レアルマドリードのある生活

レアルマドリードの応援日記。試合中心にお送りします。

リーガ・エスパニョーラ第21節 vレバンテ

序盤のミリタン退場で非常に厳しい展開に。

早い展開で先制したものの、ライン間を取ってくるレバンテの攻めの良さが目立った。

1点を守るような守備の強度もなく、マドリーは負けるべくして負けた。

 

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試合の成り行きは退場でほぼ決まってしまったので、気が付いたことを、以下のメニューで。

 

 ■マドリーの先発メンバー

GK:クルトワ

DF:オドリオソラ、バラン、ミリタン、メンディ

MF:カゼミロ;モドリッチ、クロース

FW:アセンシオ、ベンゼマアザール

 

60分:アザール→ビニシウス、82分:ベンゼマ→マリアーノ、アセンシオ→アリーバス

 

負傷で多く離脱しており、選択肢がない状況。右サイドバックがオドリオソラな時点で推して知るべし。

 

■レバンテの先発メンバー

GK:アイトール・フェルナンデス

DF:ミラモン、ポスティゴ、ドゥアルテ、クレルク

MF:マルサ、ラドヤ;メレーロ、モラレス

FW:マルティ、セルヒオ・レオン

 

60分:セルヒオ・レオン→バルディ、マルサ→ロチーナ、76分:モラレス→ダニ・ゴメス、83分:マルティ→ベソ

 

中位を維持しているレバンテ。17節ビジャレアル戦以来1か月負けがない。

 

セントラルの曖昧な分担

久々の出場機会で退場したミリタンは残念だった。

そもそも問題が見えるほどプレーしていないので、彼自身のチーム内での序列がどうかを見る機会にもならず。

こういう試合で早々に退場してしまう「持ってない」イメージがついてしまうと、立場がより悪くなる。彼の今後に影を落としそうな試合となった。

 

彼個人がどうかより大きな問題は、セルヒオ・ラモス不在の時にセントラルがそれぞれどう振舞うか、その基準が曖昧になっていることの方だ。

 

ラモスがいれば、彼が前に出てチャレンジするので、それを基準としてスペースをカバーする形が自然と生まれる。

彼のような基準点がない組み合わせの時は、どちらが前に出る役割を負うのか明確にならない。よって、カゼミロの脇のライン間で受けられる余地ができることになるし、そこから裏を狙われることにもなる。

 

ミリタンもバランも、機動力がないタイプではない。

それでもこうした問題が起きてしまうのは、前に出てボールホルダーを捕まえるプレーを得意としていないから。

話題のラモス後を考えると、機動力は最低条件として、チャレンジしてくれるプレーヤーを見定める必要があるのではないだろうか。

 

勝負したいのにできない

マドリーは一人少なくなって、4-4-1に。

守備組織を整備することが優先されるのは当然だが、マドリーは引き分けで良い状況ではないから、どこかで勝負しなければならなかった。

 

ところが、そうしたリスクを負えるプレーヤーがいない。

適切なタイミングで出ていけば、早いサポートで攻撃に厚みをもたらすことができる。一人少ないことでポジションを外すことも在るので、うまくいけば相手に混乱をもたらすことができるのだ。

マドリーは多くの場合個々の質で上回れていた。退場のアクシデントがあっても、相手を浮足立たせる攻めで数的不利を覆してきた試合がいくつもあったものだ。

 

今は、そうした質も、一時的にバランスを崩しても攻め切ろうとするキャラクターもない。

今節は離脱していたバルベルデか、得点を挙げたアセンシオに少し可能性があるくらいだろう。

 

中盤で2人分働いてくれるバルベルデがいなかったのは非常に残念だった。

 

「普通に勝つ」ために

今のマドリーの出力の最大値はわかりやすい。単純な足し算で求められる想定の範囲を超えてこないと言えばいいだろうか。

 

もちろん、組織としての形は保てるというメリットはある。それはロナウド以後、ジダンが何とかやり繰りして積み上げてきた成果だ。

ロナウド期は、彼を組織にどう組み込むかについてさんざん悩んできたわけで、想定できないような出力の可能性と引き換えに、組織として計算の立つ出力を得たのだと言えよう。

 

このように戦力が落ちれば、想定を超えるような形で相手を上回ることは難しくなる。

この試合のように、戦力ダウンしているうえに退場もあると、計算通りにやられてしまうことになるのだ。

今のやり方でそれを避けるためには、足し算の答えを大きくすることが必要。つまり、補強により質を高め、想定できる出力を上げるしかないということだ。

 

どうして勝てたのかよくわからない。

これまで、マドリーはそんな試合を多くやってきた。

そうした「不思議な勝利」は今はない。

 

ロナウド期の悩みを振り返ればわかるように、一長一短であるから、これは退化ではなく、スタイルの変化と言える。

ただ、個人に頼り、組織化に四苦八苦する時代に戻らないのなら、「普通に勝つために、普通に戦力を積み上げる」ことは避けて通れない。

こうした試合で、それを痛感するのだ。

 

オドリオソラとビニシウスの共通点

最後に久々に出場機会を得たもう一人のプレーヤーであるオドリオソラと、進歩が見えないビニシウスについて触れておきたい。

 

彼らの共通点は、外側のレーンを縦にしか進めないということだ。

 

内側を使えることの優位性は言うまでもない。

エストレーモは、シュートの可能性を見せられることで守備に対応を迫れ、それによって縦も生きる。

サイドバックも、カルバハル、かつてのマルセロ、最近のメンディと、皆エストレーモの内側のポジションに入っていってプレーすることで、チームに選択肢をもたらしてきた。

 

外で縦にしか行けないプレーヤーに対しては、スピードで振り切られることがあっても、カバーに入って外へ押し出せば選択肢を失う。

ゴールライン際で強引に抜ける可能性はなくはないが、基本的には下げてやり直してくれるので、その間に守備陣形は整うことになる。

 

オドリオソラもビニシウスも、加入以来明らかなこの課題を放置したままである。

この点で改善したルーカス・バスケスが重要な役割を担うようになったのとは対照的だ。

この状態では序列が下がるのも当然。

できることならオドリオソラを手放して、バスケスの延長に予算を使いたいと思ってしまうし、ビニシウスを売却するという噂が出ても、将来性が云々と私は思わなくなってきている。

多くのマドリディスタが同様なのではないだろうか。

 

昨シーズンまでビニシウスは、カットインシュートが巻けず、ファーの遥かかなたに飛ばしてしまっていた。

ところが、今はシュートを見せもしなくなっている。この試合でもシュートを考えて、キャンセルした場面があった。

冷静な判断、得意なことに持ち込んでいる、と言えば聞こえはいいが、私にはチャレンジしない後ろ向きな選択に見える。

 

そもそもサイドのロールプレーヤーを得るために彼と契約したのではない。

ロールプレーヤーなら、一線級ではなくてもクラブへの忠誠心が厚いカンテラーノをうまく使ってきた歴史があるから、彼でなくても十分なのだ。

 

ビニシウスは、先ほど述べたような想定を超えるプレーをしてくれる、計算を上回るような存在となってくれることを期待して契約したのだ。

今の彼のプレーから見えるメンタリティに、そうしたプレーヤーになる可能性を感じられない。

プレーが失敗することより、そのことの方が残念だ。