レアルマドリードのある生活

レアルマドリードの応援日記。試合中心にお送りします。

CL決勝トーナメント準決勝第1戦 vマンチェスターシティ

3-4。

守備から入って静かになりがちなトーナメントで、見るだけならなんとも楽しい試合に。

 

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■マドリーの先発メンバー

GK:クルトワ

DF:カルバハル、ミリタン、アラバ、メンディ

MF:クロース;モドリッチバルベルデ

FW:ロドリゴベンゼマ、ビニシウス

 

46分:アラバ→ナチョ、70分:ロドリゴ→カマビンガ、76分:モドリッチ→セバージョス、88分:ビニシウス→アセンシオ

 

アラバは間に合ったがカゼミロはダメ。クロースが一列下がり、バルベルデがインテリオールに。

エストレーモはロドリゴとアセンシオの選択肢があったが、前者となった。

 

マンチェスターシティの先発メンバー

GK:エデルソン

DF:ストーンズ、ルベン・ディアス、ラポルテ、ジンチェンコ

MF:ロドリ;ベルナルド・シルバ、デブライネ

FW:マフレズ、ジェズス、フォーデン

 

36分:ストーンズフェルナンジーニョ、83分:ジェズス→スターリン

 

ウォーカーがおらず、右はストーンズに。負傷者が多くなっている様子である。

クロースがピボーテではダメなわけ

マドリーの最も大きなポイントはカゼミロの不在。

クロースが普段のインテリオールから一列下がって起用され、彼の前にモドリッチバルベルデという中盤となった。

守備を優先して考えればカマビンガを抜擢する選択肢もあったが、序列を重視するアンチェロッティらしい選択。また、ある程度ボールを持つことになり、プレスを受けるだろうという想定もあったかもしれない。

 

私の予想は、組み立てに貢献がほとんどないカゼミロの不在によってポゼッションが安定するメリットと、彼が担っている幅広い守備タスクが失われるデメリットがあるのではないかというものだった。

しかし、クロースを底に置くメリットはあまり感じられず。シティのプレスをかわして効果的に前進することができなかった。

 

カゼミロがいるCMKの形においても、クロースとモドリッチが低い位置に下がり、カゼミロを高い位置に逃がしてポゼッションしている。

そうした変形を要しないだけで、クロースの動き方は普段のやり方と大枠では変わっていない。

それでもプレス回避がままならなかったのだから、このレベルの相手が前からはめに来る時、それをかわす仕組みや能力がないという結論に至らざるを得ない。

 

PSG戦、チェルシー戦、そしてこの試合でも目立ったのは、一旦ボールを下げさせられると陣地を回復できない点だ。

マドリーとしてはラテラルにボールを預け、インテリオールとエストレーモとの関係で前進していきたい。

そうさせないよう中へ中へと狭い範囲でプレーさせようとする相手に対し、打開できないのでセントラルに下げ、クルトワに下げて蹴りだす形でボールを失うことが多い。

 

その理由の一つは矢面に立つことになるサイドバックの性質。

カルバハルは少し前に比べてコンディションが上がっているようで、彼が中に入るなど工夫して動き回ることで打開の可能性を見出せるが、メンディはそれが期待できない。

クロースは左サイドに降りたら、ラテラルの横や後方につき、広いスペースがあるところへ展開したい。ところが、守備のベクトルを変える工夫なくボールを渡されるので、まっすぐボールに向かって詰められることとなって、選択肢が持てなくなってしまう。

 

もう一つは、下げられたボールを受けるプレーヤーのために、縦のパスコースを作れるプレーヤーがいないこと。

まずはラテラル、エストレーモとインテリオールのところで中に入るなどしてパスコースを確保したい。ベンゼマが下りてくることはあるが、プレーエリアが近い者同士でやれないと、下がってから回避して出ていくことができなくなってしまう。

 

門を通すコースを作ってくれる人がいないから、守る側は方向転換を考えずに追える。

本来ボールを下げるのは、守備を引き付けてその前のエリアでスペースを得て速い展開に持ち込むため。

しかし、守備はボールを追ってくるのに、できたスペースを有効活用できるパスが通らないから、クリアするしかなくなっているのが現状だ。

 

バランとセルヒオ・ラモスの組み合わせに比べ、ミリタンとアラバのセントラルコンビとなったことでボールを扱う技術は向上しているのに、CLレベルでのプレス回避がずっとうまくいっていないのはこうした理由によるものであろうと思われる。

 

今は我慢

こうした状況であったから、プレス強度が高いシティに対しクロースを引く位置に置いても、メリットは得られなかった。

下の記事で指摘されているように、個人でボールキープする能力は高くない。苦しい形で渡されることが頻発すると、失点のきっかけになってしまう。

それなら、個人能力でキープして相手をはがせるプレーヤーを使う方が、ボールを下げてプレス回避を試みるより、可能性においてはましだ。

 

カゼミロの控え(とその延長である後継)問題にも共通するのは、カゼミロもクロースも万能なのではなく、尖った能力を持つプレーヤーであるということ。CMKはうまく補完し合って成り立っている形なのだ。

他のプレーヤーと置き換えると、カゼミロなら守備、クロースなら攻撃の面で「ちょっと足りない」場面がよく見られることになる。

 

安定したプレス回避や、上下動してエリア内のプレーにも関与する中盤に変貌するためのピースとして、現有戦力のカマビンガやバルベルデは最適。

だが、本格的に世代交代する時の影響は大きいことが予想されるし、プレス回避についていえば、先述の通り他のポジションとの関係が欠かせず、一朝一夕に変われるものではないのだろう。

 

しばらくは辛抱しながら遣り繰りしていくほかないのではないだろうか。

 

失敗した守備

さて、試合としては完全にシティペースであった。

15分までに2点のリードを得、前から追ってマドリーにボールを蹴らせ、回収したらしっかり押し込んで攻める得意の試合展開となっていた。

 

前からくることはアンチェロッティも当然予想していただろう。

また、こうした守備に対しマドリーが安定的にボールを運べないことは、PSGやチェルシーとの試合で明らかとなっていもいる。

さらに、カゼミロ不在で中盤のフィルターは強くない。

 

これらの要素から積極的に出てくるシティの裏を狙うカウンターに繋げたい。

そうした考えが、やけに前で取ろうとしていたマドリー守備陣の積極性の理由ではないかと想像している。

ここまで信頼できていた面々が、飛び込んでかわされることが何度もあるとは思っていなかった。

勝負しにいったと思われるポイントで、結果的にかわされて軽い守備となったのは残念。

 

流れは関係なし

こんな状況なのに点数を取ってしまえるのが最近のマドリー。

 

33分、メンディのクロスにベンゼマが合わせて1点。

ベンゼマがうまく走り込んでいたとはいえ、ゴールまでの距離があり寄せられてもいる状況で枠に飛ばす技術が光った。

右サイドを崩され、完全にフリーで入ってきたフォーデンに決められた53分のゴールの直後の55分には、ビニシウスがメンディの縦パスをスルー。フェルナンジーニョを出し抜いてそのまま持ち込んで決めてしまった。

 

メンディのパスはまずい選択だったし、寄せられて苦しくなるか、奪われて一気にエリア内の場面に持ち込まれておかしくないものだった。

きちんと崩してくるシティの攻撃が実を結んだ直後、一人の閃きで、味方のまずい選択さえも打ち消して、ゴールに繋げてしまうのがいかにもマドリーという感じだ。

 

ビニシウスは、CLレベルではサイドバックに抑え込まれることが多く存在感が出せずにいながら、1試合に1つは何かやってくれているから面白い。

チェルシー戦でも最後のアシストは彼だった。数字に残る結果を得て良くなる良いサイクルに今シーズンはずっと入っていけている印象。

 

またしても守備…でも3点目もゲット

4失点目は、アドバンテージとなったボールをベルナルド・シルバに叩き込まれたもの。

またも守備の問題による失点。

前半とは方向性こそ違うし、相手の方が一枚上手だったということはあるにせよ、エリア付近でプレーを止めるような面々ではないから、ショックは大きかった。

普段とは違う何かがあったのだろうと思うしかない。

 

2点差で第2戦かと思っていたら、ラポルテのハンドが取られ82分にペナルティをゲット。

週末2回外していたベンゼマは大胆にもパネンカを選択。

この決め方によって、まだ余裕はあるよとアピールできた。その意味では普通に蹴り込むよりも効果が大きかったように思う。

 

やりたいことをやり、守備のまずさをしっかりついて4点を取ったシティに対し、マドリーはほんの僅かなプレー数の精度、判断で3点を挙げた。

互いに特徴を出した試合で、マドリーとしては何とか可能性を残した格好。

 

最後に

ここまでのトーナメントの勝ちあがりから、ベルナベウでは何か起こせるという雰囲気になっている。

もちろんネガティブになるよりもずっと良いのだけれど、同じようにやったら10回に2回勝てるかどうか、という第1戦の内容だったことは忘れるべきではない。

 

引き付けてカウンターに繋げる精度がいきなり高まるわけはない。

まず守備強度を高め、少ないチャンスから試合の流れを変えるようなプレーを目指すべき。

 

幸いリーガの優勝を決めたことで、ベルナベウは良いムードになるはず。

負けたのに負けた雰囲気がない第1戦の余韻を繋ぎ、マドリディスタの後押しを受けて、ボールを持たれても焦れずに好機を待っていければ。