レアルマドリードのある生活

レアルマドリードの応援日記。試合中心にお送りします。

リーガ・エスパニョーラ第28節 vバルセロナ

敗れはしたが、思っていたほど内容は悪くなかった。悔しさを感じられる敗戦。

■マドリーの先発メンバー

GK:カシージャス

DF:カルバハル、ペペ、セルヒオ・ラモス、マルセロ

MF:ベイル、モドリッチ、クロース、イスコ

FW:ベンゼマロナウド

73分:ペペ→バラン、81分:イスコ→ヘセ、88分:モドリッチ→ルーカス・シウバ

セルヒオ・ラモスモドリッチが復帰し、お馴染みのメンバーが揃った。

バルセロナの先発メンバー

GK:ブラーボ

DF:アウベス、マテュー、ピケ、アルバ

MF:マスチェラーノイニエスタラキティッチ

FW:メッシ、スアレスネイマール

76分:ラキティッチブスケツ、80分:イニエスタ→シャビ、84分:ネイマールラフィーニャ

ブスケツがベンチ。マスチェラーノがアンカーに入って、センターバックはピケとマテューの組み合わせ。

■拮抗も、残念な失点

マドリーの守備陣形は4-4-2。一時期は戻らなくなっていたベイルが最近は中盤に組み込まれるようになっており、この試合でもそれは継続。バルセロナを相手に定石通りリトリートしてカウンターを狙う形が徹底されていた。

中盤より前のマークを維持しズレを起こさないよう、センターバックのマテューがボールを持ち上がっても応対しないことも。かつてはプジョルに対して同じことをしていた。ボールを持っていない時は、きちんとブロックを作り、そこまでバルセロナを引きつけて速攻を目指す。

バルセロナは、彼らを特別なものとしていたポゼッションによる攻撃から変化している。ボールを持てばかつてと変わらない遅攻をするが、必ずしもそれに固執してはいない。前線の3人を生かし、長いボールを使うことも増えた。

この試合では、ブスケツが間に合わずベンチとなり、守備は良いが組み立てでは少し落ちるマスチェラーノが中盤に入ったこともあり、ボール支配率は50%ずつといったところ。(ASではバルセロナの51%と紹介されている。)

ボール支配率が拮抗するようになったのは大きな変化である。

マドリーとしては、かつてのようにハイプレスで低い位置から脱出できないようなことがなくなったことを意味し、延々とバルセロナのペースで試合が進むことはなくなったと言えるが、それと同時に、カウンターでゴールに迫れる機会が少なくなったことも意味する。

また、マドリーはボールを持って攻めざるを得なくもなる。あまり得意ではない遅攻で失敗すると、バルセロナにカウンターを受けることにもなるので、これまでのバルセロナ戦とは違った準備が必要となる。

ボールを持つバルセロナと待ち構えてカウンターを狙うマドリーというはっきりした構図が失われつつあり、様々な対策をしなければいけない試合となってきている。

以前なら、マドリーはボールを持つ機会が少ないのでボールの奪い方を考え、そこから縦に速く展開することだけを考えればよかったのだが、支配率が拮抗していると中盤でのせめぎ合いが増えるし、相手陣内に多くの人数が侵入した状態もしばしばあるので、奪われ方にも注意を払わなければならなくなる。

この試合でも、中盤でのやり取りが多く、悪い奪われ方をした方がピンチを迎えるという展開が多く見られた。

モドリッチ、イスコが狭いところで持ち、クロースやセルヒオ・ラモスのサイドチェンジで広いスペースを享受することがある程度は出来ていて、まずまず。右サイドではベイルがいろいろと工夫しようとしていた。

ただ、イスコの持ちすぎる悪癖が何度か出て、メッシを中心とした速攻を受けることに。中盤の争いではどちらもある程度のところまでは出来ており、先に致命的なミスをするか、という状態に。

最近のマドリーの出来を考えれば、カンプノウバルセロナを相手に互角に渡り合えたことは率直に言って意外だった。

それだけに、セットプレーで先制を許したことは非常に悔やまれる。リードを得ればバルセロナはボールを持っていられるので、追いかける方の負担は他のクラブとの対戦よりもずっと大きくなってしまう。

マドリーは一度追いつくことになるが、バルセロナを相手に追いかける展開となってしまったことで、失速が早まったのは確か。せっかくうまく行っていただけに、もったいない失点となった。

アタッキングサードでのマドリーの鍵はモドリッチベンゼマ

モドリッチの縦パスを入れる技術はさすが。イスコは自分で仕掛けられ、ゴールを決める能力を持っているが、楔のボールを入れるプレーはモドリッチがぬきんでている。こうした仕掛けのパスが出せないと守備陣の中にボールを送り込めない。このパスがなければ、彼の不在中に見られたように攻撃が停滞することになる。

そのモドリッチのパスを受けて周囲を生かせるのがベンゼマで、彼の受けと落としのプレーはこの試合冴え渡っていた。何度もボールを受けては味方が前を向けるパスを出し、最前線で攻撃の中心に。

マドリーの同点ゴールはこの2人の関係から。

モドリッチのパスに反応したベンゼマが中央からエリア角の位置まで移動。空いたスペースにヒールで落とし、ロナウドが走りこんでディフェンスより僅かに先にボールにタッチ、ゴール隅へ決めた。

ベンゼマの受けと落としの技術が凝縮されたプレー。流れるようなプレーのアシストだった。

その後もどちらかと言えばマドリーペースの前半。

決定機とまでは行かなかったが、もうちょっと何とかしたかった場面が何度か。先に失点し、ここで勝ち越せなかったことで、結果として後半が苦しいものになった。

■象徴的なスアレスのゴール

後半も中盤同士のやり合いがメインで、マドリーも一定程度チャンスを得ていた。立ち上がりのベンゼマのシュートが決まっていれば。完全に転がせなかった分、ブラーボの手が届いた。

マドリーは良い時間帯にゴールを奪えず同点のまま時間が経過するにつれて、徐々にルーズに。

マドリーは前半のうちにペペ、セルヒオ・ラモスロナウドがイエローを受けていたが、その後カルバハル、モドリッチ、イスコとカードを受けた。ファールで止めざるを得ない状況が増えたということで、退場者を出さなくて幸運だったと言える。

マドリーが与えるスペースが増えてきて、バルセロナはやりやすくなったが、不用意に出てきてくれればマドリーもカウンターを狙える。互いに隙を見せながらの展開。こうなった時に一発で決められるプレーヤーがどちらにもいるが、この日結果を出したのはバルセロナの方。

アウベスの縦パスに合わせてラインの裏に走ったスアレスが完璧なファーストタッチ。減速せずトラップしてボールを持ち出し、シュートをファーサイドへ。ペペの足はほんの僅か及ばず、カシージャスは逆を取られて反応できなかった。

これまでであればバルセロナを相手にする時は考えなくても良いものだったこうした縦パスによる速い展開で決められたという点で、このゴールは象徴的。先に触れたように、この2クラブの対戦様相を変えつつあるということをはっきりと示したと言える。

再びビハインドを負ったマドリーは、前半同様頑張りたかったが、ここまでにかなり消耗していた。

良い形を作れず、焦ってミスしてはバルセロナショートカウンターを受ける繰り返しに。こうなると以前のバルセロナ戦と変わらない。無理な状況で守らざるを得なくなり、失点は時間の問題といったような攻撃を受けては凌いでいた。

■マドリーの厳しいベンチ事情、バルセロナは悠々

今のマドリーが苦しいのは、こうなった時に交代で流れを変えられないこと。

ヘセは昨シーズンのようなプレーを出来ていない。相手を前にして狭いところでプレーするのが得意なプレーヤーではないし、BBCを残して彼も入れるスクランブル態勢、出し手もバタバタしているような状態では彼の良さは出ない。そうでなくても、負傷から帰ってきてうまく行っていないのに、こうした試合に投入して結果に繋がる可能性は決して高くない。

最後にモドリッチをルーカス・シウバに替えた交代は、交代枠を残さないためのものに思えた。モドリッチのコンディションを考慮した部分はあったかもしれないが、イスコもモドリッチもいなくなって出し手は完全に不在に。この試合の結果を求めるには余りにも歪な構成となった。

バルセロナブスケツとシャビを投入し、明確にポゼッションを安定させる形にシフトしたのとは違い、マドリーは攻撃に出るための交代としてベンチにいるプレーヤーを何の脈絡もなく入れるほかなかったのだ。

先発は良い内容を見せてくれたが、彼らが疲労してきた時、チームとして継続させるための術は今のマドリーにはない。

それは人数の少ないチーム構成となったシーズン当初からある程度分かっていたことであるし、それに加え、出場時間の少ない控えメンバーに主力と同じプレーを求めることにも無理がある。

アンチェロッティが控えをうまく使ってこなかったのは事実だが、一方で彼が起用し得る(彼好みの、と言っても良いだろう)プレーヤーをベンチに置けなかった、置かなかったのも確か。こうした効果的でない交代策を取り続けるアンチェロッティを責めるよりは、ペレス会長をはじめフロントの夏の仕事にこそ批判の目が向けられるべきだろう。

時間が経つにつれて厳しくなるマドリーを尻目に、バルセロナは磐石の試合運び。人数も少なく、バタバタしたマドリー守備陣を相手に、何度も決定機を作ったが、最後は決めさせず。カシージャスがチャンスを繋いだ。

こうした展開で落ち着いてプレーしてくれたカシージャスは評価したい。2点目は何とかして欲しかったところもあるが、終盤の集中力はさすがだった。

終盤は決定機を作れず、1-2のまま試合終了。バルセロナとの勝ち点差は4となった。

■最後に

最初に書いたように、内容は思ったほどは悪くなかった。バーを叩いたロナウドのシュート、ブラーボに防がれたベンゼマのシュートなど、決まっていればという場面があったし、アウェイながら拮抗した試合をすることができた。

追いかけておりやむを得なかった終盤を除けば、バルセロナのようなクラブに対抗できるだけの集中した守備を持続できたことは、今後特にCLを見据えて期待ができる部分。

きちんと形を作って守るという当たり前のことができれば、苦しんだ時期よりはずっと良い内容のプレーができるし、結果もついてくるだろう。

リーガのタイトルを考えると厳しい敗戦ではあるが、内容的には1月からのひどい時期を脱せそうな手ごたえのある試合だった。

次の週末は代表戦のためリーガはお休み。

次節は4月5日、ベルナベウにグラナダを迎える。

負傷者が出ることなくチームに帰ってきてくれることを祈っている。