールで逃げざるを得ない。エリア内に侵入される場面もしばしばあり、最近の状態も考えると非常に不安な立ち上がりとなった。

序盤からレアル・ソシエダのペースで進んだ試合となったが、ここ最近の試合と違ったことを2つ挙げたい。

まずは、失点を許さなかったこと。

守勢は明らかで、エリア内でクリアすることが何度もあったが、それで失点してしまうかどうかは大きな違いとなる。ゴール前の最後のところで集中を切らすことなく、コースを切って対応していた。

このところの試合では、失点しそうな時間帯を作られると容易に失点していた。そうなると、ただでさえばたついている状態から点を取らなければならなくなって、余計に辛い試合運びを強いられることになる。

この試合ではそこを何とか踏ん張ったことで、その後の試合運びに多少なりとも余裕を持つことが出来た。

2つ目は、慌てずに守備を整える方向に意思統一されたこと。

流れが悪いと、先に得点したい、失点したくない、といったように方向性が定まらず、バラバラになることが多いもの。時にベンゼマまで下がって攻撃を受け止めることに統一されたことで、ある程度は組織だった守りを組むことが出来ていた。

レアル・ソシエダのポゼッションの能力が高かったことから、中途半端に高い位置から追うような色気を出さずに済んだこともあるだろう。かなり押し込まれている状況から攻撃を作るしかなかったので、マドリーとしては余計な選択肢が減ったということになる。

もちろんそれで失点してしまえば、攻め立てた側の勝ちということになるが、そこを防ぎきったことで、試合展開を考えやすくなったと言える。

マドリーの攻撃はクロースとコバチッチが中心。

久しぶりに多くクロースのサイドチェンジのボールを見た気がする。このボールを受けて、ルーカス・バスケスも高い位置で仕掛けることが出来ていた。彼もサイドで存在感を失いつつあったのだが、スペースがある状態で抜きにかかる体勢がよく、期待が持てた。

中央ではコバチッチがボールを運ぶ。スピードがあり、それを生かして縦に抜けるための受け方、ボールの持ち方が素晴らしい。ディフェンダーがいないかのように、するすると持ち上がってしまうのだった。

逆にブレーキだったのはベンゼマ。相変わらずボールに触れる機会が少なく、よって当然周囲との絡みも少ない。これでは彼がいる意味は少ない。よりゴールを計算できるプレーヤー、攻守に渡りチームと連動できるプレーヤーを置きたくなってしまう。

中央に入ってくるロナウドと絡んで、狭いところでもチャンスメイクできるベンゼマの強みは、今のところ出せていない。早い時間からモラタを見たくなるプレーぶりだった。

そのロナウドとの関係を生かしたのは、組み立てから奮闘していたコバチッチ。38分、ロナウドのパスを受けて抜け出し、飛び出してきたルジを制してシュートを決めた。この場面でもコバチッチの持ち出し方が光った。

マドリーは、序盤の劣勢を凌ぎ、前半のうちに先制に成功。

厳しい展開も覚悟したが、そこからよく持ち直した。綱渡りとも言えるが、少なくともこの日はそこから落ちることなく、良い形に持ち込むことが出来た。

■ようやく落ち着いて

後半はマドリーが元気になって、リトリートだけでなく、出て行っての守備を少し行うようになった。その効果はともかく、チームとして前向きな雰囲気を感じられたことは良かった。

このところ、ビハインドでやむなく出て行くような試合が続いていたので、自分たちのペースで試合を運ぶことができる展開、またそうした意思が見えたことは嬉しい。

マドリーは51分に追加点。

前半とは逆に、今度はコバチッチがアシスト。長い距離ながらディフェンスの足が届かない位置にコントロールされた素晴らしいパスがロナウドへ。ロナウドはルジの肩口を抜くチップキックで落ち着いて決めた。

ロナウドのシュート選択が冷静。ブーイングもあり、心中穏やかではなかっただろうに、この場面でのこのプレー選択はさすが。

2点差となって、ソシエダシャビ・プリエトカルロス・ベラを投入。彼らが控えになる陣容というのもすごい。

マドリーは66分にベンゼマを下げモラタ。点差もあって、さすがにベンゼマを引っ張ることはしなかった。ここまで影が薄いと、モラタやマリアーノを使ってほしくなる。3点目であってもいいので、ゴールやアシストといった見える形で結果が出せればまた違ってくるはずなのだが、楽になってきた試合でも何もないというのが辛い。

1試合や2試合は休ませた方がコンディション的にもいいだろうし、モラタにも良い機会になるのではないだろうか。

74分にイニゴ・マルティネスに2枚目のイエローが出て、試合としては決着がついた。ここからは無失点で終われるかどうかがポイントに。

さすがに流れの中から危ない場面となることは減っていったが、セットプレーの怖さはあった。というよりも、まだ信頼し切れておらず、ここからひと波乱あるのではないか、最後にまた慌てるのではないかと思ってしまう。

見る側の心理はおくとしてもも、最近の状況から1点取れば何か起こせるかもしれないと、相手はみな考えてくる。それをまた覆すには、しっかり試合を締めることを続けていくしかない。

その意味で、82分にモラタがダメ押しのゴールを挙げたことは重要。セットプレーの守備からのカウンターによる、すっきりするゴールで試合を締めくくったことで、経過以上にマドリーの強さが際立つことになった。

ルーカス・バスケスのアシスト、モラタのへディングとも精度が高かった。彼らにとっても報われるゴール。途中出場からここで決めるモラタの勢いを感じる。

「ゴールはケチャップのようなもの」と言われる。ベンゼマケチャップの蓋が開くのを待つのも大事だが、まさに今開いているモラタを使わない手はないだろう。そろそろ1試合くらいはせんぱつで見たいものだ。

84分にはルーカス・バスケスを下げ、本当に久しぶりに悠々と試合を終えた。

■最後に

2位以下との勝ち点差を広げる重要な勝利。そのこと自体が自信に繋がる。3得点無失点という数字上の結果も良く、流れを変えうる試合となったと言っていいだろう。

個々のプレーヤーとしても、残念だったのはベンゼマくらい。ダニーロは無難に仕事をこなし、ロナウド、モラタは得点を挙げ、ルーカス・バスケスは運動量だけでなく、攻撃での質の高さを見せた。試合間隔が空くこともあり、ここからまたこの水準を維持していってもらいたい。

ミッドウィークに試合はなく、週末はアウェイでまたもセルタ戦。コパからあまり間を空けずに再戦となるが、あの時とは違う状態で乗り込んでいければ。

負傷者も復帰しつつある。ここから再スタートして、シーズン終盤に向かっていってほしい。