CL前のリーガ。予期せぬ休暇を得たので、この時期にしては良い状態で連戦に向かっていけるかもしれない。
■マドリーの先発メンバー
GK:ケイラー・ナバス
MF:カゼミロ、モドリッチ;イスコ
57分:ダニーロ→ハメス、72分:ベンゼマ→ルーカス・バスケス、88分:イスコ→コバチッチ
ジダンは3バックを採用。中盤は3枚で、イスコが少し前に位置する。
■オサスナの先発メンバー
GK:シリグ
DF:オーイエル、タノ、ブヤディノビッチ、フエンテス
FW:セルヒオ・レオン、リビエール
15分:タノ→ダビド・ガルシア、53分:フエンテス→クレルク、61分:ファウスト→ロエ
最下位に沈むオサスナ。ホームでここまで勝ち点4は辛い。
■3バックで苦しむも先制、でもあっさり同点
マドリーの3バックは今年2回目か3回目だろうか。本格的に採用されていたのは随分以前のことで、ジダンが継続して使っていくつもりならば、かなり久しぶりのこととなる。
負傷者が多かったことによる苦肉の策であることは明らかである。準備しておいた秘策であるならば、使うべきはここではなくCLであるから、このタイミングでの3バック採用を計画的なものと考えるのは無理があるように思う。
とはいえ、マンネリ感の打破という狙いもあったかもしれない。様々な監督が率いてきたマドリーではあるが、この短く見積もってもこの10年程度は4バックの枠組は変わっていない。それをがらりと変える可能性があるというならば、チームには強いメッセージになるだろう。
また、個々のプレーヤーで言えば、今のチームで最ものれていないダニーロを守備から解放して少し楽にプレーさせるといった意図もあり得るし、この試合で言えばイスコにトップ下のポジションを与えるといった意味合いを見て取ることも出来る。
逆に言えば、そういう考え方を読み取らなければならないほど、この形を採用したことによるメリットがピッチ上にはなかったということでもある。
長期的にどうなるかといった視点はさておき、この試合そのものに対して3バックで得られたことはそう多くない。
ダニーロは少し前で起用されてもふわふわしており、精神面での改善が必要に見えたし、中盤は効果的な攻撃を作ることができていなかった。
オサスナは中盤を狭くし、厳しい守備で対抗。雨が降るピッチで細かいプレーが難しくなることも手伝って、支配率はほとんど同等で推移した。
それでも先制したのはマドリー。24分、ベンゼマのパスを受けたロナウドが持ち上がってシュート。シリグの反応も及ばず、弾いたボールが枠に収まった。
ロナウドのラインとの駆け引き、抜け出し方は、この場面に限らず試合を通して良かった。こういうプレーを繰り返せばオフサイドは増えるし、ボールが出る出ないといった出し手の問題にもなってくるのだが、彼自身の動きとしてはかなり質が高く、調子を取り戻しつつあるように見えた。
慣れない布陣で難しいアウェイでありながら先制できたところはさすが。その一方で、得たリードをすぐに手放すことになるのも、今のマドリーらしいところ。
33分、セルヒオ・レオンに抜け出され、ナバスを外すループシュートを決められ同点。リードは10分と持たなかった。
ダニーロの縦パスが奪われたところからの失点。ここまで失点に絡むのは気の毒というほかない。もっと悪いプレーをしていても目立たないことはあるものなのに、こうも目立つと切なくなる。
この場面で言うと、パスが良くないにも関わらず前に走ったことで、奪われた局面でのカバーができなくなった。ワンツーの仕掛けは良く見られ、やりたいんだろうと思うが、判断が悪いのは確か。が、その後のパス、抜け出しとオサスナ側が良いプレーを続けたのも事実で、ダニーロが全てではないのだが、何とも運がない。
■4バックに
流れが変わったのは、57分に負傷したダニーロに代わりハメスが入ってから。
これをきっかけにナチョを右サイドバックとした4バックに戻り、慣れた形になった。ハメスも運動量があり、攻守に様々な場面で顔を出していた。
ここでもダニーロが下がって変わることになる、というのが彼の運のなさ。彼には気の毒だが、チームとしては慣れた形を取り戻して、前半より動きがスムーズになっていった。
勝ち越しは62分。ベンゼマがエリア内で勝負したところからこぼれたボールを後ろから入ってきたイスコが拾い、角度がないところからファーの隅に決めた。
イスコのフィニッシュは見事。欲を言えばベンゼマが何とか決めてほしかったが、ともあれ良いゴールで再びリードを得た。
守備を考える交代として72分にベンゼマを下げてルーカス・バスケス。ロナウドを前線に残してのサイドのケアとしては妥当な交代ではある。ただ、モラタの士気が気がかり。彼も必要なら守備で走れるので、こういう場面でも使ってあげてほしい。
ルーカス・バスケスの状態も良いとは言いがたく、CLを控えたタイミングなので、使い分けの観点からも、モラタを出してよかったのではないかと思っている。
その思いはあるにはあるが、ロスタイムにダメ押しの3点目をルーカス・バスケスが決めてしまうのだから、彼にも、この交代を選択したジダンにもつきがあると言う他ない。
1点差で、終盤はオサスナが攻める時間が続いていた。ナバスのセーブで凌ぐところもあり、試合の流れとしては不安な時間だった。カウンターもなかなか最後まで至らず、という状況の中で、最後の最後にいいところに走りこんで点を取った。
かなり後方からではあったが、そこからエリア付近に出て行く運動量が彼らしい。
3バックで自ら難しくした感もありながら、最後には勝ち点3を得た。オサスナとしてはチャンスはあったのに、といったような内容で、何ともしぶとい勝ち方。
これができていれば、リーガのタイトルは近づく。2試合未消化ながら、勝ち点差1で首位を守った。
■CLに向けて
いまだ改善の余地は抱えつつも、最悪の状態は脱したように見える。
CLに向けては、試合の中で不安定な部分を減らしていく必要があり、それはリーガではなかなか見えてこない部分。ここぞという試合での集中力でプレーの質ががらりと変わるのがマドリーなので、本番でしっかりプレーしてくれることを祈るしかない。
楽観的に考えれば、そういうところの引き締め方はジダンの得意とするところだから、ひどい精神状態でプレーすることは滅多にないだろうとも思える。
身体的なコンディションとしては、カルバハル、ペペが復帰直後の試合となるものの、モドリッチ、カゼミロ、ハメスといったあたりは問題なくプレーできていたので、中盤より前はそれほど心配なさそう。
まずは失点をしないことを優先し、チームとしての規律を保ってプレーできれば、チャンスは作れるだろう。
難敵を相手に、これぞマドリーというところを見せてほしい。
リーガは変則日程が続く。第16節のアウェイのバレンシア戦は2月22日水曜日の開催が決定しているが、先日延期となった第21節セルタ戦は開催時期未定。
この状況では、2位以下との勝ち点差の計算はほとんど意味をなさない。一つ一つ勝っていくことをいつも以上に徹底したいところだ。その意味では、今節の勝ち方は、リーガの戦いとしては理想的なもの。
次節はベルナベウでのエスパニョール戦。CLを含む過密日程に突入する。まずは怪我がこれ以上発生しないことを祈りたい。