試合を支配し、きちんと崩したチャンスを作って2得点。
前節に続いてクリーンシートも達成し勝ち点3を積み上げた。
前半から試合をコントロールできた要因について、次のメニューで振り返る。
■マドリーの先発メンバー
GK:クルトワ
DF:カルバハル、バラン、ナチョ、メンディ
MF:カゼミロ;モドリッチ、クロース
FW:アセンシオ、ベンゼマ、ビニシウス
28分:カルバハル→ルーカス・バスケス、71分:アセンシオ→アリーバス、79分:ベンゼマ→マリアーノ、モドリッチ→イスコ
普段通りの4-3-3に戻った。カルバハル、クロースが先発に。
■バレンシアの先発メンバー
GK:ジャウメ
DF:コレイア、ガブリエウ、フェロ、ガヤ
MF:ラチッチ、ソレール;ゲデス、バス
FW:バジェホ、マクシ・ゴメス
46分:バジェホ→ガメイロ、ゲデス→ムサ、64分:ソレール→オリバ、バス→イ、83分:マクシ・ゴメス→クトローネ
ピッチ外の騒動が収まらないバレンシア。根本的な解決は遠いようである。
右サイドが牽引
4-1-2-3への回帰は予想通りであった。
マルセロも離脱し、攻撃にメリットがある3バックをそもそも組めないという事情はあったにせよ、やはりこれが落ち着く形なのだろう。
これまでより良かったのは右サイドでの崩し。
誰かがボールを持てば一人が追い越し、パスが出れば別の一人が更に追い越していく。カルバハル、アセンシオ、モドリッチの3人は、こうした動きを毎回実行していた。
動きとしては単純だが、中から斜めに走ることもあるし、外から追い越す形もあってバリエーションが多い。
マドリーにはあまりないが、ラインが乱れた時にゴール前で裏抜けがあるかもしれず、かといってこうしたフリーランを野放しにすると、自由にクロスを上げられることになる。
まして2人ではなく3人で動くので、守備側は対応が難しいし、どこまでついていくかの判断を迫られる。
これにより右サイドは深い位置までえぐることが何度もでき、右サイドのプレーによって、マドリーは前半から主導権を握ることに成功したのだった。
一方、左で追い越す動きをするのはメンディのみである。
ビニシウスも追い越しはするが、深い位置まで行ききらないで止まることが多い。パスが出なければすぐにボールより後ろのポジションに戻っていくパターンだ。
よって、深い位置をとれるのはメンディか、ビニシウスがドリブルで勝負できた場合ということになる。
左サイドの内容と比べると右サイドのプレーの効果がわかりやすくなるのではないだろうか。
カルバハル再離脱、救世主バスケス
残念だったのは復帰戦だったカルバハルの再負傷である。
アセンシオの状態が上がってきたようで、いい関係が作れそうだというところだったから、よりダメージが大きい。
同じく復帰してきたルーカス・バスケスがそつなく穴を埋めてくれたことで、この試合はもちろん、今後についても救いがあった。
少し良いプレーをしてもそれが長続きしないのがバスケスの大きな問題で、これまで何度かそういう波を見てきた。
しかし、今回は違った。負傷前と変わらずサイドバックで十分なプレー。アセンシオ、モドリッチとのプレーもカルバハルがいた時間帯と大きく変わらなかった。
彼の控えが負傷でいない問題はあるにせよ、バスケスがいればカルバハルの復帰を急がなくても済みそうだ。
バレンシア、形が見えず
マドリーが右サイドで攻め筋を見いだせたのと裏腹に、バレンシアは糸口を見つけられなかった。
4-4のブロックで守り、2トップがほとんど守備参加しないことも気になったが、この点についていえば、出来の悪いマドリーならサイドを崩せずサイドチェンジを繰り返すことになり、4-4でも苦労していたかもしれないと思われる。
より大きな問題は、どう攻めたいのかよくわからなかったことの方ではなかろうか。
2トップが残っていることを考えると、彼らを起点にして早く攻めるのが定石だろう。
楔を入れて、落としたところからゲデスや・がサイドのスペースを使って侵入し、2トップと状況によって中盤のプレーヤーもエリアに入ってフィニッシュするような形だ。
ところが、ボールを回収してから速い展開を意図している様子がなかった。また、サイドバック不在のスペースを積極的に使おうというふうでもなかった。
ゲデスは頻繁に中央に現れており、攻める幅も狭かった。
カゼミロが待ち構えているエリアで、マドリーとしては別段ケアが必要な場所ではない。
攻撃のスピードや場所に怖さがなかったことによって、両サイドは安心して出ていくことができるようになったのだった。
2点で十分
ベンゼマの先制点は、速さとコースを突くシュートのうまさが光った。
アウトサイドで持ち出してファーに蹴りこむのは彼でなくてもお馴染みのコース。守備側も当然足を出してくる。
その足がコースを消すより僅かに早く、ボールが通り抜けていった。持ち出してからシュートまでの速さによって勝った形だ。
足に当たりづらい高さに浮かせているのも見事。個人の質でもたらされたゴールだった。
2点目は前述の右サイドの崩しから。縦へパスを出してえぐった後で、バスケスがマイナスのラストパス。
走りこんだクロースが、彼らしい抑えたシュートをゴール右下へ決めた。
ここでは、エリア内でゴール前に詰めていた前線による黒子の働きが。彼らが入ったことで後方にスペースができ、クロースが入り込むことができたのだった。
ボールが来ず、直接ゴールに関与しなくても、こういうところにきちんといるプレーは評価したい。
バレンシアの攻撃に覇気がなく、この2ゴールで十分な雰囲気。
後半こそさすがに盛り返されたものの、ピンチらしいピンチはほとんどなし。クルトワには余裕のある週末を過ごしてもらえたことだろう。
さすがだったベンゼマ、モドリッチにも珍しく明確に休みといえる交代があり、安心して見ていられる試合であった。
もう1点2点取れていておかしくない試合だったし、特に控えの面々には個人をアピールする必要もあるから、狙える場面があればと思っていたが、十分な得点差があれば無理せず試合を終わらせるのが今のマドリー。
大人といえば大人。ガツガツしていないといえばそういう風にも見える。
負傷者が多い状況であるので、チームとしては無用のリスクを避けたいところ。最低限のリスクで必要な結果を得られたといった試合になった。
最後に
週末はアウェイでバジャドリーと対戦。
来週はいよいよCL。カルバハルが間に合わないことが確定してしまったが、この試合で見られたようなバスケスやアセンシオの関係で、良いイメージを保っていってほしい。