レアルマドリードのある生活

レアルマドリードの応援日記。試合中心にお送りします。

リーガ・エスパニョーラ第12節 vアトレティコ

ワンダ・メトロポリターノで初開催のデルビー。

互いにフォワードが精彩を欠いている中でどうするか。

 ■マドリーの先発メンバー

GK:カシージャ

DF:カルバハル、バラン、セルヒオ・ラモス、マルセロ

MF:モドリッチ、カゼミロ、クロース、イスコ

FW:ベンゼマロナウド

 

46分:セルヒオ・ラモス→ナチョ、76分:ベンゼマ→アセンシオ

 

心膜炎から復帰したカルバハルがいきなり先発となった。

 

アトレティコの先発メンバー

GK:オブラク

DF:フアンフラン、サビッチ、ゴディン、リュカ

MF:トーマス、ガビ;コレア、コケ、サウール

FW:グリースマン

 

54分:トーマス→カラスコ、76分:グリースマン→トーレス、コレア→ガメイロ

 

ロナウドほどではないが、グリースマンも今シーズンは不調が続いている。彼にとってもリスタートする良い機会になり得る試合。

 

■カルバハル

まずは復帰したカルバハルについて触れておきたい。

 

この時期に戻ってきてくれたことは予想外の嬉しいニュース。順調に治療とトレーニングが進み、年内の復帰が叶った。

当初の報道からは長期の離脱も考えられ、万が一のことも頭をよぎるような状態だったが、早速フル出場し、レベルの高さを示してくれたことは素晴らしい。

 

外傷と違い感染症には再発の危険があり、復帰には不安がついてまわるところだが、こうして万全な復帰を果たしたカルバハル本人とスタッフの努力に思いを巡らせないわけにはいかない。

マドリーの戦力としてももちろん、プレーヤーが病で前途を絶たれずに済んだことを喜びたいと思う。

 

■両サイドは順調、フィニッシュの形がない

さて、マドリーは4-4-2の形。

当初は、先月頓挫していたイスコが中央の形にも見えたが、イスコは徐々に左サイドに張り出すことが多くなって、攻守ともに4-4-2の状態が長くなった。

対するアトレティコは、攻撃時はコレアが高い位置に出て、サウールとコケが両翼に出るが、守備時はグリースマンを残して4-1-4の形になっていた。

 

基本的にはマドリーがボールを持つ展開。

イスコは自由に動くつもりだっただろうが、左サイドのイスコとマルセロの関係で突破していくことができると認識してからは左サイドで仕事をするようになった。

代表戦明けではあったが、マルセロは久しぶりに本来のレベルに見合った内容のプレー。狭いところでの足下の技術と、それを生かした崩しのアイデアが良かった。

イスコとのパス交換で、どちらかがサイドバックの裏に抜けていく形で、何度もエリア進入ができていた。

 

右サイドも、カルバハルが復帰したことでかなり改善。彼がボールを持つと良いクロスが入ってくるのが分かっているので、守備は対応も迫られる。

そのことで、クロスだけではない変化もできるようになって、彼の存在感の高さを実感する。

 

アトレティコが例によってバランス良く守っていながら、マドリーの両サイドの攻撃が機能していたことで、エリア付近での良い場面は多かった。

だが、シュートらしいシュートはわずかに5。サイドの崩しをフィニッシュに繋げられなかったことが如実に表れている。

 

昨シーズン終盤は、えぐってのマイナスのクロスでエリアに少し入るくらいの位置に入ってきたフリーのプレーヤーが決めることがパターンとして確立していた。

クロースやアセンシオが出てきて決めていたことは記憶に新しいし、CL決勝でのロナウドのゴールも思い出されるところだ。

そうした形と比較すると、最近はこの良い位置に人がいないことが多い。

この試合でもロナウドがファーで待っていて、ベンゼマが中央にいて、それで終わりということが何度もあった。アトレティコ相手に、そこに単純にクロスを入れても成功する確率は高くないので、跳ね返されることが多くなるし、そのうち単純なクロスは諦めるようにもなる。

これではせっかくのサイド攻撃を得点に結びつけることは難しい。

 

イスコが左に出て行っているので、クロースかモドリッチが良いポジションに入っていくことが望ましいのだろうが、そういうバランスにはなっていなかった。奪われた後のことも考えてのポジショニングでもあり、やむを得ないところもあって、悩ましい。

 

単純にフィニッシュのことを考えれば、現状の戦力ではアセンシオがエリア付近で動き回ってくれるのが良いのだろう。

ただ、クロース、カゼミロ、モドリッチの3枚が代えがたく、そこにイスコも入っている状況では、アセンシオはベンゼマロナウドを外すしかない。それもかなり大きな決断になってくる。

中盤の3枚にイスコを加えた形が今シーズンの基本となっているが、得点に結びつく適正なバランスは未だに見つけられていないということだ。この点については、アセンシオを含め、更なる試行錯誤が必要だ。

 

アトレティコも手詰まり

マドリーが崩しつつシュートにたどり着けない状態が続き、アトレティコにチャンスがあったかというと、それほどでもなかった。

序盤のマドリーのばたつきで生じたミスからの速攻が最も大きなチャンスで、守備はさすがのレベルであったものの、そこから攻撃を作りゴールに向かうアイデアが明らかに欠けていた。

 

アトレティコもマドリー同様両サイドを崩したい意図は見て取れ、サウールやコレアにスペースを与えられればというところだったが、その形で成功した数は僅か。マドリーよりも手詰まり感が強かった。

序盤の足下の覚束なさを見ると、高い位置でのプレスが継続されるとどこかで事故が起きそうではあったが、ある程度落ち着くと定石通り下がってくれたので、マドリーとしては助かった印象。

 

中盤で1人攻撃参加を自重していたカゼミロが、カウンターの出所や攻撃の始まるポイントを丁寧に潰していたことも大きなポイントだろう。

最近は底に控えていることが少なくなっているものの、本職はやはり守備。彼の働きでアトレティコの攻撃に流れを作らせなかった。

 

■交代策に見る選択肢のなさ

後半も互いにうまくいかない状態が続く中で、先に手を打ったのはアトレティコ

まずはトーマスをカラスコに代えて、ガビ、コケを低い位置に置いた4-2-3-1に変更した。攻撃の道筋が見えていなかったので、形を変えつつ前線にボールを持てるプレーヤーを増やすことで打開を図った。

76分にはグリースマンを諦めトーレス、コレアもガメイロに代えて全て攻撃的な交代。

 

一方のマドリーは、リュカに顔を蹴られて鼻骨骨折したセルヒオ・ラモスをハーフタイムでナチョと交代させて以降、動きなし。

先発メンバーで我慢するのがジダンのスタイルで、この試合でもなかなか最後のところが決まらないのを見ながら交代をしなかった。

 

ただ、そうは言いつつ、攻撃的な交代の数は限られてもいた。

ルーカス・バスケスはこのところ攻撃面で何もできておらず、リードしている時のサイドの守備固め程度。その他の攻撃的なプレーヤーはマジョラルとアセンシオで、序列から言ってアセンシオの投入は妥当。

あとはバランスを崩してマジョラルを入れるかどうかで、スコアレスではその判断はし難く、2枚代えるに留まったというところだろう。

 

セバージョス、テオといった若いプレーヤーを含めたローテーションはなされているが、こうした大きな試合での戦力としてはアセンシオまでという現在の序列が見て取れた。

また、攻撃面の質が非常に悪いルーカス・バスケスの重用にも批判が集まっているが、この試合で使わなかったことを考えると、彼の起用も他にプレーヤーがおらず、やむを得ないからなのではないかとも考えられる。

真に信頼して起用しているのならば、3枚目での投入もありえたはずで、それがなされなかったことは、スーパーサブとしてさほど期待してはいないのだろう。

 

コバチッチがいればモドリッチを休ませたり、独力での打開を期待してクロースを彼に代えたりすることも選択できるようになって、やり方に幅ができる。

中盤の面々を代える選択も出来るようになるという点で、彼の存在は大きい。復帰が待たれる。

 

■最後に

結局互いに決め手を欠いてスコアレスドロー。シュートがマドリー5、アトレティコ3ではゴールの期待はしづらい。

 

アトレティコの球際は荒く、セルヒオ・ラモスの流血、クロースに対する足裏でのタックルなどでもっとカードがかさんでいてもおかしくなかったし、それで攻撃が優位に運んでいたかもしれないが、判定に頼る考え方は良くない。

現状の出来ではアウェイでスコアレスは妥当な結果だったと考える。

 

逆に言えば、こういう拮抗した試合を勝ちに出来る流れがないということでもある。

昨シーズン、内容が悪くてもセルヒオ・ラモスのゴールで勝ち点を拾う試合があったように、悪いなりに何とかできるかどうかはリーグ戦において特に重要で、今のマドリーにはそうした雰囲気がない。

チームのモラル低下が表立って見えてこないのは不幸中の幸い。落とした勝ち点の数ほど最悪の状態でもないので、しっかりやり方を整理して進んでいってもらいたい。

 

CLアポエル戦を挟み、次節はベルナベウでマラガと対戦。