無失点で快勝。ミッドウィークに続いて良い内容での勝利を挙げることができた。
■マドリーの先発メンバー
GK:クルトワ
DF:カルバハル、バラン、セルヒオ・ラモス、メンディ
72分:バルベルデ→イスコ、アザール→ビニシウス、81分:ルーカス・バスケス→ブライム
今節の右サイドはルーカス・バスケス。
■エイバルの先発メンバー
GK:ドミトロビッチ
DF:デブラシス、アルビージャ、ビガス、ホセ・アンヘル
MF:エスカランテ、ディオプ;オレジャナ、乾
FW:セルジ・エンリク、キケ・ガルシア
65分:オレジャナ→ペドロ・レオン、81分:キケ・ガルシア→シャルレス、ディオプ→エスポージト
ホームではここまで3勝2敗。残留争いに加わりそうな状況。
バルベルデとクロースの組み合わせがチームにもたらす好影響は、これまでの試合で見えてきた。
この試合はバルベルデとモドリッチ。パートナーが変わっても機能するかが気になるポイントだった。
しかし開始してすぐに、杞憂であったことを理解した。
モドリッチと組んでもバルベルデはこれまでと変わらない動きで、攻撃をよくサポートし守備にも加わったのだった。
17分の先制点の場面は象徴的だ。
モドリッチがエリア内で一連のプレーのきっかけとなるシュートを放ったが、ドミトロビッチが弾いたボールに詰めたのがバルベルデだった。しかも彼は後方から飛び出したのではない。サイドに開いたベンゼマのポジションに入る形で、初めから最前線にいたのだ。
結果としては、さらにこぼれたボールをベンゼマが落ち着いて蹴り込んだ形となったが、インテリオール2人の関係性なくしては生まれなかったゴールだと言える。
こうしたポジショニングは、モドリッチとクロースの組み合わせではまず見られなかったものだ。
どちらかがエリアに入ればどちらかがバランスを取るのが彼らのやり方だった。中盤抜きでも点が取れる前線がありこうしたポジションを取る必要性が高くなかったこと、ロナウドが守備免除されていたため、彼以外のプレーヤーで守備組織を作らなければならなかったことから、彼らのやり方はチームに合い、素晴らしい結果を挙げてきたのだった。
その彼らも、バルベルデと組むと今のチームに合ったスタイルを実践する。
バルベルデは出て行ってもその後高い位置でボールを追ってくれる信頼があり、2枚ともの攻撃参加が可能になる。守備をさぼらないバルベルデの長所が、クロースとモドリッチの良さをさらに引き出す形だ。
もちろん、ベテラン2人の対応力の高さも見逃せない。
バルベルデの台頭によって、高い位置への進出が可能となるや、すぐにそのバランスの中で最適なプレーを見つけ出している。
バルベルデ単独ではこれほど効果的にはなっていなかっただろうし、攻撃参加も中途半端で、守備でもプレスがかからずバランスを欠いてカウンターを受けるという状態になることもあり得るのだから、経験に基づき彼らがよく補完しているからこそできるやり方なのだ。
■マドリーの改善、相手は対処できぬまま
このところ大量得点できたレガネス、ガラタサライは、このように変化したマドリーに対応できていなかった。
エイバルも同様で、マドリーの高い位置からの守備の速さ、タイミングにより人数をかけてくる攻撃を処理できず、マドリーの良さが非常に目立つ前半となった。
これまでであれば、緩かったり散発だったりするプレスばかりで、交わせば広大なスペースを利用して速攻ができていた。ところが、素早くボールにプレッシャーがかかるようになってそうした攻撃ができなくなっている。
また、エリア内でベンゼマが孤立していた攻撃も過去のもの。ガラタサライ戦で見られたようにクロスにはバルベルデも飛び込んでくるし、両ウイングが良い位置で前を向いてシュートを窺うようになって、ボールをサイドに追いやれば良いというものではなくなった。
ついこの間までのマドリーであれば、エイバルも粘ればチャンスを得られたかもしれない。だが、今は状況が違う。前半のうちに3得点を挙げて、一気に勝負を決めることができた。
アザールの復調もチーム好調の要因の一つだ。
良くボールに関与し、サイドで勝負できていたし、ドリブルでは1枚ははがせることが期待できるので、相手に相応の応対を強いることができている。
自身の得点はなかったものの、倒されて得たペナルティ、バスケスが倒された場面でのパスと、得点に直結するプレーがあり結果としても充実。ひとまず左サイドは安泰と思われる。
メンディとの関係性はまだまだで、良い連携があったわけではない。メンディはチームに慣れている途上といった印象だ。
それでもアザールのマーカーを外す愚直な上がりは地味だが効果的だし、守備に大きな破綻もなかった。マルセロの控えとしては合格。
バスケスの右サイドは良くも悪くもこれまで通り。
それでも、全体の攻撃が改善されたことで、バスケスの質の低さが目立たなくなっていた。これまではほかのプレーヤーと同じように彼にボールが預けられ、確率の低い仕掛けでボールロストしていたが、そうした機会が減っている。
彼にシュートやクロスをさせるのではなく、ボールの中継点として使う分には問題は少ない。これくらいの関わりを保てるなら、彼のデメリットを隠しつつローテーションに組み込むことは可能だろう。
■省エネの後半
ペナルティはセルヒオ・ラモス、ベンゼマが決めて、3-0となった後半は無理しないモード。プレーの基本は維持しつつも前半ほどは力を使わず、試合をコントロール。
こうした省エネは点差をつけたからこそできるもの。僅差で消耗することなく試合を進められる状況も、少し前からすれば想像が難しかった。
62分にはバルベルデもゴールを決めて4-0に。
大きくなったクロスを逆サイドでモドリッチが拾い、相手のラインが下がっていたところをバルベルデがついてうまく蹴り込んだ。
低くコースを狙ったシュートはクロースのよう。ダイナミックな動きが目立っていたこのところのバルベルデだが、こういうシュートもできますよ、と示すかのような美しいゴールだった。
エイバルがペドロ・レオンを入れて攻撃のテコ入れを図ったが、マドリーの守備は安定。4-0のまま経過して残り20分を過ぎたところで、好プレーのバルベルデとアザールを下げてイスコとビニシウス。重要なプレーヤーを休ませた。
登場した2人は序列が下がったプレーヤー。モチベーションを持ってのプレーが見られればと思ったが、チーム全体がペースダウンしており、攻撃での見せ場は多くなかった。バランスを崩すプレーをするわけにもいかないから、その後のブライムも含め、無難な内容になってしまったのはやむを得ない。
この試合でのモドリッチやバスケスのように、今のチームに先発で加わっても機能すれば、彼らもローテーションに組み込める。それを示せる機会が別にあることを期待。
守備は最後まで危なげなく、5試合連続のクリーンシート。
このところ、クルトワのプレーも落ち着いている。攻守ともに盤石の内容だった。
■最後に
代表戦期間となるのが惜しいと思える状態の良さをキープしている。ベイルの不在もちょっとした騒音の原因でしかないと捉えられるほどだ。
負傷なく代表戦を終え、この流れを保っていければ。
次節はレアル・ソシエダとベルナベウで対戦。そのミッドウィークには、今のチームにとっての試金石となるPSG戦が控えている。