レンヌの17歳、エドゥアルド・カマビンガは、マドリーが契約を目指しているプレーヤーの一人だ。
ベイル、ハメスといったあたり、さらにレンタル組を含めて考えると人員過多で、マドリーはまず放出が優先事項である。彼は、その状況の中でこの中断期間に獲得の方面で具体的に名前が挙がっている数少ないプレーヤーである。
マルカが継続的に報じていることから、その中でもリストの上位に名前が入っているのだろうと思われる。
カマビンガに期待されることや、マドリーが彼と契約したとして、その後の懸念について、少しまとめておく。
■期待
今シーズン、カマビンガはレンヌで36試合2,783分間出場した。
出場時間ではレンヌ内で5番目に多く、17歳にして主力の地位を確固たるものとしていると言える。
しかも、チームの成績も3位(リーグアンは既に終了し、順位確定している)。時折見られるような、個人だけが輝いていてチームの勝ちがついてこないといったことではなく、チームの好成績に寄与し続けてシーズンを戦い終えている。
その点、「外れ」であるリスクはかなり低いと見積もることができるだろう。
マドリーは彼について、まずは6000万ユーロ程度で交渉していると報じられている。
前線のビニシウスらブラジル人がそれぞれ5000万ユーロ未満だったから割高ともとれるが、ヨーロッパのリーグでシーズンを通した実績を作っているから、妥当なライン。
この価格で今後10年から15年、中盤の一角を担ってくれるなら素晴らしい買い物になる。
マドリーはカゼミロの控えを早急に確保したいが、彼との契約は単に控えの戦力を入れるだけに留まらない。
カマビンガを育てつつカゼミロの負担を減らすという一石二鳥を、しかもローリスクで目指せる、といういいとこどりを狙っているのだ。
レンヌの守備的な中盤を担う彼への期待感は、非常に大きい。
■懸念
一方で、懸念事項もある。
守備の技術が一定水準あるとはいえ、カゼミロが広大なスペースをカバーするのが普通になっている最近のマドリーのやり方に17歳が順応できるのかという点、レンヌでのプレー集を見る限りにおいて、ボールを持ってプレーした方が特長が出るのではないかという点だ。
前者は、カマビンガだから特に問題というわけではない。今のカゼミロの役割は、誰がやってきてもこなすのが難しいのだ。
負担が大きく、シーズン通してやれるようになるには、かなり長い時間を要することになるだろう。
そうしたことになり、結局はカゼミロを使おうということになって、カマビンガが一列前で使われるようになれば、後者の問題が頭をもたげてくることになるだろう。
マドリーのピボーテだとボールを持って前に出ていくプレーを避けねばならないことがあるが、インテリオールなら少し自由度が増す。守備的なタスクを一定のレベルでこなせるならば、攻撃にも顔を出せるから、ボールを持っての長所があるプレーヤーはこちらの方が生きるようになる。
その前例はバルベルデだろう。
彼も当初はより後方のプレーヤーかと思われていたが、インテリオールでの起用で一気に開花した。守備だけでなく、攻守ともに関与することで良さが大きく広がったのだった。
バルベルデのような活躍ができること自体は、もちろん喜ばしいことだ。
しかしながら、インテリオールでの活躍により、バルベルデをピボーテに置くという選択肢の優先順位は下がって、カゼミロの負担は軽減できないこととなったのも事実である。
カマビンガも、カゼミロと将来的に入れ替えたいと思って契約したとしても、クロースやモドリッチの後継となる道の方があり得るように見える。そうなると、カゼミロの負担問題は解決せず積み残すことになってしまう。
カマビンガとの契約は、中盤の層の厚みには寄与しつつも、カゼミロの負担軽減に直接繋がらないのではないか。
この点が、最近のマドリーの傾向から考えられる懸念といえよう。