身体的なコンディションが悪く、精神的にも覇気なし。
遠いサウジアラビアの地で損耗しただけに終わった。
■マドリーの先発メンバー
GK:クルトワ
DF:カルバハル、ミリタン、リュディガー、メンディ
MF:クロース;モドリッチ、カマビンガ
46分:カマビンガ→ロドリゴ、65分:モドリッチ→セバージョス、72分:クロース→アセンシオ、カルバハル→ナチョ
アラバ、チュアメニが負傷離脱。
アラバのところはリュディガーが先発。中盤はクロースがピボーテに入り、カマビンガがインテリオールに。
■バルセロナの先発メンバー
GK:シュテーゲン
DF:アラウホ、クンデ、クリステンセン、バルデ
MF:ブスケツ、フレンキー・デ・ヨング;デンベレ、ペドリ、ガビ
FW:レバンドフスキ
78分:デンベレ→ラフィーニャ、87分:アラウホ→エリック・ガルシア、フレンキー・デ・ヨング→ケシエ、89分:ガビ→アンス・ファティ、ペドリ→セルジ・ロベルト
4-2-3-1や4-2-1-3と見える形。ブスケツとフレンキー・デ・ヨングのドブレピボーテである。
不安定な保持、バルセロナは守備強度で優位
前回書いたように、今のマドリーは後方のポゼッションが安定していない。
この試合では左のセントラルでボールを動かせるアラバが不在となり、その傾向がさらに強くなった。
メンディがパスで繋げないのは今に始まったことではないし、リュディガーもミリタンの代役で右ならしばしばあるが左は回数が少なく、スムーズとは言い難い。
マドリーのポゼッションのキモであるラテラルのうち、左はこのように厳しい状況。
その分右のカルバハルはさすが…となればよかったのだが、明らかにコンディション不良でパスがずれてばかり。ボールを失うことが多く、良さが全く出せていなかった。
連戦で状態が回復しないのだから、クロースとモドリッチによるサポートが万全にならないのもまた当然だ。
ベストメンバーであっても、組み立ては彼らが下りてきて良いサポートをすることを組み込んでやっている。
攻撃面の能力が下がる組み合わせで彼ら2人のサポートが得られなければ、攻撃がとん挫するのは火を見るよりも明らかであった。
両翼を押し出してプレッシャーをかけてきたバルセロナの出方も良かった。
インテリオールもできるガビのエストレーモ起用は、マドリーにおけるバルベルデと似たものを感じる。
彼の高い守備強度によって、バルセロナ全体の強度も引き上げられ、また前から追う流れができていたように見受けられ、マドリーはたじたじといった印象。
悪い時に後方で詰まるのはよく見るが、それどころか、やすやすとボールを渡してしまう場面が目立った。
苦しいラテラル事情
メンディがビニシウスのサポートをできておらず、ビニシウスが1対4で仕掛けているという話にもなっていたが、後方でリズムを崩していたので快適に上がれないのは仕方がない。
メンディがインナーラップして「プチ・マルセロ」のようなプレーがしばしば見られたのはビニシウス覚醒前。
覚醒後はビニシウスのスペースを潰さないよう動いていて、ビニシウスはライン際からスタートするのでメンディのプレースペースはなかなかない。
ただでさえ精度が高くないのに、アタッキングサードでクロスをあげる位置でプレーする試行回数が減って、リズムを更に失っている。
左をいつまでもアラバ頼みとするわけにもいかない。
メンディを売却するかどうかはともかく、ビニシウスの後方を気にしなくて済む守備力とともに組み立て時に不安がない人を競争相手として置きたい。
ラテラルは今夏の補強プランに入っていると報じられているので、今シーズンは何とかしてくれ、というところ。
カルバハルの調子が戻って右からバランスが改善されるのにまずは期待しつつ、大穴でビニシウス・トビアスの台頭にも望みをかけておこう。
ラテラルの状況は、カンテラーノに多少でも期待したくなるくらい悪い。
カマビンガ、先発へのハードル
中盤では、カマビンガが昨シーズンにスーパーサブとして見せた印象を超えられず苦しんでいる。
誰がピボーテとなってもポゼッションの時はクロースとモドリッチが下りてくるから、保持時は配置上の問題というよりも彼ら2人を中心とするやり方とのかみ合わせの問題のように見える
自分でボールを運びたいカマビンガのスタイルは、後方で手数をかけることで相手に出てきてもらう形では生きる場面が少ない。
持ち上がる場面でも、より信頼のあるビニシウスがサイドにいるのだから彼を優先して使うことにもなって、先発ではっきりした居場所を見出すのが難しいのが現状だ。
昨シーズンの活躍は、試合がオープンになってきたところに出てきて、走力を生かしてドリブルしたり、良い位置に入ってパスを供給したりというプレーによるものだった。
後半に強かった昨シーズンのマドリーを象徴するプレーヤーと言っても過言ではなかっただろう。
確かに、長期的にはクロースとモドリッチから世代交代し前半から走り回るスタイルに移行するのが一番ありうるルートで、彼にとってはそこからが本番である。
だが、苦しいチーム事情を考えると今ベテラン勢を乗り越え、活力をもたらしてほしい。
鉄壁だったCMKの序列を崩せず敗れた先人の列に加わるのではなく、スコアレスで互いに慎重にプレーする前半にその能力を生かせる道を見つけてくれればと思う。
勝負はまだ先
前半はスコアレスでOKとし、後半に選手層を生かして元気な若手を投入し畳みかけるのが強い時の90分の流れ。
しかし、そもそも前半に手堅くいけず失点してしまったことがまずく、さらに後半に満を持して投入できるほどの層がなく皆疲れているため、ギアを上げるタイミングさえ見いだせずに終わった。
冬の補強は基本的にはないので、選手層が改善される見込みはない。
コンディションを改善していくほかないが、逆に負傷離脱が増えている状況だし、まだ連戦の日程が続く。
ビジャレアル相手なら普通にやっても負ける可能性があるし、コパは大幅なローテーションを実施して主力はできるだけ休ませたい。
控え組や、先述のビニシウス・トビアスの活躍などに期待する試合として良いのではないだろうか。
どの大会、試合も負けは許されないというのはポリシーとしては正しいが、今は無理する時ではない。
スーペルコパもバルセロナ相手だから騒がしくなっているだけで、結果を気にすることはない。勝負の時はまだ先だ。