レアルマドリードのある生活

レアルマドリードの応援日記。試合中心にお送りします。

CL決勝トーナメント1回戦第1戦 vマンチェスターC.

遅くなりましたが、シティ戦の振り返りを。

 ■マドリーの先発メンバー

GK:クルトワ

DF:カルバハル、バラン、セルヒオ・ラモス、メンディ

MF:カゼミロ;モドリッチバルベルデ

FW:イスコ、ベンゼマ、ビニシウス

 

75分:ビニシウス→ベイル、84分:モドリッチルーカス・バスケス、イスコ→ヨビッチ

 

イスコが先発。中盤はモドリッチバルベルデの組み合わせ。

 

マンチェスターC.の先発メンバー

GK:エデルソン

DF:ウォーカー、オタメンディ、ラポルテ、メンディ

MF:ギュンドアン、ロドリ;マフレズ、ジェズス

FW:ベルナルド・シルバ、デブライネ

 

33分:ラポルテ→フェルナンジーニョ、73分:ベルナルド・シルバ→スターリン

 

4-4-2の形。両翼がマフレズとジェズスとなっている。

 

■互いに守備重視

クロースとモドリッチバルベルデという組み合わせではなく、ジダンが選択したのはモドリッチバルベルデの組み合わせだった。しかも、バルベルデが右ではなく左という、変わった配置である。

これまで機能してきた配置を採用しなかった理由を、推測してみる。

 

第一の目的は、守備強度の問題であろう。

ボールを持たれる展開を想定した時、クロースでは心もとないと判断した可能性はある。本来右サイドで走り回ってほしいバルベルデをわざわざ左に移したのも、左サイドの安定を図った狙いとみれば理解はできる。

 

一方、バルベルデが左だと、カウンターに出る時に彼を生かせなくなるデメリットがある。実際、良い形で出ていけそうな場面があっても、右サイドで見られるほどスムーズなプレーになっていなかった。

そうなるだろうことは、これまでの試合を見て現場でもわかっていると考えられるから、そのデメリットがあってもなおこの形を選んだということになる。とすれば、守備に相当気を使って入ったとみるのが自然ではないか。

 

マドリーの守備は前から一人ずつにつき、はがされないようについていくが、無理に取りに行くリスクは負わないもの。

エデルソンを使って組み立ての安定を図っていたシティのやり方に付き合って追い回すことはせず、GKからボールが出た先で回収する形をとっていた。

こうした守備を見ても、奪って速攻に移るまでは意図しておらず、まず危険な位置でプレーさせないことを第一に考えていたものと考えられる。

 

対するグアルディオラも2トップに本来フォワードでない2名を置いた。これには、マドリーのサイドバックの裏を使う意図があったように思える。

特に右サイドはカルバハルが多くを担っている。イスコが先発したことで、カルバハルの負担は大きくなった偶然もあり、その裏を突かれるリスクは大きくなっていた。

サイドバックが高い位置を取ることができた時にマドリーの攻撃は機能する。少なくともそれを牽制すること、できればサイドバックの裏を使って攻撃を前へ進めることがグアルディオラの考え方だったのではないか。

 

このように配置を見ると、互いに守備を優先して考えていたように思われる。

早い時間の失点は2試合通じてのプランを狂わせるから、守備第一の考え方はCLでは妥当だ。配置は普段通りではなかったが、考え方はオーソドックスなものだったと私は考えている。

実際に前半は互いに様子を見てプレーしていた印象だった。ミスをした方がピンチになる、ヒリヒリした展開になった。

 

その中で、マドリーではイスコの存在が異質だった。

自由に動きボールに寄っていくイスコの動き方だと、バランスが崩れる恐れが強まるからだ。

 

サイドで組織を崩さないことを前提とするならばバスケスが適任である。

彼を選ばなかったのは、ベイルかバスケスを交代で選べる余地を残すためかと思ったが、リードしてもバスケスでバランスを取る選択をしなかったので、そうではないようだ。

カウンター狙いにしすぎるとボールを持たれまくり、全くペースをつかめなくなる心配もあると考えて、イスコのところで落ち着かせたいと考えたのかもしれない。

 

 誤算は、右サイドのほぼ全てを任せたカルバハルが酷い出来だったこと。

攻撃では良いクロスが供給できずパスミスが目立ち、守備でも軽いところが散見された。この試合での彼はスペシャルな存在ではなく、並みのサイドバックでしかなかったのだった。

 

■先制

マドリーは後半になってバルベルデモドリッチの左右を入れ替えた。

 

 バルベルデを攻守に動きやすい右に移したのは、シティが慎重な出方で思ったよりボールを持てるので、いつも通り動いて点を取りに行こうという合図。

バルベルデが右サイドを動いてくれるので、イスコはより中央に進出しやすくなった。さすがに左まで動くことは多くなかった前半とは変わり、後半は2列目で自由に登場するようになっていった。

 

先制はマドリー。

60分、シティが低い位置での組み立てで失敗したのを見逃さずにひっかけてビニシウスから最後はイスコ。

ミスをしたらやられるという前半の流れ通り。シティが先に致命的な失敗をし、マドリーはそれを逃さずものにした。

 

今のマドリーは大量点で勝つ試合を目指すことが難しい。

しぶとく戦ってミスを逃さずに突き、守備を頑張って最後にできればカウンターでダメ押しというチームだ。

だから、動きの少なかった前半を経てここで得点、の流れは狙い通り。

 

ここまでは良かった。

 

■残念な終盤

70分を過ぎて、互いに交代。

マドリーはビニシウスに代えてベイルとし、シティはベルナルド・シルバに代えてスターリング。

マドリーはポジションそのまま、シティはジェズスを中央に動かした。

 

前述の通り、イスコ先発により選択肢を2つ持つことができていた。

ベイルでカウンターの脅威を与えていくやり方と、バスケスで守備バランスを取るやり方である。

ジダンは前者を選び、グアルディオラはマドリー右サイドにスターリングを当ててきた。この選択が残り15分を大きく左右することになった。

 

カルバハルが問題ないレベルであれば、右サイドはもう少しやりようがあったかもしれない。

ところが、カルバハルの調子がおかしいのはかなり序盤から明らかで、味方からすればフォローしたくなるような状態であった。そのため、右サイドの動きは重たくなってしまった。守備も普段より人数をかけることとなって、結果的にバランスを欠くことに。同点ゴールはデブライネの技術の高さがあったが、ペナルティの場面では元気なスターリングにカルバハルがついていくことになって、足を出してしまった。

 

結果論としては、カルバハルの状態を見て右サイドに手当てしておけばもう少し何とかなったのではないかと思ってしまう。

しかし、個人的には、そのポイントを外したジダンの選択よりも、ピッチで何ら対応できなかったプレーヤーの成長のなさに問題を感じる。

個々のプレーというより、リードして残り20分を切った状態でどのように試合を進めるかについて、はっきりした判断ができないままに連続失点した点について、昨シーズンの敗退から学ぶことができていないように見えたことが残念だ。

 

繰り返しになるが、2点目を積極的に狙うことは難しいチームである。

ベイルが入ったとはいえ、まずはブロックを作って守ることを優先し、その先にカウンターでのゴールがあれば幸運というくらいのスタンスで臨むべきであった。

にもかかわらず、特に狙いどころもないままに下がって、シティのアタッキングサードでのプレー機会を増やして決壊したのだから、なんとも勿体ない。

 

最悪でも、1失点目の後にアクションがあってしかるべきであった。そこでベテランはうまくチームを導けず、若手も流れへの反発をできずにずるずるやられた。そこには何の自発的判断が見られなかった。新しい体制で挑戦する立場のチームとして、とても残念な対応であった。

 

3失点目はセルヒオ・ラモスが退場と引き換えに防いだものの、この場面もパスミスがカゼミロ、セルヒオ・ラモスの前にチャンスがあったバランが楽にかわされての後である。

重鎮たるべき面々が重要な場面でしかるべきプレーをできなかったと評価するしかない。

 

■第2戦へ向けて

マドリーはアウェイゴールが2つ必要となった。今のチームにとっては大きなビハインドである。

 

シティはラポルテが負傷で恐らく間に合わず、メンディは出場停止で、最終ラインの組み合わせに問題を抱える可能性がある。

逆に割り切ってアウェイで積極的なプレーができればチャンスはあるかもしれない。

一番良くないのは、この試合のようにふわっと着地させにかかること。それで軟着陸できる能力は今のチームにはない。

必要なことが明確になったのを利用して、自分たちのプレーをどうするか明らかにして戦ってほしい。