レアルマドリードのある生活

レアルマドリードの応援日記。試合中心にお送りします。

CL準々決勝第1戦 vヴォルフスブルク

バルセロナ戦快勝の勢いをもってのCLだったはず。だが、マドリディスタの喜びは3日ともたなかった。

■マドリーの先発メンバー

GK:ケイラー・ナバス

DF:ダニーロ、ペペ、セルヒオ・ラモス、マルセロ

MF:カゼミロ;モドリッチ、クロース

FW:ベイル、ベンゼマロナウド

41分:ベンゼマ→ヘセ、64分:モドリッチ→イスコ、85分:クロース→ハメス・ロドリゲス

ダニーロが先発した以外はお馴染みの面々。

ヴォルフスブルクの先発メンバー

GK:ベナーリオ

DF:ビエイリーニャ、ナウド、ダンチ、リカルド・ロドリゲス

MF:ルイス・グスタボエンリケ、アーノルド、ギラボギ、ドラクスラー

FW:シュールレ

80分:エンリケ→トラシュ、85分:シュールレ→クルーゼ、89分:ドラクスラー→シェーファー

バルセロナ戦とは逆に

ボールを持つバルセロナに対し、カゼミロを起用しうまくブロックを作って対処して勝機を得た週末。ミッドウィークには正反対の形となり、マドリーがボールを持ち、ヴォルフスブルクが待ち構える展開となった。

ジダン体制となって以降アウェイで思い通りにいかない試合が続いていたことを差し引いても、近年のマドリーはきっちり退かれると分が悪い。大雑把な言い方をすれば、バルセロナのスタイルには対処できるが、アトレティコのスタイルに対してはどうにもやりにくく、なかなか勝てないことと共通する課題だ。

ジダンがポゼッション重視を推進しつつあってもそれは変わらず、週末には勤勉にブロックを作りバルセロナを破った一方、逆にブロックを作ってきたヴォルフスブルクに対しては攻撃の糸口が見出せなかった。

最初の決定機はあったものの、それ以降20分に渡り延々とボールを保持しながらシュートにさえ結び付けられなかった時間帯に、今のマドリーが突かれると一番辛いポイントがあったといえよう。

もちろん、バルセロナ戦の疲労はあったのだろう。ゴールは挙げたし、結果的に勝ったことで印象は薄まったが、組み立ての際の存在感はほとんどなかったベンゼマはこの試合でも同様にコンスタントな仕事ができず。

その他のプレーヤーも、ブロックを動かし、ずらすために必要な運動量を欠いており、こうした状況ではよくあるように、ボールはヴォルフスブルクのブロックの外側をなでてばかりいた。

ではサイドはどうか。

中央が苦しければ両サイドに引っ張って守備の網の目を広げるのが定石であり、マドリーはベイルとロナウドの両翼とマルセロとカルバハルの攻撃参加、そこに速いスピードでボールを届ける後方のロングパス精度によってサイドから速く崩す術を持っている。

ただ、最も効果的に両サイドに展開できるのがクロースは、カゼミロの台頭に伴い一列前となっており、よりボールを持つ形、ショートパス主体のプレーへとシフトしている。

そして右サイドバックはカルバハルではなく、悩めるダニーロだった。

本来は攻撃的なプレーヤーであり、ボールを持つ展開においてはいろいろと変化を付けられるはずなのだが、どうにもぱっとしない。長所を消して守備のバランスも考えようとしている節があり、中途半端。ここぞという時に攻撃に関与できる位置におらず、かといって守備も前に出て奪えるほどの位置にもいない。

バルセロナ戦でネイマールの前に出てパスをカットし決勝点の基点となったカルバハルのような守備は望むべくもなく、奪った後のヴォルフスブルクの攻撃を受け止めるだけとなっていた。スペースがあり、もともと守備が不得手な彼が対処すればどうしても問題が生じてしまう、

ここまで様々に非難されてきた経過があり、彼としてもうまくチームのためにプレーしたいと考えているのは見受けられる。だが、それは彼にとってもチームにとってもプラスとなっていない状況である。

動きに乏しいマドリーに対し、ヴォルフスブルクは4-1-4-1となって、サイドもきっちり2人で見て蓋をした。これはバルセロナに対しマドリーが行った対応そのものだ。

週末にうまく機能させたことを逆にやられてしまい、バルセロナほど遅い攻めにバリエーションが少ないマドリーは苦しい展開を強いられた。

怪しげなペナルティだった1点目は主審のハイライトだが、2点目はヴォルフスブルクがしてやったりという形。ヴォルフスブルクが守備から良い形を作り、マドリーはボールを持たされて手詰まりとなるお馴染みの形で攻撃が頓挫した。

■交代策

転換点となりえたのは41分のベンゼマの負傷交代。

ポストプレーで攻撃の基点となり、遅攻でもパスの受け手、出し手として最も機能するのは彼。ヴォルフスブルクもここで攻撃を作られるのを嫌い、きっちりつぶしにきていた。

そんな中で、接触が多くなり、膝を痛め前半のうちに途中交代となったのだが、ここで代わりに誰をピッチに入れるかが試合の分かれ目の1つとなった。

べったり退いて跳ね返すには余りにも早い時間帯ではあるが、既に2点を取ったヴォルフスブルクはりこれまで通りのやり方を変える必要がなくなった。マドリーがボールを持たされる展開が続くことは基本的には変わらず攻撃の課題に変化はないだろうという状況

そうであれば、フォワードではないものの、パスの出し手となれるプレーヤーを出場させ、遅攻の改善を図るべきだったのではないだろうか。

個人的にはイスコを投入すべきだったと考えている。

彼の0トップだと器用にフォワード的振る舞いをしてしまうということもあるが、狭い局面で違いを作れるのはまず彼。ヴォルフスブルクのブロックの中でボールを受けて基点となれたかもしれない。

バルセロナ戦では、既にスペースがあり、ボールも持たずに済んだのでヘセが順当な交代策だった。ジダンフォワード序列としてはヘセが上位にあるようであり、これまでもヘセが途中出場してきたのは確かだが、この試合展開でヘセでは苦しい。

アトレティコ戦でヘセが途中出場してサイドに追いやられ、何もできなかったことも記憶に新しく、きっちり退かれた時の引き出しとしては適当ではなかった。

結局64分にモドリッチと交代してイスコが入り、攻撃に出ようという意思表明はしたが、ポジションそのままで交代としては変化に乏しい。クロースをハメスに替えたのもそのままの入れ替えだったし、時間は残り5分程度。

3点目は与えたくない展開とはいえ、ジダンの交代策はやや保守的だった。

ヴォルフスブルクの周到さ、マドリーの傍若無人

マドリーの問題はあるにせよ、ヴォルフスブルクの守備は最後まで統率が崩れず素晴らしかった。

ベンゼマを負傷で欠き、ラインの間で受けられるプレーヤーを失ったマドリーは、中から崩すことはできず。サイドもうまく対応され、両翼のスピードを生かすことはできなかった。ロナウドバルセロナ戦に続き、縦に抜く以外のドリブルでリズムを作ったり、守備をずらしたりすることの不得手を明らかに。預けられても、変化を付けることはできず下げてばかりだった。

マドリーもボールを捨てて、ヴォルフスブルクが出てくる展開を意図することも可能だっただろう。カゼミロを使うことでバランスを保てている状況であるし、アウェイなので週末に続き実を取る形になっても良かった。

だが、序盤にだらだらとボールを持つことになり、判定はあるにせよ失点を重ねてしまうと、その後ボールを持つ以外の選択はなくなってしまう。

CL準々決勝というステージであることを忘れ、あたかもリーガの1試合のように無警戒にボールを持ってやられてしまうという最悪の展開となった。

マドリーにとって苦手なドイツの地、ジダンもアウェイで苦労しているというこれまでの経過を考え、現実的な対応を準備しても良かったのだが、やりたいことを優先してしまい、自滅した感が否めない。組み合わせ的には幸運といわれたが、このレベルでそこまで傍若無人にさせてはもらえないという教訓だけは得た。

ベルナベウでの第2戦では3点以上が必要。不可能ではないが、アウェイゴールもなく追う展開は苦しい。同じようにボールを持つにせよ、この試合と同じレベルのプレーではゴールは奪えない。アタッキングサードでの動きの質、奪われた後のプレスの速さが鍵となるだろう。カウンターもしっかり準備したい。

バルセロナ戦で見せた可能性を自ら潰さないためにも、高いモチベーション、規律あるプレーで結果を出してほしい。