レアルマドリードのある生活

レアルマドリードの応援日記。試合中心にお送りします。

リーガ・エスパニョーラ第27節 vセルタ

ジダン復帰初戦。これまで控えだった面々が出て結果を残すという、監督交代を象徴するような勝利となった。

 

www.youtube.com

 ■マドリーの先発メンバー

GK:ケイラー・ナバス

DF:オドリオソラ、バラン、セルヒオ・ラモス、マルセロ

MF:クロース;モドリッチ、イスコ

FW:アセンシオ、ベンゼマ、ベイル

 

63分:イスコ→セバージョス、77分:モドリッチバルベルデ、82分:ベンゼマ→マリアーノ

 

ナバス、マルセロ、イスコ、アセンシオ、ベイルが先発に。少し前なのに、懐かしいようなラインナップである。

 

■セルタの先発メンバー

GK:ルベン・ブランコ

DF:ケビン・バスケス、コスタス、アラウホ、ジュンカ

MF:ロボツカ、ヨクスル;ブライス・メンデス、ブファル、シスト

FW:マキシ・ゴメス

 

4分:ジュンカ→フート、68分:ブファル→ヒュルサガー、75分:ヨクスル→ベルトラン

 

残留争いのセルタ。こちらも監督交代があったばかり。

 

■見慣れた形

両サイドのユニットはオドリオソラとアセンシオ、マルセロとベイルの組み合わせ。中央ではクロースがピボーテの位置に入り、イスコとモドリッチがその前に並んだ。

この形から狙うのはまずクロス。9番のベンゼマは中央の高い位置から離れないようにしつつ、そこに逆サイドやインテリオールが飛び込んでいく形で複数のターゲットを確保していた。

また、ベンゼマがサイドに開いた時は、中央に必ずベイルが入るようにし、今シーズン良く見られたような、サイドに枚数をかけすぎて決める人がいないという状況にならないよう、バランスを取っていた。

 

守備は4-1-4-1の形。ベイル、アセンシオも守備タスクの免除はなく、両サイドのブロックに参加させる。

奪われた時に寄せられる距離だったらボールにチャレンジ、ダメなら下がってブロック構築という無難なやり方を採っていた。

もっとも、守備については付け焼刃。就任5日ではやむを得ないところ。クロースがファーストディフェンスに行ってかわされ、数的優位なカウンターを受ける場面もあり、局面での判断とプレー強度はまだまだという印象を受けた。

 

付け加えておくと、ベイルはさすがにサボらずやっていた。この試合で緩慢だったら、さすがにマドリーでの未来はないし、他クラブへ行くにしても特別な立場は要求しづらい。最低限の規律は守ったといえるだろう。

 

ジダンが変えたのはこれだけ。難しいことはない、単純な変更だ。

クロスだらけのやり方は第一次政権でつまらないと言われていたものだし、再就任となったからといって全く新しいやり方を試したわけでもない。ロナウドが移籍する前のバランスに、現有戦力を当てはめて送り出したものとも言える。

それでも、当時の先発だった面々が多く先発して、昔取った杵柄とばかりになれた形で躍動。エリア内ではシュートする意識も強く、ベルナベウは盛り上がった。

 

そもそも既にタイトルの可能性を失っているリーガの試合で、ほとんど空席が目立たないほどに観客が入ったこと自体が珍事だ。これをジダン効果と呼ばずして何と呼べばよいのか。

戦術的には面白みがなく、戦力はもちろん変えられない。それでもマドリディスタに根拠のない期待を抱かせてくれるのが、ジダンという存在なのだと改めて感じさせられる試合だった。

 

■交代の使い方

第一次ジダン期と違ったのは、セバージョス、バルベルデ、マリアーノといった控え組みを投入した点だ。

以前はお馴染みの11人とプラス4人ほどくらいしか継続的な出場機会が得られなかった。リーガやコパを取りこぼしてからCLに絞ることとなって、その傾向が強まったのは記憶に新しい。

 

その点、前回は冷遇していたせばージョスをはじめ、少なくとも控え組を実戦で見る機会を作ったのは、ジダンが変わりうるポイントを示したと言える。

補強が順調に進めば、戦力の入れ替えはある程度の規模になることが想定され、かなり整理されることになる。

そういう意味では、これからの試合は長い時間をかけたトライアウトとも言えるが、それにあたり「全員に可能性がある」と示した点は良い。

 

もちろん、実際には練習もあるから、判断の機会は多くあるのだが、公式戦で使われるかどうかの心理的な差は大きい。

控え相当としたプレーヤーに「使いもしないで・・・」と腐られるよりは、11試合かけて色々使ってみた結果だと納得してもらった方が、チームに与える影響は少なくなる。

不満を漏らしていたベイルやセバージョスをこうした使い方をしたところから見ると、ジダンは自身の言葉どおり「全員を戦力として数える」ことを表現しようという意思が感じられるのではないだろうか。

 

■最後に

監督が代われば好調になることが多いので、意欲的なプレーがどこまで続くかはわからない。

ただ、今回に限っては、シーズン終盤の時期にプレシーズンのような状況で試合を重ねていける特異な状況で、ここで振り落とされるとこの夏にすぐ居場所を失うというプレッシャーがかかっている。

だから、普段よりは長くプレー強度が保たれる時期が続くのではないかと考えている。

 

この試合を見る限り、相変わらず内容的にはシンプルで、しぶとく勝つスタイルになるであろうジダンのチームだが、事情はどうあれ最終盤までモチベーションを持ったプレーが維持されれば、周囲のジダンのマネージメントへの評価は高まることになるし、チームを取り巻く雰囲気も前向きなままシーズンを終えることができて、デメリットがない。

 

プレーヤーやベルナベウの観衆の受け入れ方を見ると、このタイミングでジダンに監督就任を承諾させたペレス会長は、本来は困難な時期にもかかわらず素晴らしい当たりくじを引き当てたように見える。

1試合のみだが、辛いシーズンの終盤に今後への希望を見出せる試合となった。