レアルマドリードのある生活

レアルマドリードの応援日記。試合中心にお送りします。

CL準々決勝第2戦 vユベントス

トリノでの大勝から1週間。ベルナベウでこれほどの惨状を晒すことになるとは思ってもみなかった。

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 ■マドリーの先発メンバー

GK:ケイラー・ナバス

DF:カルバハル、バジェホ、バラン、マルセロ

MF:カゼミロ;モドリッチ、クロース;イスコ

FW:ロナウド、ベイル

 

46分:カゼミロ→ルーカス・バスケス、ベイル→アセンシオ、75分:モドリッチコバチッチ

 

バジェホが間に合って先発。4-3-1-2の形で前線はロナウドとベイルとなった。

 

ユベントスの先発メンバー

GK:ブッフォン

DF:デシリオ、べナティア、キエッリーニ、アレックス・サンドロ

MF:マテュイディケディラドウグラス・コスタ、ピャニッチマンジュキッチ

FW:イグアイン

 

17分:デシリオ→リヒトシュタイナー、89分:イグアインシュチェスニー

 

ディバラを出場停止で欠く一方、べナティアとピャニッチは復帰。

 

■第1戦を踏まえて

先週の第1戦では、早い時間にアウェイゴールを奪ったものの、4-3-1-2と4-2-3-1の組み合わせからサイドの主導権は明け渡していた。

 2列目のポジションが攻撃終了時の形によって毎回異なり、場合によっては4人揃うのにも時間を要するので守備は安定せず、ユベントスにゴールを与えなかったのは最後の踏ん張りとちょっとした運だった。

そこから2点を奪って3-0とし、マドリーの4-4-2の真価を見せる必要なく終えられていたのだった。

 

そして第2戦。

第1戦で見せずに済んだ4-4-2でバランス良く守り、ボールを持つ場合はサイドの主導権を握っていく、というやり方を私はイメージしていた。

しかし、ジダンが選択したのはは4-3-1-2。バスケス、そして恐らくベンゼマもコンディションが整っていなかったであろうことも、この選択に影響したかもしれないが、まず守備からの発想で良い状況の試合で、守備の不安定な形を採ったことは驚きだった。

 

対するユベントスは、左サイドにマンジュキッチを配置。

第1戦ではドウグラス・コスタとアレックス・サンドロの両サイドだったが、この変更により、右で崩してクロスボールにマンジュキッチというシンプルな攻め筋ができることになった。

ただでさえサイドが弱いマドリーに対し、初戦の反省を生かしたユベントスのサイドの圧力が非常に高かった。おとなしかったドウグラス・コスタはサイドから中央にかけてスピードでかき回すようになり、ファールでとめざるを得ない場面がしばしば。

空けたスペースに入ってくるケディラやデシリオ、リヒトシュタイナーを捕まえるのにも苦慮し、形としてはユベントスの狙い通りとなった。

 

マンジュキッチ対カルバハルのミスマッチを突くクロスも冴え、前半のうちに2点。

僅かな違いからマドリーが無失点で済ませ3点を挙げた第1戦を踏まえ、しっかり修正してきたユベントスがベルナベウを席巻した。

 

■工夫なき試合展開

残念だったのは、苦しい展開の中で第1戦のように粘ることができなかったこと。

構造的な弱点はさておき、個々で工夫すればもう少し我慢できたのではないかとの思いが拭えない。

 

攻撃をスローダウンするイスコのプレーは、こういう時にこそ効果的に使いたかったし、周囲も彼に預けて時間的な余裕を得ても良かっただろう。

イスコのプレーは普段はもったいない場面が多いのだが、既にリードを得て始まっているこういう試合では、出てくる相手をいなす有効な手段になる。普段通りに彼を介さず速い攻撃を意図していては、速いペースで切り替えて得点を増やしたいユベントスの思う壺になってしまう。

 

特に残念だったのはカゼミロとベイル。

早々に先制点を許し、ムードとしては非常に悪いにも関わらず、カゼミロはポジションを離れてあがっていくし、ベイルは右サイドで何の違いも作れなかった。

起用法の問題もあるのだろう。その点を否定するものではない。また、繰り返すが、マドリーの4-3-1-2の構造的な問題、サイドの枚数不足や守備の不安定さもあって、彼らの長所を生かしづらい状況であったこともあるだろう。

 

ただ、それを加味しても、この大一番においてさえ工夫がなさ過ぎたといわざるを得ない。

しかも、ユベントスが早々に先制し、あと3点取るために攻めに出ていた流れの中で、普段と変わらないプレーに終始したことは、怠慢と言っても言い過ぎではないだろう。

彼らがバランス調整のための交代枠になることは自然な流れだった。

 

■マドリーは修正、ユベントスは我慢して

マドリーは後半からバスケスとアセンシオを入れて4-4-1-1に。

これで少なくともサイドでの同数は確保し、守備バランスを保てるようになった。

先に述べたとおり、第1戦でこの形を晒さずに済んだメリットを最大限生かすなら頭から採用すべきではないかと考えていた。

修正したジダンの判断は良かったが、前半に冒険した代償は大きかった。

 

ナバスのミスで追いつかれた後、マドリーは週末もプレーしていたモドリッチを諦めコバチッチへ。

一方のアッレグリは、交代枠を使わず。流れはユベントスにあり、マドリーの変形を経て、状況に変化があればあと2つを使って対応するような出方に。

 

それでも、70分を過ぎマドリーが押す展開となってから手を入れなかったアッレグリの我慢強さはすごい。

終盤押しまくる展開で、マドリディスタは昨シーズンの決勝を思い起こしただろうが、ユベントスとしては凌いで一発で仕留められればといった意識。

前半の成功体験で、少ないチャンスをものにできるという考えは維持されていたように見受けられた。

そのため、ドウグラス・コスタは最後までいいところに顔を出していたし、イグアインなどは自身で輝くことはなくともチームの形に殉じて頑張っていた。

 

対するマドリーは3つの交代を使って猛攻。

サイドからのボールが増えて、単調ではあったものの、こちらもどこかで合えばといったところ。中央の枚数不足でユベントスに跳ね返されつつ、強みを生かしてサイド中心の攻撃を続けた。

 

そしてアディショナルタイムにペナルティ。

ここぞという場面でロナウドが1対1を制し、クロースのボールを落とし、最後はバスケス。べナティアの後方からの接触を受ける形になった。

この場面で中央に入ってきていることに、バスケスの変化がある。以前のように右サイドに張っているだけでは、ここに彼が登場することはなかった。

最後の最後に、シーズン後半にマドリーが進化したところを発揮したと言える。

 

長い混乱の時間の後でも、落ち着いて素晴らしいコースにペナルティを決めたロナウドの精神力はさすがという他ない。

前線で我慢する時間が長かった試合で思うようにいかなかくても、GKにチャンスを与えないコースへ蹴り込んだ。

 

■最後に

最初の選択の代償を90分かけて払うことにはなったが、延長にならずに済んだことは幸いだった。

後半に修正しても、悪い流れを断ち切れたのは70分過ぎで、3点のリードをふいにしてアウェイゴールを与えないように攻め続ける難しい試合運びを自らに強いることになってしまった。

 

最後にペナルティを得たのは、まさに幸運。ロナウドが少しだけ自由を得て、中央にバスケスが入り込む形が、こんな土壇場で出ようとは思わなかった。

 

楽観的な言い方をすれば、2戦とも4-4-2の強さを見せることなく準決勝に進んだともいえる。明らかにうまくない方法での立ち上がりは、4-4-2スタートの内容とは大きく違うものになるから、次のバイエルンも対応に時間を要することになるかもしれない。

そうなれば、序盤のうちに良い形を作れる可能性が広がる。

 

ギリギリで勝ち抜けたメリットを大いに生かし、バイエルンとの2試合に向かってほしい。