オサスナ戦は気温同様寒めの内容で引き分けに終わった。
ここまでバルセロナ、アトレティコに勝利する一方、カディスに敗れ、エルチェ、オサスナと下位のクラブから勝ち点3を取れず、不安定なシーズンとなっている。
レビューが遅くなってしまったので、中位以下のクラブがマドリーに勝つ方法について考えることで、マドリーの問題点を探ることとしたい。
最適なシステムは・・・
対マドリーの最適なシステムは4-1-4-1である。
これは以下の2つの理由による。
2ラインの間隔を狭く保つ
最終ラインと中盤の2ラインの間隔を狭くすることは、マドリー対策の前提である。
最終ラインを下げ過ぎず、中盤との距離を保ってマドリーの遅攻を受けるのが良い。
ライン間でモドリッチやクロースがボールを受け捌く時間的空間的余裕を与えなければ、マドリーのボール回しはブロックの外へと出ていってくれる。
また、ベンゼマが周囲との関係を作れないので、彼も外に出ていってくれることになる。
そのため、2ラインの間に一人配置し、ボールが入っても前を向けない状況を作るお琴が望ましい。
一番良くないのは、ボールを奪える可能性が低いモドリッチやクロースに対して、奪いに行く守備をすること。
剥がされるとずれが生じるし、ライン間にスペースを与えることに繋がる。
序盤など、時間を限定して狙ってみても良いが、その場合は、剥がされたら早めにファール等で流れを切ることが重要だ。
サイドは必ず2人で
マドリーのボール回しをブロックの外に追いやると、セルヒオ・ラモスやクロースによるサイドチェンジを多用することで、揺さぶりをかけてくる。
ここは我慢してスライドを続けるしかない。
そして、サイドには2人配置することが必要である。
サイドバックとウイングのどちらかが大外、どちらかが一つ内側を使うので、同数を確保しなければならないからだ。
5バックだと最終ラインはスライドが容易になるが中盤が苦しくなってしまう。
5-4-1でもいいが、ライン間を見てくれるプレーヤーは配置上いないことから、第一のポイントを満たせない。
よって、最終ラインは4バックとし、中盤も一人一人がケアする横幅が狭くて済む4人とするのが望ましい。
このことから、第一のポイントと合わせ、4-1-4で守るのが最適であると言える。
1トップの役割
攻撃編
1トップは中央でポストプレーをするか、サイドバックの裏を狙い、カウンターの機会を狙う。
どちらかと言えば、後者のサイドバック裏狙いがベター。
中央でのポストプレーはカゼミロやセルヒオ・ラモスに狙われて早い段階で潰される恐れがあるからだ。
サイドバック裏なら、それよりはためを作れる可能性が高い。
走れるタイプのフォワードを置いて、スペースでボールを受ける動きを続けてもらおう。
1トップは、自らゴールを狙うというより中盤が出てこられる時間を作る役割なので、フォワードの決定力より受け方がうまいプレーヤーを選びたい。
受けたボールを落として中盤のプレーヤーがシュートで終わるのが理想形だ。
守備編
ファーストディフェンダーとなる1トップの動きは重要である。
突出しても意味がないし、下がりすぎて中盤に飲み込まれると、パスコースを制限できなくなってしまう。
ここでは、中盤より後ろの4-1-4が待ち受ける守備なので、彼らの負担を軽減したい。
想定通り2ライン間が締まっていれば、縦に入るボールはさほど怖くないから、気にすべきはサイドチェンジのスピード。早いサイドチェンジを繰り返されるとスライドが遅れて綻びが生まれることになる。
それを防ぐため、クロースやセルヒオ・ラモスなどサイドチェンジの起点となるプレーヤーを重点的にケア。
蹴らせないように無理はせず、蹴られても仕方ないので遅らせることを念頭に置いてコースを切りたい。
3枚目への対応
ライン間を適切に保っていれば、中央のスペースを失ったマドリーはサイドへの展開を増やす。そこも2人でケアされていると、ベンゼマが出てくることになる。
特に左サイドへの顔出しは多く、放置しておくと2対3の数的不利になることが想定される。
こうした場合において、インテリオールによる対応は欠かせない。
ピボーテの1枚がずれても、インテリオールが直接寄っていっても良いが、いずれにしてもライン間のスペースを見る1枚は維持しておくべきで、前者の場合はインテリオールが一時的にライン間を見るのが良い。
あとの対応はエストレーモが利き足サイドかどうかで分けることができる。
利き足サイドの場合
バスケス右、アセンシオ左が代表的なパターン。
この場合は深い位置までえぐってクロスが考えられるので、縦を切りたい。
同数で中へ仕向ければ、打開できなくなってクロースや最終ラインへボールを返すことになる。
サイドチェンジへの対応を素早くする必要はあるが、カットインシュートさえ切れていればいきなりゴールへ繋がるプレーはない。
利き足反対サイドの場合
最近ではアザール左、アセンシオ右が見られる。
この場合は、カットインシュートがあるので、ピボーテやセントラルが早めにカバーして中央へのコースを切りたい。
ベンゼマもエリアから出てサイドや低い位置のプレーに参加させていれば、ターゲットがいないので逆足でのクロスの可能性はさらに減る。
カットインだけきちんと複数対応することを徹底したい。
このやり方が整っていれば、基本的には中央は人が多いので、そう簡単にシュートコースはないはず。
ベンゼマをエリアから追い出せていれば、GKにとってコースの判断は難しくはないだろう。
マドリーはどうすべきか
このように、4-1-4で守られるとマドリーの打開策は少なくなることが見て取れる。
マドリーの大きな問題点は、ゴールに直結するプレーをしてくれるプレーヤーがすくないということだ。
例えば、オサスナ戦ではマリアーノが入ったことで守備に混乱が見られた。
また、バルセロナ戦で見られたように、インテリオールのバルベルデが出ていくことを示せれば、守備陣形の修正を迫ることができる。
こうしたプレーヤーが入ることで、ゴールに繋がるプレーをにおわせることができ、守備を受け身にすることができるのだ。
今のベストメンバーは、サイドチェンジでずれができなければ穏当にやり直すしかない。
それはそれで全くの間違いとは言えないのだが、自分たちが主体となって守備を混乱させるのではなく、ブロックの外でボールを動かし、守備が先にずれてくれることを期待する姿勢とも言え、積極性には欠ける。
実際に入るかどうかはともかく、うまいプレーヤーがゴールを狙っていると見えるだけで、守備はそれなりの対応をしなければならないもの。
逆に、うまいけれどゴールはないなと判断できれば、守備の構築はしやすくなる。
ブロックの外側でいくらでも足技を披露させればいいのだ。それで肝心なところはやらせなければ守備の勝ちなのである。
マドリーとしては、技術のあるなしではなく、ゴールに直結するプレーヤーを増やして守備に混乱をもたらしたい。
マリアーノの序列が低いので、まずはバルベルデを先発に入れ、中盤から縦に入っていく動きを見せたい。
そのうえで、エリア内の対応を迫るためマリアーノを途中からでも使えれば、ただ受けてブロックの外に追いやれば良い守備を変えさせることができるだろう。