もつれにもつれたGSの最終節で帳尻を合わせる勝利。
まさかの一位通過をもぎ取り、今後への希望を残すことに成功した。
今回はこんなメニューで。
■マドリーの先発メンバー
GK:クルトワ
DF:ルーカス・バスケス、バラン、セルヒオ・ラモス、メンディ
MF:カゼミロ;モドリッチ、クロース
74分:ビニシウス→アセンシオ、ロドリゴ→アリーバス
セルヒオ・ラモスがいきなり先発で復帰。中盤はおなじみのトリオに。
■ボルシアMGの先発メンバー
GK:ゾマー
DF:ライネル、ギンター、エルベディ、ベント
MF:ノイハウス、クラマー;プレア、スティンドル、テュラム
FW:エンボロ
46分:ベント→ラザロ、エンボロ→ザカリア、85分:テュラム→ヘアマン、クラマー→ベーネス、スティンドル→ボルフ
ブンデスリーガでは7位。CLとの二足の草鞋を履いて、ここまでうまく乗り切ってきている。
守備OK
守備が安定することがマドリーの勝利の前提条件であるということを前回書いた。
この試合はその条件を十分に満たす守備が行えていた。
90分で被シュート数は7、枠内は1のみであるから、ほとんど完璧に抑えることができたと言えるだろう。
特に両サイドの攻撃を的確につぶしたのは大きなポイント。
メンディにもはや驚きはないが、バスケスが試合を重ねるごとに堅実なサイドバックに変身していっているのが面白い。
個人の守備は完全に信頼できるレベルではなかったのに、ある程度任せられるようになっている。
ギャンブルの守り方をしないでついていき、味方と連携できる場合に出ていく、というシンプルな約束事なら、バスケスはきちんとこなすことができる。
調子がいいからとあれこれ任せることなく、今のような使い方を維持できるなら、カルバハルの次の序列はオドリオソラではなく彼になるだろう。
ボルシアのサイド攻撃を許さず、逆にマドリーがサイドチェンジを多用し揺さぶる。
ラモスやクロースからサイドを変えるおなじみのパターンで、ボルシアのブロックのずれを狙っていた。
詰まってもモドリッチが剥がしてくれる計算もあり、この中盤のユニットの補完性と阿吽の呼吸によるプレーは素晴らしいレベルだった。
攻撃は久々に個人の質が
9分、31分とも、ゴールは右サイドからのクロスをベンゼマが合わせたもの。
どちらもターゲットが多くいる状態を作れているわけではなかったが、バスケス、ロドリゴのボールの質とベンゼマの受け方が良かった。
ボルシアとしては、中央の枚数は足りている状態だったから、ボールを供給する側に圧力がかかれば、こううまくはいかなかったかもしれない。
サイドに振られる展開が続く中で、寄せが甘くなってしまった。
マドリーは点があまりとれないチームなので、中央でゴールできる枚数を確保すべきではないかと考えていたが、点で合わせられるプレーヤーの質で久しぶりに得点に繋げた。
こうした形で2点も取れたのはいつぶりだろうか。
守備ブロックを無効化する質の高さを見られるのは本当に楽しい。マドリーらしいゴールであった。
中盤は黄金に輝く
守備の統率やサイドチェンジなど、ラモスの復帰が大きな要因となって主導権を握れたというのは一つの見方だ。
だが、私は中盤の3人の試合のコントロールを第一に挙げたい。
カゼミロはフィルターとして申し分なく、クロースは先述の通りサイドチェンジで攻撃の展開を変えられる。
モドリッチはパスで終わらずアタッキングサードまで出ていく運動量でチームを支えていた。
インテリオールの2人は、これらの仕事をやりつつ守備強度も落とさずに90分プレーしたのだ。連戦の中でこれだけやってくれる彼らに、マドリディスタは足を向けて寝られない。
彼らに割って入れる中盤のプレーヤーが、現有戦力にいるだろうか?
幸いバルベルデが現れてくれたが、彼以外にこれだけ攻守にバランスを取ってくれ、かつ特長を出せるプレーヤーはいない。
マドリーに限らず、この3人を確実にベンチに追いやれるプレーヤーは世界に何人もいないだろう。
無理に世代交代を目指すくらいしか、今の彼らを外す理由は見当たらない。
エストレーモは混沌
一方でエストレーモの事情は混沌としている。
ロドリゴはそつなくプレーして結果を出したものの、ビニシウスは悩んでいるのか、迷宮に入り込んでしまったよう。パスミスが多く、カウンターの機会を多く潰していて、良さが出ていない。
支配率が60%を超えていたので、この試合では良さが出づらかった面はあるだろうが、それにしてもプレー選択が悪い。
そのビニシウスの後塵を拝しているアセンシオも今は「ただの人」。
先発させても、変化がつくイメージが持てない。
復帰直後は鮮烈だったのに、イスコのようなルートを辿っているように見え、もったいない。
信頼して送り出せる3人がいる中盤とは裏腹に、エストレーモは誰を出しても心配の方が先になってしまう。
ビニシウスがセビージャ戦のように工夫してくれるか、ロドリゴが右でもシュートチャンスを得られるプレーになれば良いのだが、なかなかそうならない。
組み合わせも含めて、悩みはまだしばらく続きそうだ。
最後に
1位通過したことで、ベスト16はそこまで絶望的な組み合わせにはならなさそう。
2位通過ならバイエルン、マンチェスターシティ、リバプール、チェルシー、ドルトムント、ユベントス、PSGの中から選ばねばならなくなっていたところだ。
今シーズンのマドリーにとって、CLは優勝を目指すというより、どこまでいけるかという大会である。
相手がどこであれ、勝ち進むことが自信に繋がるし、リーガにも好影響をもたらす。
シーズン後半に期待できる、この材料を得られた価値は大きい。
今節のリーガはアトレティコとのデルビー。
23日までミッドウィークの試合が続く日程の中、最も厳しい相手だ。
ここまでせっかく何とかやってきたのだから、粘って勝つチャンスを見出してほしい。