またもあまり良くない試合展開ながら、勝ち点3を得た。しぶとい。
GK:クルトワ
DF:カルバハル、バラン、セルヒオ・ラモス、マルセロ
MF:カゼミロ;バルベルデ、クロース
モドリッチが不在でバルベルデとクロースの組み合わせ。前線にイスコが入った。
■エスパニョールの先発メンバー
GK:ディエゴ・ロペス
MF:マルク・ロカ、ダビド・ロペスグ;ダルデール、エンバルバ
FW:ラウール・デ・トマス、ウー
46分:ディダク→ペドロサ、57分:ウー→メレンド、69分:エンバルバ→カジェリ、ダルデール→メラメド、84分:ダビド・ロペス→ロサーノ
最下位に沈んでいるエスパニョール。厳しいが、残った可能性を追っている状況。
■改善はせず
前節、前々節と、うまくいかないが勝てている状況について書いた。
今節もこの2試合以上と言ってもいいような内容の悪さ。
奪ってRDTに当てて速攻を狙うエスパニョールの奮闘が際立つ試合展開となった。
大きな原因の一つは明白で、ボールに近寄りたい3人を前線に揃って起用したから。
彼らがボールに寄っていくので、局面は大変混雑してしまう。片方に寄せてからのサイドチェンジは得意な形ではあるが、ベンゼマもアザールもイスコもサイドでボールを触っていることが多く、スペースのある位置にボールを展開しても中央がおらず、最後のところにボールを供給するまでに至らない。
誰が中央に残るのが妥当かといえば、ベンゼマが第一ではある。
とはいえ、彼が主に左サイドに開いてプレーしがちなのは周知の事実で、チームとしても何年もの間それを前提条件として攻撃を作ってきた経過がある。
中央で純粋な9番として振舞えと言う方が無理なのだ。
イスコも同様で、彼をサイドプレーヤーとして考えることに無理があるのは明らか。意図とは違ってもイスコシステムに近い形になってしまう。
だから、この組み合わせにしたことがそもそもの間違い。
前線が停滞し、エスパニョールの良い形を生むきっかけを自ら作ったということになる。
■浮き彫りになる歪さ
ジダンがそれに気づかないわけはない。
60分を過ぎて両サイドを同時に取り換えたのは、この問題を改善するための直接的な解決法だ。
このように考えると、戦力の歪さが浮かび上がる。
アザール、ビニシウスの両翼としてポジションチェンジしながらやるのが現状のプランAだが、どちらもできれば左でプレーさせたいプレーヤーで、右サイドには明確なファーストチョイスがいない。
バスケスは負傷でおらず、いても攻撃面での課題の解決策となるプレーヤーではない。守備固めで使うべき戦力だ。
ロドリゴはまだ若く、彼に賭けるのは時期尚早。できれば今節のような使い方で経験と実績を積ませたいところ。
ベストメンバーが決まっておらず、現状のプランAがあっても毎週3試合をワンパターンでこなせるわけはない。
その時に計算できるプランBといえる戦力がおらず、ローテーションするとプレーが大きく変質してしまうということが、よく見えた試合となった。
結局これ以外の交代がなかったのも、しなかったというよりできなかったと解釈すべきで、人数はいてもうまく起用できない歪さを示す傍証と言える。
厳しい試合に対処できると信頼して送り出せるプレーヤーがいなかったので、そのままやり切ったというところなのだろう。
■とにかく結果に
勝ったのはベンゼマの値千金のアシストによる。
前半も終わりの時間帯で、後半になればエスパニョールの自信が深まりかねないところでのカゼミロのゴールとなった。
今のマドリーはこの一つのゴールを結果に繋げることができている。
最初に書いた通り、しぶといという表現がぴったりだ。
勝つべくして勝ったという試合とは違うが、得た偶然を最終的な結果に結びつけるために必要なことはできている。
これにより、厳しい時期も勝ち点の取りこぼしを減らすことができる。リーグ戦のタイトルを取るために重要なポイントを押さえていると言えよう。
あと6試合、徐々にコンディションは苦しくなってくるだろうが、このままの流れを維持して完走してもらいたい。