遅ればせながら、ガラタサライ戦について。
リーガでの失態を取り返すため、そしてグループステージ突破のために勝ちが必要な試合。
■マドリーの先発メンバー
GK:クルトワ
DF:カルバハル、バラン、セルヒオ・ラモス、マルセロ
MF:カゼミロ;バルベルデ、クロース
79分:バルベルデ→ハメス・ロドリゲス、アザール→ビニシウス、82分:ロドリゴ→ヨビッチ
■ガラタサライの先発メンバー
GK:ムスレラ
DF:マリアーノ、マルカン、ドンク、リュインダマ、長友
MF:セリ、エンゾンジ;ベランダ
FW:バベル、アンドネ
46分:ドンク→フェグリ、67分:ベランダ→バイラム、77分:セリ→エムレ・モル
マドリーが躓いてチャンスが出てきたガラタサライ。ホームはいつもながらすごい雰囲気。
■ロドリゴ
マドリーにとって勝ち点3以外は許容できない試合。その上でのポイントは、ジダンがどうねじを巻き直すか。
やるべきタスクを全くこなせなかったマジョルカ戦を受けて、マドリーであれば通常求められるレベルのプレーをどの程度取り戻せるのかに注目していた。
ジダンのチームへの働きかけは明確で、うまくいっていないポジションでは違うプレーヤーに出番を与えることにした。
すなわち、ロドリゴの先発起用である。
前線のバランスは危うい。ベイル、ベンゼマ、アザールが現時点でのファーストチョイスなのは疑いないが、それに次ぐ者がいないからだ。
アセンシオは長期離脱中で、バスケスは攻撃面でのメリットがほぼなく守備固めでの起用が妥当、ビニシウスはシュートやクロスといった最後のプレーの精度が大きな課題となっており、それが他のプレーにも悪影響を与えているような状態だ。
ブライムはプレシーズンでは期待が持てるプレーをしていたが、その後短期間の負傷を繰り返してしまい、安定して招集されるに至っていない。
件のマジョルカ戦ではビニシウスが先発したものの、彼のプレーによって得られたものはほとんどなかったことから、トップチーム登録ではない27番のロドリゴに出番を回すことになった。
トップチーム登録されているプレーヤーは、このことに危機感を持つべきだ。
ジダンの進退がかかるとも報じられたこの試合で、26以上の背番号のプレーヤーが抜擢されたという事実は重い。
それに、ロドリゴのプレーは実際良かった。低い位置まで守備参加しつつも、必要な場面では攻撃にも参加していて、求められる水準の仕事はできていたと評価できる。
もちろん、この試合で彼が決定的な仕事をしたわけではないが、17歳の彼ができるのだから、このレベルはより経験のあるプレーヤーにとっては最低限と言ってもいいライン。そこに満たないのなら、ロドリゴに今後もチャンスが与えられてしかるべきだろう。
■守備の改善、バルベルデはチームを牽引
こうして手を加えたこともあってか、チームのリアクションも良かった。
目についたのはディフェンスの出足の良さ。ブロックを作っておいて、相手のボールに対して前に出て寄せることができていた。
受け身にならず、前へプレッシャーをかける守備を継続できたのは久しぶり。プレーの強度も含め、このところの試合では一番の出来だった。
先制点はこうした守備から。
18分、相手ボールに連続して寄せていったところパスがずれ、回収してショートカウンター。アザールが持ち込んで最後はクロースが決めた。
こうした速攻が完結したのはいつ以来だろうか。
アザールがシュートしても良かった場面だが、中盤からのサポートが間に合っていたことで、角度の良いクロースが蹴ることができた。速攻でも厚みがあったのは、こうした運動量が十分にあったからだ。
ガラタサライはこうした守備に対応できておらず、マドリーは中盤で良くボールを回収することができていた。
中でもバルベルデが重要な働き。ボール奪取、そこからの攻撃参加と、多くの場面に登場。こうしたプレーができる存在がいれば、カゼミロの守備負担は減るし、守備のバランスを犠牲にしてしまう攻撃参加もその必要性が減るから、チームにもたらすメリットは非常に大きい。
モドリッチの負担を減らす意味でも、彼をどんどん使ってほしいと思える内容だった。
■決めるべきを決めてこそマドリー
試合を通してガラタサライの対応が遅れたことで、特に後半になってからは、戻るスピードも落ち、マドリーがカウンターによるチャンスを何度も作っていた。
ここで3点4点と決めて相手の意欲をそげないのは、今のマドリーの限界。
アザールがムスレラをかわしつつもバーに当ててしまった場面は決めなければならなかったし、それ以外にも良い場面はあった。
それらを決め切れなかったことが、終盤の厳しい試合展開に繋がっている。
バベルのドリブルで1枚はがされることはしばしばで、コーナーの精度も良かったから、セットプレーを続けられればまずは良いというサイドの攻撃は厄介。
何とか跳ね返し続けられたが、最後の15分ほどは主導権を完全に失い、危ない状態だった。
終盤やセットプレーの守備のまずさは長年の弱点で、一朝一夕に改善することは見込めない。
それよりも、決めるべきところを決めて相手の意欲を失わせる試合を目指した方がマドリーにとっては近道だ。
この試合は何とかなったが、これをずっと続けてはいられない。今後に向けては、決めるべき場面を決めて楽に進められる試合を作ることを目指してほしいところだ。
■最後に
1-0ながら勝って、ひとまずは落ち着いた。この試合が改善のきっかけになった、と振り返れるようになれば嬉しいのだが、どうなるだろう。
週末はバルセロナ戦が延期となってお休みだった。コンディションが多少戻ったであろう次節レガネス戦で、主力組の動きが良くなるかに注目。