レアルマドリードのある生活

レアルマドリードの応援日記。試合中心にお送りします。

CLグループステージ第1節 vインテル

今年もインテルと同居するグループステージ。

昨シーズンのように最終節までもつれるのはコンディション的にも辛くなるので、早めに勝ち抜けを決めたい。

粘り強く戦って勝ち点3を挙げ、その目標に向けてまずひとつ前進となった。

 

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■マドリーの先発メンバー

GK:クルトワ

DF:カルバハル、ミリタン、アラバ、ナチョ

MF:カゼミロ;バルベルデモドリッチ

FW:ルーカス・バスケスベンゼマ、ビニシウス

 

65分:ルーカス・バスケスロドリゴ、80分:モドリッチ→カマビンガ、89分:ビニシウス→アセンシオ

 

アラバがセントラルに入り、ナチョが左に。ルーカス・バスケスは久しぶりにFWとして先発に名を連ねた。

 

インテルの先発メンバー

GK:ハンダノビッチ

DF:シュクリニアル、デフライ、バストーニ

MF:ブロゾビッチ;ダルミアン、バレッラ、チャルハノール、ペリシッチ

FW:ジェコ、ラウタロ・マルティネス

 

55分:ダルミアン→ドゥンフリース、ペリシッチ→ディマルコ、65分:ラウタロ・マルティネス→ホアキン・コレア、チャルハノール→ビダル、84分:バレッラ→ベシーノ

 

ルカク、アクラフを売らざるを得ず、チャルハノール、ジェコとフリーで獲得するなどして、昨シーズンとメンバーは違う。

形は3-5-2で、これは昨シーズン同様。

 

先週末からの変更点と狙い

マドリーの守備時の形は4-4-2。

ベンゼマとともに前に残るのは、カウンター狙いのメインであるビニシウスに。

ただし、インテルがポゼッションを確保し両サイドを上げている時間帯は、ビニシウスも戻って、カゼミロが底に入る4-1-4-1のようになっていたこともあった。

 

先週末からの変更点は、バスケスがウイングに入ったことと、アラバがセントラルに、ナチョが左ラテラルとなったこと。

バスケスの起用については、アザールの休養という観点もあるのだろうが、役割を維持するならアセンシオの方が選ばれるはず。

ラテラルにコンバートされて久しいバスケスを前で使ったのには意図を感じた。

 

アラバをセントラルにしたのは、中央からの組み立てに彼が必要という判断だろう。

アンチェロッティは今後もセントラルで起用すると述べていて、セルヒオ・ラモスがいなくなったセントラルからのボール供給は彼に任せるという意味合いがあるものと思われる。

これによって左は(メンディ、マルセロがいないため)ナチョかミゲルかという選択となった。

 

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アセンシオとバスケスに比べると、ナチョとミゲルにはより大きな序列の差があるので、ナチョが選択されることに違和感はない。

だが、バスケスの起用と合わせて見ると、これまでの布陣に比べ守備に重きを置いた形を意図して選んだと見ることができる。

 

週末のセルタ戦を振り返ると、組み立て時のミスで先制を許していた。

また、アザールが中盤に組み込まれていたタイミングで、前からの守備がずれて速攻を受け2失点目を喫している。

アラバのセントラル起用で組み立ての安定感をアップし、ナチョとバスケスでサイドの守備の穴を作らない。

レベルの高い相手に対して不安定な攻め合いを狙うのではなく、まずはセルタ戦でやられたポイントを塞ごうというのがアンチェロッティの狙いだったのだろう。

 

インテル、強度で上回る

インテルは3-5-2。

前半のマドリーは、3バックに対し3トップを当てる守備をほとんどせず、4-4-2で下がって守ることが多かった。

ここまで見てきたようにマドリーがサイドの守備を重視したメンバー構成であったので、攻撃の圧力でペリシッチとダルミアンを下げさせるようにもならず。

3バックとブロゾビッチが低い位置で組み立ててウイングバックを押し出してきていた。

 

出てくるインテルを受ける形となったので、マドリーのボール回収位置は低め。

モドリッチが下りてきて組み立てに参加することが多く、バルベルデも一人で守備から攻撃のスタートまでやってくれていたので、セルタ戦のような危ういミスはなかったものの、クロースを欠いており大きな展開はやはり少ない。

局面を一気に変えられる心配がないので、ブロゾビッチを中心としたインテルの攻撃が目立つこととなったのだった。

 

アンチェロッティにとって一番大きな誤算は、ビニシウスがシュクリニアルに抑えられたことだったのではないだろうか。

セルタ戦では何度か見られていたようなクルトワから一発を狙うボールもなく、ビニシウスの長所をうまく消されていた印象。

両サイドを守備的なメンバーとした状況でも、彼がカウンターの怖さを出せれば、ここまでインテルの面々に楽に押し上げられることはなかったはずだ。

 

インテルは守備強度があり、カウンター時に人数をかける意欲もあった。

アンチェロッティの選択は間違いではなかったが、インテルのプレー強度がマドリーを上回り、前半はインテルのものとなった。

 

良かったクルトワ、心配なカゼミロ

失点しなかったのはとにかくクルトワのおかげ。

ボール処理の安定感が素晴らしいし、そもそものポジションに間違いがない。攻める側からすると「シュートしてもコースに絶対クルトワが立っている」と感じるのではないか。

ラウタロ・マルティネスのヘディングなど、前半から枠内シュート、決定機ともにインテルが上回っていたが、クルトワの働きによって粘ることができた。

 

一方、同じく欠かせない存在のカゼミロが少し怪しい。

セルタ戦で組み立て時の簡単なパスミスが散見されていたこともあり、低い位置はモドリッチに任せてインテリオールの位置に上がることが多かったのだが、守備時に戻り切れない場面が見られた。

競り合う場面でも少し遅れてしまい、いつもの彼なら相手を抑えられていたような場面で負けたり、ファールになったりする場面が見受けられた。

 

これからしばらくはミッドウィークの試合が続く。

リーガではカゼミロを使わず、バルベルデやカマビンガをピボーテで起用する試合を作って休養させた方が良いかもしれない。

 

後半の修正と交代

後半になってマドリーは前からの守備をするように。

攻め手がなかなか見つけられなかった前半の内容を受け、試合を動かそうということだろう。

2トップに加え、バスケスバルベルデが出て行ってインテルの最終ラインを見ていた。

 

インテルの中盤の底で攻撃を作っていたブロゾビッチに特定の人がつくことはなかったのは指摘されているところだが、この形になってもその点の修正はなかったのが不思議。

このメンバーならバルベルデが彼を見るのが自然だろうが、そうならなかった。

 

マドリーはビニシウスとバスケスが一番外のポジションを消していたので、その内側で前にバルベルデ、その後ろでモドリッチがボールを狙う。

だが、これもきっちりした形ではなかったし、ハンダノビッチまで追ってずれそうになることも。

バルベルデがブロゾビッチと1対1の関係になって抑える形を継続して実現するのは難しい状況となっていたのだった。

しかもインテルの方がブロゾビッチにボールを届ける形を整えていた印象。

特にゴールキックのようなしっかりセットした場面では守備でチャンスを作れる感じはしなかった。

 

しかしながら、マドリーが下がって受けるやり方から変えたことにより、インテルを下がらせられる場面が前半より増えた。

uefaのデータによれば、マドリーは前半47%のボール支配率でシュート5本、枠内0で、インテルはシュート14本、枠内4。

それがフルタイムではマドリーが52%のボール支配率、シュートは12本、枠内2で、インテルはシュート18本、枠内5本となっている。

後半にシュートに至る場面を多く作れていたのは、マドリーだったことがわかる。

 

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インザーギは55分に両ウイングバックを交代。サイドの主導権を握り続けるべくリフレッシュした。

マドリーがやり方を変えスペースができてきた状況で、特に足が速いドゥンフリースの投入は脅威。

速すぎて突出した感もあり、アタッキングサードでの選択肢の少なさに助けられたが、前半の流れを汲む交代策だったと言えよう。

 

一方、アンチェロッティは65分にバスケスからロドリゴへ。

守備バランスを考えて先発起用しただろうバスケスを下げて、スペースを生かして攻められる人材を投入した。

インザーギのものとは異なり、やり方を変えることを明確に示す交代。インテルの両ウイングバックに攻撃の圧力を加え、これまで通り出てくるかどうか選択を迫った。

 

このように、ロドリゴの起用はサイドでの攻防に焦点を当ててのものだった。

前述のアンチェロッティの発言の中に、「アザールを使わなかったのは、インテルは中央を締めていたから」という部分がある。

これには、中央が狭くアザールが生きる場所が少ないという文字通りの意味の他に、サイドに置いても中央に入ってプレーする方が快適なアザールではインテルのサイドに刃を突き付けられないという意味もあるように思われる。

この試合では、ポジションを変えてプレーするアザール(やアセンシオ)ではなく、サイドで勝負できるロドリゴが必要だったのだ。

 

選択肢をもたらすカマビンガ

インテルアンヘル・コレア、ビダル、ベシーノと、各ポジションを入れ替えたのに対し、マドリーはモドリッチをカマビンガに替えたのみ。

バルベルデを既に使っている試合でモドリッチを下げられるようになったのは重要。イスコではインテリオールで同じような運用は望めないし、守備強度の面でも不安が大きいからだ。

 

カマビンガはまだまだこれからのプレーヤーだが、だからこそ良く走ってくれる。

89分の決勝点の場面では、バルベルデとのワンツーでエリア内に入り、柔らかいタッチでロドリゴのゴールをアシストした。

セルタ戦でのゴールも、自分のタイミングでパスが来ずともモドリッチの突破に最後までついていったことで生まれている。モドリッチバルベルデ以外では、イスコもアセンシオもクロースもこうしたフリーランをすることは想像できない。貴重な存在だ。

 

最後に

インテルにとっては、「先にチャンスをものにしていれば」という試合に。

マドリーは最後の砦クルトワの頑張りで望みを繋ぎ、終盤に最大のチャンスを得てゴールに結びつけた。

ベストの出来ではなかったが、今ある材料でCLレベルでもこうやって戦えると証明できたわけで、新しいチームにとって貴重な経験となったことだろう。

 

最後にインテル側から書かれた記事をご紹介。

次の対戦は第4節。どういった内容になるだろうか。

 

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マドリーは次節、シェリフと対戦する。