新シーズン最初の実戦。
メンバーが揃っておらず、まだまだこれからの時期ではあるが、気になった点を書き留めておきたい。
出場メンバーは前後半で一斉に入れ替えがあったので、以下のリンクで確認を。
まず、使えるメンバーを何とか形になるように並べた程度の組み合わせなので、組織的な形がないことを悲観すべき試合ではない。
特に前線はボールが届かない時間が長いので、いくつかあった決定機を決められなかったベンゼマはともかく、ヨビッチはこの試合で言及することはフェアではないだろう。
ボールをよく触る中盤では、モドリッチのコンディションが良さそうなのが好材料。昨シーズンのコンディションの悪さ、年明け以降のピークとなるべきタイミングでベストな状態を作れなかったことは、チームにとって大きな痛手となった。
休みをとれ、落ち着いてプレシーズンに参加できているこの夏は、シーズンが佳境となる少し先を見据えていい状態を作っていけそうだ。
注目のアザールは、ボールを運ぶプレーで存在感があった。
彼のところでどれだけ相手をはがせるか、どの位置でキーとなるパスが出るかなどのすり合わせができてくれば、ボールを運ぶだけでなく、それをゴールに繋げる仕事もしてくれるだろう。
この試合だけ見ると、球離れが悪いようにも見受けられるが、ロストは少ないし受け手の問題もあるので、今後は良くなっていくのではないだろうか。
球離れの問題がつきまとうもう一人、イスコはまだチャンスはありそう。
かなり体重を落としているとの話もあり、攻守に走れるようになればインテリオールで生き残る道は残されている。
少し前のポジションでアザールがおり、低い位置になるであろうイスコが守備をせずこねるようでは、エリクセン待望論が高まるばかりだ。現実路線でポジション争いをし、チームを活性化させてほしい。
前半特に残念だったのはアセンシオ。特長を出せずに終わってしまった。
ボールを持つ機会はそう多くはなかったが、昨シーズンほぼインパクトなく終わってしまっていることを踏まえれば、見る側としては変化を感じたかった。
このままでは昨シーズン同様になってしまうのではないかという疑念を拭い去るには至らず。
それは後半のルーカス・バスケス、ビニシウスも同様。
前者はボールロストが多すぎる。カンテラーノ主体の後半にあってはトップチームのレベルを見せるべきだったが、ボールを持った時の期待は全くない。相手にとっては奪いどころであり、これでは走力というメリットが上回ることはない。
それなりの値段が付くなら、と考えるのも頷けるプレーだった。
ビニシウスはドリブルの次、アタッキングサードでの精度が引き続き課題。久保のパスに抜け出した場面は決めるべきだったし、相手をはがすところで力を使い果たしているようにも見える。
持久力の問題もあるだろう。最後のところで精度を維持する足が残っていないなら、持久力をつけつつ、90分の中でメリハリをつけることも学んでいく必要がある。
一方で印象が良かったのはロドリゴ。
ビニシウスのような仕掛けは多くなかったが、無理なところはシンプルにさばいて要所に顔を出す賢さがあるようで、うまくチームに組み込むことはできそう。
フリーキックを決めたことで精神的にもかなり落ち着いたのではないだろうか。昨シーズンの主力が停滞している中で、こういうプレーができていればカスティージャでの生活は短くなるかもしれない。
久保はシーズン中の日本からやってきただけあって、コンディションがほかのメンバーより良さそう。
受け方のうまさにリーガらしさが強く感じられ、相手につかまらない位置でプレーすることができていた。
彼にほとんどパスを出さなかったビニシウスのように、仕掛けることで存在感を示そうとするプレーヤーもいるが、久保は公式戦のようなプレー。良い位置に味方がいればエゴなく使おうという意識のようだった。
そうした姿勢が評価されればいいが、数字に残る結果もないともう一歩上とは言いづらい。より落ち着いた組み合わせのチームで、より前のポジションでプレーしているところを見てみたい。
先述の通りヨビッチの評価は先送り。
新加入のメンディも良くもなく悪くもなく、特長は見えなかった。攻撃での貢献が評価されての契約だろうから、ポゼッションできて彼が高い位置を取れるような状況でどこまでやれるかを見たい。
■最後に
チームでの戦い方が作れる時期ではない分、個々の技量差が出やすい。
その意味で、マドリーレベルでやれそうかそうでないかは、昨シーズンの序列にかかわらず見えた試合となった。
まずは怪我なく終えられたことが一番。
良い形で新シーズンをスタートできるよう、移籍も含め状況を整えていってもらえれば。