下位に沈むグラナダとの第17節。こういう試合はきっちり勝っていきたい。
■マドリーの先発メンバー
GK:ケイラー・ナバス
DF:カルバハル、バラン、ナチョ、マルセロ
MF:カゼミロ;モドリッチ、クロース;イスコ
46分:クロース→ハメス・ロドリゲス、50分:イスコ→アセンシオ、68分:マルセロ→コエントラン
イスコのポジションは一応トップ下表記に。ただ、サイドを含め、様々な場所に顔を出していた。
■グラナダの先発メンバー
GK:オチョア
DF:ティト、ヴェーゾ、ロンバン、ガブリエウ・シウバ
MF:サンペール;ボガ、アグボ、ペレイラ、タバヌ
FW:クラベツ
61分:アグボ→ハビ・マルケス、65分:ボガ→ブエノ、77分:タバヌ→ポンセ
グラナダはアウェイでここまで勝利がなく、3引き分けで勝ち点3を得ているのみ。
■好調を維持
12月の苦労が嘘のようだ。セビージャ戦に続いて、この試合でも前半から熱意のあるプレーでリードを作った。
ベンゼマがよくボールを受けるようになり、そこにイスコやモドリッチ、両サイドバックが絡んでいく。ボールを動かし、プレーヤーも走るので、攻撃の展開がスムーズだった。
低い位置ではカゼミロが復調気味。速いプレスとしっかり繋ぐパスができており、グラナダの攻撃を早い段階で止め、マイボールを継続する原動力となった。12月はボールを持った時の判断が悪く、相手に引っ掛けてしまう場面が散見されたが、無理せずモドリッチやクロースに預けていて、期待されるレベルに戻ってきた印象。
グラナダは4-5-1の形。中盤が幅を取って両サイドを埋められるので、サイドを使って揺さぶりたいマドリーにとっては難しい構成かと思われたが、サイドにスペースがあることがしばしば。
しかも、ボールを持ってからの攻撃に移る方法が統一されていない印象。強いて言えば左サイドで人数をかけてきていたかというくらいで、守ってからどう攻撃して点を取るのかが曖昧だった。繋ぐかどうかも確立されていないようで、GKや最終ラインからクリアせず両サイドに時折長いパスが出ていたもののあまり成功せず、中央でも難しい場面で無理してしまい、カゼミロの餌食になることが何度もあった。
先制点はその形。
自陣内でイスコに潰され、カバーしたカゼミロからベンゼマ、右を走っていたイスコへと繋ぎ、シュートはオチョアの股を抜いた。
ショートカウンターで比較的楽な形でシュートに持ち込み、マドリーとしては理想的なゴール。一方グラナダは後方からの組み立てで痛い失敗をしてしまった。
リーガでは下位のクラブが繋いでくることも珍しくなく、そのこと自体に驚きはなかったが、この場面をはじめとして、繋ぐためのプレーの判断が悪く、返って自陣から出られない状況を招いてしまったように思う。
マドリーはグラナダのまずさを利用し続ける。
延々と相手陣内でポゼッションを続ける展開で、時折右サイドから来る攻撃に対処すれば良かった。ナバスの仕事はほぼなし。バックパスを繋げば事足りた。
こうなると、抑え続けるのは難しい。マドリーは負けていない雰囲気の良さが見て取れ、攻撃のプレーにアイデアがあるし、チャンスがあれば皆シュートを狙ってくる。
結果を追うことに汲々としていると、定石通りのプレーになりがちだし、アタッキングサードでのプレーを大事にしすぎて返って機会を逸してしまいがちになるものだが、今のマドリーにはそういったムードはない。
■フィエスタに
2点目はモドリッチのミドルのこぼれ球にベンゼマ。ベンゼマの位置はオフサイドだったが見逃された。そのことを除けば、良いシュートと忠実な詰めだった。
3点目はマルセロのクロスに合わせたロナウドのヘディング。マルセロがエリア内まで侵入できているのがグラナダのサイドの守備の出来をよく示している。その後のマルセロの足下の技術はさすが。ロナウドはタイミングを合わせてコースに入りさえすれば良かった。
更に、前半のうちに4点目。
グラナダの最終ラインからのパスをカットしたモドリッチがそのまま右サイドを持ち上がり、ラストパス。ファーに入ってきたイスコが楽々合わせた。
2点目こそオフサイドの見逃しがあったものの、それを差し引いてもグラナダは致命的なところでミスを犯しすぎた。マドリーはそれらをきちんと生かし、約10分おきにゴールを決め前半のうちにフィエスタに。
■ハメスも、コエントランはきっかけが必要
4点差となった前半を受け、ジダンはクロースを下げてハメスを投入。2得点ながら打撲を負ったイスコも50分にさっさと下げる余裕の采配。
セビージャ戦で2得点のハメス、この試合2得点のイスコを結果的に競い合わせることに。そこにアセンシオも加わって、中盤のポジション争いはレベルの高いものになっている。
ハメスは5点目となるカゼミロのゴールをフリーキックでアシスト。またも結果を出してアピールに成功した。守備が問題となることが少なく、彼にとってはやりやすい試合だっただろう。
アシストの場面だけでなく、左サイドからのクロスの精度も高く、良い状態にあるようで何より。ミッドウィークのセビージャ戦でも出番はあると思われるので、良いプレーを維持してほしい。
残念だったのは、マルセロを休ませるために入ったコエントランの状態くらい。
良い流れに乗れているチームの中で浮いているように見え、ベルナベウからも歓迎されていない。マルセロがいる以上バックアッパーの立場を抜け出すことは不可能に近いが、マルセロ不在時に良い穴埋めはしてくれていたプレーヤーである。
チームの流れに加わるためには、何かきっかけが必要なように思われた。
■最後に
下位のクラブ相手に5-0、しかも前半のうちに4得点で決着をつける理想的な試合運びだった。
今は誰が出ても何かできる良い状態にある。競争は熾烈で、ともすればチームの好調さと裏腹にモチベーションの維持に苦労しそうでもあるが、そこは監督ジダンの強み。コンディション維持のためにローテーションしつつも、それぞれの出場機会には力を発揮させることができている。
負傷者続出の事態を乗り切るどころか、チーム全体のレベルをより高め、結束を強化さえしてしまえているチームマネージメントには脱帽するしかない。
目指すはリーガとCL。決勝トーナメントが始まる頃にも良い状態が続いていてほしい。
ミッドウィークはコパ第2戦。その後週末のリーガもセビージャとの試合で、連戦となる。
対策もされやすくなるが、マドリーはどう戦っていくことになるのだろうか。