レアルマドリードのある生活

レアルマドリードの応援日記。試合中心にお送りします。

リーガ・エスパニョーラ第35節 vラージョ

CLもあるためメンバーを代えて臨んだ今節。予想以上に酷い内容で、不安を残す試合となった。

■マドリーの先発メンバー

GK:ケイラー・ナバス

DF:ダニーロ、ペペ、バラン、マルセロ

MF:クロース;イスコ、コバチッチ

FW:ヘセ、ベンゼマ、ベイル

42分:ベンゼマルーカス・バスケス、63分:ヘセ→モドリッチ、78分:コバチッチ→ハメス・ロドリゲス

コバチッチが久しぶりの先発となった。ロナウドの代役はヘセ。ベイルが左に入り、ヘセが右に。

■ラージョの先発メンバー

GK:フアン・カルロス

DF:キニ、クレスポ、アマヤ、ティト

MF:ホサベ、トラスオラス、エンバルバ、パブロ・エルナンデス、ベベ

FW:ミク

54分:パブロ・エルナンデス→ハビ・ゲラ、55分:ホサベ→イトゥーラ、78分:ティト→ラツ

残留争いのラージョ。降格圏との勝ち点差は僅かで、最後までギリギリの戦いとなりそう。

■酷すぎる序盤

マドリーの不安はカゼミロを欠いた中盤の守備。クロースが良くなってきたと思っていても、本職のカゼミロのプレーを続けて見た後だとどうしても見劣りしてしまう。ましていつもの組み合わせとは違い、CLをどうしても意識してしまうタイミングでは、浮ついたプレーになりがちである。

ところが、試合が始まるとそれ以前のレベルで問題が発生。さして厳しくもないラージョの守備に対し、全くボールを落ち着かせることができず、ミスパスとクリアの連続となった。ボールは持つが運べないというのはままあることだが、そもそもマイボールで落ち着くこともできないというのはなかなかない。前半途中までパス成功率が60%ほどというのは、マドリーでは考えられない低さ。慣れない組み合わせで組織としてうまくいっていなかった面もあるだろうが、その前に個々の技術があまりにも低かった。

本来足元がしっかりしているはずのメンバーが並んでいたのにこうなった理由はよくわからない。

豪雨の影響は多少あったかもしれないが、それにしても普段の水準を考えると落ち込みすぎ。リズムをコントロールできるプレーヤーが1人もおらず、皆が皆バタバタとプレーしてしまっていた。

ラージョは不安定なマドリーにつけ込む。

7分、べべがダニーロを突破すると、ぺペの股を抜くマイナスの低いクロスを供給。これにエンバルバが合わせて先制に成功。さらに14分にはコーナーの流れからミクが押し込んで2点目。15分までに2点をリードすることに成功した。

ダニーロのプレーについてはもはや何も言うまい。スリッピーであったことを差し引いても、守備の不安定さは酷かった。かといって攻撃面でそれをカバーするだけのプレーがこの苦しい時間にできていたかというとそうではなく、彼を使う意義はカルバハルを休ませらレルということ以外に今のところ見当たらない。

特に攻撃面でもっとやれることは多いと思っているし、それなりに期待はかけているが、出るたびに明らかな失敗、チャレンジしてのものではなく、なんでもない場面でのずれ、ミスが繰り返されていることは見逃せない。精神的な問題もあると思われるので、とにかく落ち着いてプレーしてほしい。

雨が上がるとともに、マドリーのボールキープは徐々に落ち着いていく。

やっと一安心だが、ここまでに20分以上を費やし、既に2失点。あまりにも情けない試合の入り方で、落ち着くまでの時間にはっきりとその報いを受けた。

35分にコーナーをベイルがうまくヘディングで決め、ようやく反撃という雰囲気に。ベイルはうまくニアに入り込んで、ヘディング技術の高さを見せた。しかしその流れはベンゼマの負傷でしぼむ。42分にルーカス・バスケスと交代となり、前線の組合せとしても、試合の流れとしても、1点差に詰め寄ったことをかき消すほどに厳しくなった。

■ようやく落ち着き、最後のミスはラージョ

後半立ち上がりは、さすがに落ち着いて入った。前半が悔やまれるし、こうして立ち直ったことを見ると、攻め手に欠くことはあっても、少なくともこのようにやられるようなことは避けなければならなかったのに、それさえできなかったあのプレーぶりは、ミステリーというほかない。

52分、ダニーロのクロスにルーカス・バスケスが頭で合わせて同点。ダニーロはようやく良いプレー。相手に当たることが多いクロスだが、さすがに時間があって良い精度のボールを供給した。

ルーカス・バスケスはするするとディフェンスの前に入ってあわせた。急遽出場となっても攻守に走ってくれるのはありがたい。いいところに入っていってくれるからこそのゴールだった。

ラージョとしては、幸運にも得た2点をどう生かしていくかというところで、ちょっともったいなかった。

マドリーはチームとしては徐々に落ち着きを取り戻したが、ダニーロは相変わらずべべに手を焼いていて、多少低い位置でも勝負させればチャンスは作れそうだったので、ここを狙っていって、中央に2列目が飛び込んでいく形をやられると辛かったはず。

まだまだチャンスは作れそうだったのに、落ち着いたマドリーに合わせる形で、行儀良く守備にシフトしてしまったように思う。

63分にできれば温存しておきたかったであろうモドリッチを投入。イスコがトップの位置に入った。

この時間帯には、ラージョは完全に自陣に退いていることが多かった。ただ、攻めたいマドリーが後方をがら空きにするので、ボールの回収に失敗しカウンターを受けることもあり、マドリーが圧倒的に押すという流れではなく、互いにチャンスを迎えるという時間。

こういう時間帯の対処の仕方としても、カゼミロがいるのといないのとでは大きく違う。彼はバランスを崩してまで突出しないし、守備の時にきちんとボールと人について下がっていく。速攻を受けた場面で3対3にもかかわらずクロースが歩いてしまい、シュートチャンスを与えた場面があったが、カゼミロであれば潰せていただろう。

攻撃したい気持ちはわかるけれど、失点してしまうとここから2点は遠い状況でもある。最低限のことはやってほしいし、それがない限りは、カゼミロは重用され続けるだろう。

致命的なミスはラージョにも。81分、エンバルバの中央へのパスがずれ、ベイルの元へ。彼が持ったタイミングで、センターバックと1対1、しかもラインが高くGKとも距離がある状況で、スピード勝負できる形。

長くボールを持ち出し、センターバックを振り切ると、GKの脇を抜ける速いシュートを決め、勝ち越しに成功。

エンバルバの軽率なミスで、ベイル好みの形になった。センターバックに一瞬で諦めさせてしまうスピードはさすが。シュートの精度も高かった。

残り10分を切って勝ち越し、さすがにここからは危険なことはせず。ハメスも投入しており、布陣としてはアンバランスな状況だったが、何とか凌いで逆転で勝利。リーガの希望を繋いだ。

■最後に

難しい試合になるかと思っていたが、予想を上回って大変な試合となった。相手がどうというよりも、自分たちのプレーに大きな問題があり、それが原因となったことが不安。

ローテーションはしたにせよ、ここまで波の大きいプレーを見せられると、ベストの11人への信頼というより、それ以外への不信となってしまう。もちろん、これほど問題のある試合は稀だし、これが本来のレベルだとは思わない。だが、大丈夫だろうかと疑念を持ってしまうことで、試合中の交代が遅れたり、ローテーションに踏み切れなかったりということに繋がってしまう。

シーズン大詰めの時期にこうした内容のプレーをしてしまうと、勝負がかかった試合、場面では使われなくなってしまうかもしれない。それは、チームにとっても大きな損失だ。

この試合をうまく消化して、それぞれ進歩していって欲しいと思う。

ミッドウィークはシティとのCL準決勝。まずはアウェイでの第1戦となる。

ベンゼマロナウド、カルバハルとコンディションが気になるプレーヤーはいるが、ひとまず皆イングランドへは移動したとのこと。可能な限り万全な状態で試合を迎えてほしい。