3-0で勝利したヘタフェ戦で71分からプレーしていたビニシウスは、試合後、出場のなかったナチョ、オドリオソラ、ロドリゴとともにフィジカルトレーナーからランニングなどの軽いメニューを課された。
出場がなかったか時間が短かったメンバーについての定例のメニューと思われるが、練習スタートしてまもなく、ビニシウスがトレーナーに「納得がいかない」と述べ議論したのちに練習から離脱したことをMARCAが伝えている。
このことについて、少し書いておきたい。
彼の行動を善意で解釈すれば、ビニシウスと同じく出場時間の短かったバルベルデ、ヨビッチが除外された理由は不明であるから、そのあたりの取り扱いの違いがわからなかったのかもしれない。
ただ、ロドリゴの台頭などがあり序列が下がっていて、プレーそのものもうまくいっていない状況を考えれば、規律を乱すような行動は避けるべきだ。
不満分子とも捉えられかねず、真意はどうあれ余計にピッチが遠くなる恐れもある。彼自身にとって何の利益のない行動だった。
さて、この話題でより重要なのは、こうした出来事がMARCAで取り上げられるようになったという点そのものだ。
スポーツ面での序列の低下はこれまで何度も触れてきたが、それに加えてクラブとしての彼の取り扱いも「格下げ」となったと考えられるからだ。
彼がクラブにとって真に重要であれば、MARCAでこうした報道は表立って出てこない。
繰り返しになるがビニシウスの真意は分からないし、チームとしても最終的に問題なしとなることなのかもしれない。
それでも「練習を拒否したプレーヤー」という印象が、それが事実かどうかに関わらずこうした報道により何となく漂っていくことは止められない。だから、彼が真に重要なのであれば、こんなちょっとした裏話が出ることにクラブがOKを出すことはない。
政治的にも、彼の取り扱いは「アンタッチャブルで常にポジティブとすべき」というものではなくなっていることが伺えるのだ。
そうであれば、彼の立場はより難しくなるだろう。
ジダンはペレス会長の意向を気にして彼を招集、起用する必要がなくなるし(これまでがそうだったということではない、念のため)、市場においても適切なオファーがあれば、といった扱いになることにもなる。
もともとそうした一般的扱いだったところから成りあがるなら良いが、格下げとなってからまた挽回するのは非常に難しい。
彼にそれをするために必要な能力と、ちょっとした運はあるだろうか。