コパデルレイの第2戦を残しているが、リーガとしては年内最後の試合。
■マドリーの先発メンバー
GK:カシージャス
MF:シャビ・アロンソ、ラス;カジェホン、ディマリア、ロナウド
FW:ベンゼマ
44分:カジェホン→アルビオル、65分:ディマリア→ケディラ、85分:ベンゼマ→アルティントップ
3の中央がディマリア。エジルが調子を落としていて、カカも万全ではないということだろうか。
■セビージャの先発メンバー
GK:ハビ・バラス
DF:カセレス、ファシオ、スパイッチ、フェルナンド・ナバーロ
MF:メデル;ヘスス・ナバス、トロホウスキ、ラキティッチ、マヌ・デル・モラル
FW:ネグレド
44分:トロホウスキ→カヌーテ、68分:ラキティッチ→カンパーニャ、81分:フェルナンド・ナバーロ→アルメンテロス
4-1-4-1。バイタルをメデルが埋める。ペロッティは怪我で不在だが、マルセロにヘスス・ナバスをぶつける形。
■速すぎる攻め
ディマリアの中央での起用に特別な雰囲気はなかった。もともとサイドの選手だから、いつもよりポジションチェンジが多かったことと、いつもより下がって受ける意識があったかなという程度。プレーの内容はいつも通りだった。
ポジションチェンジは、ベンゼマが左サイドへ、押し出されるような形でロナウド中央よりに、カジェホンが前へという形が多かった。
4バックに対して4人が並ぶような形もあって、とても組み立てに参加する感じはなし。シャビ・アロンソ周辺にスペースと時間を作ってあげることが出来なかったので、早くボールが出て行きがち。サイドバックながら時間を作れるマルセロも、ボールはもてるけれどもぱっとせず、縦へあまりにも速すぎる展開が多かった。
表示されるボール支配率よりずっと、ボールを持って攻めている感じのしない試合。
守備もよくわからなかった。前線のプレスはちらほらという程度で、運動量はあまりなかった。にも拘らず、それほど下がる雰囲気もなく、中盤は漫然としていた。
マルセロのサイドはかなり破られていた。ロナウドが戻ってきたら人数は足りることは多いが、いかんせん緩い。マルセロも1対1でやられる場面が何度かあり、ネグレドへのクロスは危なかった。センターバックはケアに奔走し、セルヒオ・ラモスはイエロー、ペペはドブレアマリージャで退場処分となってしまった。
でも、得点はマドリー。フェアじゃない。シャビ・アロンソからディマリアへの縦パスが通って勝負あり。ディマリアについていたメデルが前でカットしようとして入れ替わられたのがセビージャにとっては痛恨。
楽にロナウドへのスルーパスを出す時間があり、ロナウドは今週は落ち着いてゴールを決めた。
36分には裏へ抜け出したカジェホンへのディマリアのパス。カジェホンがちょんと触ってゴール。カジェホンは最近きちんと結果を残せている。
40分のロナウドのミドルが決まって3-0。
ペペの退場はこの後で、攻撃陣の中で”序列”が低いカジェホンがアウト、アルビオルが入った。
セビージャは右サイドから惜しい場面が何度かあった。カシージャスの大きな仕事の機会が久しぶりにあったが、素晴らしいセーブで応対。セビージャはこれが入っていれば望みが繋がったのだが。
10人になったマドリーだが、後半は動きなし。セビージャは攻撃のてこ入れでカヌーテを前半ロスタイムから投入。
前線の枚数、高さは増したが、中盤が少なくなったこの采配はどうだったか。結果としては、スペースの出来た中盤を使えるようになったため、セビージャにとっては失敗となってしまった。
マドリーとしては3-0の時点でカカやエジルを使う必要はないという感じだっただろう。少なくなっているし、縦へ行けるメンバーですばやく攻めてくる方法を徹底。
その速い攻めで、64分にディマリアが抜け出してゴールを決めることに成功し4-0。カヌーテ投入で流れを変えたかったセビージャだったが、これで試合は決まった。
67分にヘスス・ナバスが、マルセロの状況を把握していない悪い動きをついてゴールするも、直後にマヌ・デル・モラルが退場しておしまい。マドリーはその後ベンゼマの得たPKをロナウド、アルティントップの初ゴールが出て6得点。セビージャもネグレドが1点を返し6-2で90分を終えた。
■積み上げは何もなし
大量点ではあったが、内容は非常に悪かった。ゴール前の精度で勝っただけという印象。これだけ縦に速いと撃ち合いになるのは避けられず、意図的にそれを狙ったのかとも思うが、見ていて楽しい試合ではなかった。
ディマリアの一発狙いはポジションを替えても変わらず、アシストはあってもミスパスも多い。前線で中盤を助けられる選手がいなかったことが、ドタバタのペースに拍車をかけた。
勝ち点を落としたくない、という状況だから、セビージャを相手にこれまでと違うことはしたくない、しない、ということだろう。
エジルの控えは現状のプレーから納得できても、シャヒンもグラネロも試すつもりがない招集リストは、極端すぎる。
シャビ・アロンソのパスをスイッチにすることは良いが、そのために彼の時間を作ってあげる選手やボール回しが必要だし、可能ならば彼のタスクを分担できる選手をチームに組み込んでいく必要があるのだが、少なくともこの試合で、現状から脱却しようという試みは示されなかった。
勝ち点はきちんと得る代わりに、今後あるだろうビッグクラブとの対戦に向けては、積み上げは何もない試合だった。
ミッドウィークにポンフェラディーナをベルナベウに迎え、コパの第2戦を戦った後は、試合はしばしお休み。
2012年は1月7日か8日にベルナベウにグラナダを迎えるリーガでスタートする。