アスレティックの堅守に阻まれ、スコアレスドロー。2019年最後の試合を勝利で終えることはできなかった。
■マドリーの先発メンバー
GK:クルトワ
DF:カルバハル、ミリタン、セルヒオ・ラモス、メンディ
57分:ミリタン→ナチョ、62分:ロドリゴ→ベイル、72分:ビニシウス→ヨビッチ
カゼミロを欠く中盤はバルベルデを底に置いた形。センターバックにはミリタンが先発に。
■アスレティックの先発メンバー
GK:ウナイ・シモン
DF:レクエ、イニゴ・マルティネス、ヌニェス、アルバレス、ユーリ
MF:ベスガ、ダニ・ガルシア;ラウール・ガルシア
FW:コドロ、イニャキ・ウィリアムス
73分:コドロ→ビジャリブレ、86分:イニャキ・ウィリアムス→ベニャト
ヨーロッパ圏内を窺える位置につけている。アウェイ8試合で6得点9失点となっており、点は取れないが失点も少ないという数字。
■クロスのみでは
カゼミロがおらず、バルベルデを底に置いた形で、ハイプレスが機能せず。
押し込んだ状況では5バックになり、中盤が同数になるにも関わらず、そこで奪ってショートカウンターでゴールに迫るプレーができなかったことで、アスレティックがしっかりブロックを作ったところを攻めるばかりとなった。
ショートカウンターでは良い場面を作れていたものの、数は多くない。そうなると、手数をかけることになって、サイドへの展開が増えるようになる。
5バックのアスレティックはマドリーの展開にスライドしてついてこられるので、サイドで時間を与えてくれない。中央の3枚もきっちり跳ね返せるし、ターゲットがベンゼマのみでは確率が低いから、クロスの難易度は更に上がる。
よって、安易にボールを入れられなくなり、下げてやり直すパターンが増えて攻撃は停滞する。
これはバレンシア戦で見られた問題と同じもの。
バルベルデがインテリオールにいて中央の圧力が強い時は、速い攻めが出せるのでサイドも生きるが、そうでない時に相手が幅広い展開についてくるか、中央がクロスに対して堅固だと、それ以上のことができない。
それをこじ開けられるかどうかは、後半戦の課題だ。
もちろん希望はある。
アザール、マルセロが復帰すれば、左サイドの狭い局面を打開できる可能性を高めることができるだろう。
サイドに展開してディフェンスを広げてからスペースを使って勝負する形を意図して増やしていければ、エリア内でのチャンスを増やせて、クロスも生きてくる。
この試合では、似たような役割としてビニシウスが何度か良い突破をして左サイドをえぐっていたから、良いところがないわけではなかった。
ただ、彼の場合はその後が問題なのと、1対1で勝負するプレーが多いために最終的に孤立してしまうことが多い。サイドバックらとの関係性で仕掛ける場面を作れるようになれば、彼個人もやりやすくなるのではないか。
■交代は相変わらず遅め
後半に入っても同じような内容。
アスレティックの2トップによる速攻の脅威は少なく、守備は問題がないものの攻撃がうまくいかない。よって、ベイル、ヨビッチと前線を入れ替えて高さのあるプレーヤーを増やしたのは妥当な判断。
この交代は、どうせなら後半頭からでも良かった。
ジダンは60分を過ぎないとチームの形を変えるような交代をほぼしない。先発を信頼する意味合いだが、前半のままだと進展がなさそうなのは理解していたはず。リスクを取る選択をしないのは、マドリーでのアンチェロッティと重なる。
ポストに当たる場面があったものの、最後までアスレティックの守備を破ることはできず。スコアレスで終了となった。
バレンシア戦、バルセロナ戦と続けての引き分けで、攻撃が機能不全との印象はどうしても強くなる。先述の通り問題点はバレンシア戦と同じように現れていることも、そうした印象を強める要因だ。
しかし、それとは別に、守備の改善は触れておきたい。攻撃に繋がるハイプレスこそ継続できなかったものの、カゼミロ抜きでもある程度計算が立つようになった意義は非常に大きい。
バルベルデを底に置くことで、相手を受け止めるだけのプレーは十分にできることを証明した連戦だったとも言えるだろう。
守備の問題がクリアされ、次はその先を改善する必要があると道筋がついた。少し前までは五里霧中でどこから手を付けていいやら、という状況だったのだから、2019年中にここまでできたことを前向きに捉えたいと思う。
幸い、すぐに冬の移籍市場もある。
彼と同様に守備のきっかけを作れるプレーヤーをインテリオールに入れられれば、2パターンの組み合わせを運用することができることになるから、この移籍市場でうまく振舞えれば面白くなる。
冬はどうしても難しい取引になるし、マドリーは登録枠いっぱいの状態なので売却からのスタートと制約はあるものの、チャンスがあれば中盤に手を加える良い契約をしてほしい。
■最後に
バルセロナが勝ったことで勝ち点差は2。難しいアウェイが多かった前半戦をしのいで、ついていけている。勝ち点差がついたとはいえ、慌てずにやっていきたい。
年始最初の試合はヘタフェ戦。続いてスーペルコパで中東へ。ペースダウンしがちな時期である1月に移動を強いられることとなる。
バルセロナ、アトレティコ、バレンシアが中東行きとなるので、ここでコンディションを落とすとリーガで差がつくことになりそう。
うまくやりくりしながら2020年をスタートしてほしい。