マケドニアでの試合。この時期はシーズンよりも移動が大変。
■マドリーの先発メンバー
GK:ケイラー・ナバス
DF:カルバハル、バラン、セルヒオ・ラモス、マルセロ
MF:カゼミロ;モドリッチ、クロース;イスコ
FW:ベンゼマ、ベイル
74分:ベイル→アセンシオ、イスコ→ルーカス・バスケス、83分:ベンゼマ→ロナウド
ベイルが先発。ロナウドは合流から間もないこともありベンチスタート。
■マンチェスターU.の先発メンバー
GK:デヘア
DF:スモーリング、ダルミアン、リンデロフ
MF:ポグバ;バレンシア、マティッチ、エレーラ、リンガード
46分:リンガード→ラッシュフォード、56分:エレーラ→フェライニ
リンデロフ、マティッチ、ルカクと新戦力が先発。
■最初に
公式戦とはいえ、プレシーズンの最中なのでコンディションは互いに良くない。フレンドリーマッチならほとんど入れ替えてしまうこともできるが、交代枠が限られているため、その中でも先発可能なメンバーを選ぶことになる。とはいっても、半ばBチームとするのは、さすがに難しい。監督にとっては悩ましい時期の試合と言えるだろう。
だから、この試合の先発やその並び方に、今後に向けた手がかりはあまりなく、今は個々のプレーヤーがどういうプレーをするかがポイントだろうと思っている。
そうした視点でいくつかポイントに触れたい。
■カゼミロとその周辺
厳しいポジション争いが予想される中盤では、まずカゼミロがゴールという形で結果を出した。パスの精度も90%以上、守備面でも大きな問題とはならず、攻守に渡って印象が良かった。
昨シーズンを通して、彼がピボーテの位置に固定されず、高い位置まで進出するようになっていた。この試合でのプレーぶりを見る限り、こうした形で前線にも顔を出すことは今後も続いていくのだろう。
そうなると、その分の守備のカバーを誰かがしなければならなくなる。先発のうち、モドリッチはそうした気が利くので良い。一方、クロースはスペースを埋めはするが、あまり得意ではない。
カゼミロがこうしたスタイルを続けていくのであれば、バランスを取って守備にも労を惜しまないプレーヤーが、中盤の形を問わず重宝されることになるだろう。
その点で言うと、コバチッチの信頼性は高い。低い位置まで下がっての守備参加も厭わない姿勢は昨シーズン何度も見せてくれていた。ボールを持った時のプレーの良さは明らかで、奪ったボールを自分で運べることも彼の強みだ。彼を3000万ユーロ以下で売却する可能性を報じる向きもあったが、恐らく現実的ではないだろう。
新しくやってきたセバージョスも、守備に気を使えないようだと厳しくなるだろうと思われる。今のマドリーの中盤では、技術が高いのは当たり前で、その上でハードワークが求められることに留意したい。
より低い位置のプレーヤーではマルコス・ジョレンテがアラベスからレンタルバックとなっている。カゼミロが不安定なら彼がすぐに取って代わるかと思っていたが、そう簡単ではないようだ。
マルコス・ジョレンテがカゼミロより勝っているのは、大きな展開ができる点。長いパスでサイドに安定した精度で振ることができる。カゼミロが色気を出さず、奪ったボールを淡々とクロースやモドリッチに預けて前に出て行く選択をするようなら、マルコス・ジョレンテの競争相手は、プレースタイルを考えると第一にクロースということになる。
現状、クロースにパス捌きで競争を挑むのはなかなか難しい。カゼミロが悪い時期にマルコス・ジョレンテが出て、クロースと併用となると、マルコス・ジョレンテは彼なりの差別化を図らなければならなくなるだろう。程々の差では埋没してしまう恐れもある。
■ベイル、アセンシオ
ベイルはトップ起用で、自由に動いていた。サイドに固定されず、スペースのあるところへ移動して勝負する方が今の彼には合っているかもしれないが、実戦では彼にそうした自由が与えられそうもない。サイドでどこまでやれるかを今後見ていく必要があるだろう。
ただ、サイドでのプレーとは言っても、ブロックを壊す前の段階で得点できるのが彼の魅力でもあるので、彼の場合、基準はまず得点。無難にゲームを作ることは求められていないから、形はどうあれゴールを挙げていくことが彼の生き残る道だ。だから、いくつかあったチャンスは決めるべきだった。
彼の競争相手は、細かいところで崩すことも出来て、ゴール前では得点も出来るアセンシオ。昨シーズンのアセンシオは、中盤の組み立てにも参加しつつ、様々な形でゴールを奪えることを示した。仕事の幅はベイルより広く、レベルも高まりつつある。
ベイルが違いを見せるとしたら、とにかくゴール数。サイドを主戦場としながら、決定機はきっちり決めていくくらいでないと、すぐにアセンシオが取って代わってしまうだろう。
■イスコ
イスコは、ボールを持ちすぎる悪い癖が出ていたものの、2点目を挙げたことで良い印象を残した。彼も中盤のポジション争いに参加しなければならない1人。契約延長は成立しそうで、近いうちの移籍はなさそうで一安心。
彼の場合は、どの程度自由を与えられるか。完全に守備免除は出来ないが、できれば無理させずに本職に専念させたいプレーヤー。チームのバランスを考えると、モドリッチやコバチッチのようなスタイルのプレーヤーを入れるのがベターなのは明らかなので、それを覆すだけの違いを作れるかどうか。
その意味では、しっかりゴールを挙げて結果を残せたのは大きかった。
■やっと勝利して
PKでの勝利はあるもの、プレシーズンマッチではきちんと勝てていなかっただけに、公式戦で勝利しトロフィーを手にできたことは、モチベーションや自信を得る意味で重要だった。
最初に書いたように、ジダンとしてはコンディショニングにも配慮しなければならない時期で、その中で結果を求めていくのは難しい。怪我もなく勝利できたことは、この時期としては十分すぎる成果だ。
週末にはバルセロナとのスーペルコパが待っている。アメリカでの試合とは全く違う雰囲気になるだろうが、それでもまずは無理せずいきたい。落ち着いてリーガ開幕が迎えられるよう、準備できれば。