レアルマドリードのある生活

レアルマドリードの応援日記。試合中心にお送りします。

アルコジャーノ戦が露わにしたもの

アルコジャーノに敗れたコパデルレイの一戦により、監督交代の話題がまた増えている。

今のところ、後継者不在という消極的な理由によって、シーズン終了までは現体制が維持されるのが妥当なルートだろう。

コロナ禍が続いているこのタイミングで替えて、さらなる経済的リスクを負うことを避けたいという思いも、フロントにはあると思われる。

 

ただ、監督が変わるにしても変わらないにしても、この一戦によって露わになった点を確認しておくことは今後のために有用だと思われるので、簡単にまとめておきたい。

 

 

 

ジダンの限界

ジダンが少数精鋭の運用を好むことはこれまでも何度か書いてきた。

Bチームが良い時期はあったが、BチームはあくまでBチームであって、Aチームと並列に使われるグループではなかった。

すなわち、Aチームを休ませたい時にワンポイントで起用する、というところから抜け出すことはなかったのだ。

 

もちろん、シーズンの序盤においては競争がある。

イスコ、ハメス、コバチッチ、ベイル、バスケスなどなどを考えても、それなりに使われた上で佳境を迎える前に序列を固めていったことが思い起こされるだろう。

この段階でAチームを固めることで、それを土台としたやりくりを繰り返してきたと言える。

 

こうしたやり方だから、Bチームの面々はなかなか伸びない。

実戦の場数が増えないし、Aチームに組み込めるかどうかの判断も付きづらいからだ。

可能性があるのはAとBの間で、交代出場でコンスタントにプレー機会が得られるプレーヤーくらい。

例えばバスケスは、そこから飛躍を遂げた存在であるが、Aチームに食い込んでいない序列だったら、このようなキャリアにはなっていなかったはずだ。

 

交代出場さえも少ないBチームの面々、今でいえばミリタン、エーデゴーア、イスコ、マリアーノ、ヨビッチといったあたりを戦力にできず、結果Aチームの損耗を招いてしまう。

これは、ジダンのやり方から必然的に生まれる限界だ。

 

三連覇期へのマイルドな回帰と序列の正しさ

一方で、Aチームを万全に保てた時の戦果は素晴らしいものになる。

メンバーを固め、(面白いかどうかは別として)確固とした形でプレーするのでブレが少なくなるからだ。

 

三連覇はもちろんそうだし、中断を経ての短期決戦となったことで、少数の戦力で走り切ることができた昨シーズンのリーグ優勝もそうだ。

コロナ禍によるスケジュールへの影響が、ジダンのやり方に偶然にも幸運をもたらしたのである。

 

ジダンが復帰していなかったら、モドリッチやクロースはこれほど長く中心的存在とはなっておらず、最終ラインもポストセルヒオ・ラモス期を早く迎えていただろう。

移籍金が高騰する前の若手を確保するペレス会長の昨今の方針を考えると、現場もそれに沿って「使って育てる」路線になるのが自然と考えられるからだ。

ジダンの復帰は、3連覇後に世代交代と脱ロナウドを考えたロペテギ、その代役としてのソラーリの路線から、3連覇期の体制へのマイルドな回帰であったのである。 

 

ちなみに、「マイルド」と述べたのは、マルセロのように明確に序列を落とした功労者もいるからだ。

急進的な回帰路線であれば、こうしたことはない。今もマルセロが先発に名を連ねていただろう。だが、ジダンはさすがにそこまで頑迷ではなかった。

 

話を戻す。

かつての路線に戻った今のチームが示したのは、ジダンの考える序列が概ね間違っていないという、悲しい結論だった。

もしかしたら使い方が悪いのかもしれない、もっと使えば変わるかもしれないと思うプレーヤーはいたが、Aチームとの差を埋められると期待できるほどのプレーヤーはBチームにはいなかったのである。

 

例えばイスコ。彼の課題はマドリーに来て以来ずっと変わっておらず、解決に至っていない。

エーデゴーアも数少ないプレー機会を見る限り、イスコと同様の問題があるように見受けられる。

若手路線の代表的存在であるビニシウスは、そうした格もあって辛抱強く使われてきた方だが、それでも変わらない。

怪我が多く、プレー機会そのものがアザールと競っているような状態だ。

 

いくらBチームとは言っても、マドリーのBチーム。

2部Bのクラブを相手に、監督が言葉を交わさない、だからモチベーションがどうこう、などということはあってはならない。

そんなものは関係なく勝つ。本来はそれくらいの力量差を示さなければならない。

 

報道ベースであるから、実際にそうなのかどうかはわからない。

だが、逆に言えば、そうした逃げ道を報道が考えられるほどに、Bチームが非力だと認められてしまっているということでもある。

 

www.marca.com

 

本来あるべきアルコジャーノとの差を、Bチームは示せなかった。

ジダンの序列そのものは間違っていないのである。

 

世代交代は近い将来解決しなければならない課題であることに変わりはなく、こうした結果を受けて急進的な世代交代路線へと進んでいくことも考えられる。

ただ、3連覇期の偉大なプレーヤーをベンチに座らせてその時ピッチに立つのは、この非力なBチームを主体とした面々である、ということは記憶しておくべきだ。

 

それでもなお、そちらへ舵を切るべきと言えるだろうか。