マルコス・ジョレンテのアトレティコへの移籍が公式に発表された。
報道によれば移籍金は4500万ユーロ。ジョレンテはアトレティコと5年契約。
マドリーにとっては控え扱いのプレーヤーに4500万ユーロ。このご時世とはいえ、取引としては良いものになった。
アトレティコにとっても、退団濃厚なロドリの後継としてリーガでの経験があり今後も期待できるプレーヤーの獲得ということで、互いにメリットのある移籍と言えよう。
以前はマドリーがテオを獲得していたが、今回はアトレティコによる獲得。特に問題なく友好的に取引がなされているようであり、これを機に一定の序列のプレーヤーについては移籍が問題と見なされることは少なくなるかもしれない。
■中盤の底問題
さて、カンテラーノを手放すことにしたマドリーの決断はどうだろうか。
今シーズンはこれまでより出番があったジョレンテは、低い位置での組み立てでカゼミロに勝るポイントを見せていた。
その一方で、動き回るスタイルなので、クロースやモドリッチと被ることもしばしば。より深刻なのは、任せられるべき中盤の底を留守にしがちという点で、最終ラインがすぐに晒されることになっていた。底を1枚で支える近年のマドリーにとって、このデメリットは見過ごせない。
彼はドブレピボーテで生きるタイプに見受けられ、今のマドリーではフィットしないということなのだろう。
そう考えれば、この売却は理解できるものになる。
しかし、この移籍によりカゼミロの仕事をカバーできるプレーヤーが他にいないということが浮き彫りとなったのも事実。
低い位置で相手の攻撃の芽を摘み続けることのできるプレーヤーを手元に置くことができていないのだ。
カゼミロもフラフラと高い位置に進出する癖があり、できれば守備に専念して他のプレーヤーを下支えしてくれるプレーヤー、欲を言えばパスを散らせるシャビ・アロンソのような存在がいるとありがたいが、ジョレンテはそこに到達することはできなかった。
そうした存在になり得る存在としては、バルベルデに期待することになる。
彼もまたもう少し前のポジションが本来の位置ではあるが、守備を頑張れる点で期待感が持てる。新しいシーズンにどこまで食い込んでいけるかに希望を持ちたいところではある。
そういいつつ、今回の移籍により、カゼミロのポジションをどうするかについて問題が先送りになった感は否めない。
中盤の一番重要な問題の解決は将来に向けての積み残しとなったのだ。