今シーズンスタート当初、バルベルデはカゼミロに次ぐ存在になれるのではないかと考えていた。
しかし、そのような考えは大きな誤りだったことを認めなければならない。
層の薄い中盤において、バルベルデの存在は既に重要なものとなった。
競り合いに強くボールを奪うことができて、それをそのまま自分で運べる能力は貴重で、パス精度も求められる水準を満たしている。グラナダ戦ではエリア内に入っていく場面もあり、前線が孤立しないよう攻撃に厚みを加えていた。
モドリッチの負傷があって出場機会を得て以降、第6節オサスナ戦で82分、第7節アトレティコ戦で68分、前節グラナダ戦ではフル出場と、長い時間プレーすることができている。
この間に徐々に馴染んでいくかと思っていたら、自身の特長を出せる存在へと一気に駆け上がった印象だ。
バルベルデの良さは、カゼミロ、モドリッチ、クロースの良さを少しずつ持ちつつも、決定的な場面へ現れることができるという彼らにはない特性も持ち合わせている点にある。
カゼミロのように守備的に振舞うこともできるし、モドリッチのように上下動してボールを運ぶこともできるし、クロースのようにパスでリズムを作ることもできる。
もちろん経験は彼らに及ばないが、こうした特徴から、布陣や味方との組み合わせ、場面を選ばずに起用できるメリットがある。
起用の仕方次第で、カゼミロにも、モドリッチにも、クロースにもなることができ、かつ攻撃にアクセントをつけることができるのだ。
当初考えていたような、単にカゼミロと代替可能な守備的プレーヤーという以上の存在になりうるのである。
また、ASは今夏話題となったポグバになぞらえて、バルベルデこそがジダンにとってのポグバだと書いた。
どちらも彼の価値を表しているが、ここはマドリーらしく表現を修正しよう。
バルベルデはレドンドになれる。その可能性を示していると言いたい。
21世紀になってからも多くの才能がマドリーの中盤を支えてきたが、レドンドがそうだったように攻守にわたって試合を支配したプレーヤーは数えるほどしかいない。
現在の重鎮たる3人を超えて、レドンドに肩を並べる存在となる。それは困難な挑戦だが、バルベルデはその挑戦権を獲得したのだ。
ここからの階段を上っていく彼は、マドリーにとっての新たなる希望となるだろう。