新年最初の試合は引き分け。リスタートしたいタイミングだったが、ゆるさが目立つ内容となった。
■マドリーの先発メンバー
GK:クルトワ
DF:カルバハル、バラン、セルヒオ・ラモス、マルセロ
MF:カゼミロ;モドリッチ、クロース
46分:ベイル→イスコ、64分:モドリッチ→バルベルデ、86分:クロース→ビニシウス
カゼミロが本格的に復帰して中盤はお馴染みの3枚。ここに割って入れる誰かがいるかどうか。
■ビジャレアルの先発メンバー
GK:アセンホ
DF:ラジュン、アルバロ・ゴンサレス、ビクトル・ルイス、ハウメ・コスタ
MF:カセレス、ハビ・フエゴ;チュクウェゼ、フォルナルス、カソルラ
FW:ジェラール・モレーノ
63分:カセレス→エカンビ、69分:ジェラール・モレーノ→バッカ、86分:ハビ・フエゴ→トリゲロス
戦力的には下位に沈むクラブではない。彼らも切り替えてリーガを戦いたいところだろう。
■緩い
4分、ビジャレアルが早速先制に成功。
攻撃がうまくいかない状況なので、特に序盤の失点は試合を難しくする。せめてスコアレスで我慢できないといけないのだが、今シーズンはそれができずに勝ち点を落としている。
実はコンディション不良だったといった話も試合後に出てきていて、万全ではなかった様子は伺える。
が、相手もあることとはいえ、あまりにもあっさりやられてしまっていて、見ていて辛い。プレーの強さが戻ってこないと、小手先のやり繰りでは根本的な解決に至らないだろうと思ってしまう。
ベンゼマ、バランのゴールで前半のうちに逆転したが、その後は停滞ムード。
試合を決める3点目を取るのか、守備的と言われても凌ぎきるのかといった選択肢がある中、どの選択肢も取らずふわっと試合を進めることになった。
それでも要所を締められるチーム状態ならまだ良いが、そうした状態からは程遠い今、のらりくらりで90分を終えられるほどリーガは楽ではない。
結局報いを受けて、終盤にカソルラに決められて慌てることになった。
カゼミロが帰って来て、戦力的には主力が戻ってきつつあるのは確かで、それは喜ばしいこと。
ただ、その面々に続く戦力との序列の隔絶が大きくみえてしまうようでは、競争は生まれない。ソラーリには、主力組を引き摺り下ろせるプレーヤーを見定めて使ってほしい。
普通にやっていては、「昨シーズンからロナウドが抜けただけ」という単純な引き算で今シーズンの概観が終わってしまいそうだ。様々な化学反応があるチームスポーツなのだから、本来はそうシンプルな結論に繋がるものではないはず。デメリットもあったがこういうメリットは見えた、と思えるような変化を見たい。
序盤の失点、逆転後の試合運びと、監督交代の刺激を忘れてしまったかのような緩みを見ることになってしまった。
■やりたいことと、やらなければならないこと
ベイルの負傷については、今更言うことはない。
負傷したくてする者などいないので、不運だし残念ではあるのだが、大事な時にいないという点それだけで見る目は厳しくなってしまう。
交代で入ったイスコはそのままのポジションを引き継いだが、中央でやりたくてポジションを放棄するので、ベンゼマがサイドへ流れ、中央でフィニッシュするプレーヤーが不在という構成に。
ソラーリはイスコについて会見で当たり障りのない発言でかわしていたが、これで良いというならチームとしてのバランスの取り方が雑ということになるし、イスコが起用されたポジションから察して役割を全うしようとしないというなら、それも問題で、何もなしということにはならないだろう。
イスコは少なくとも一旦序列が落ちていたので、得意なところで得意なプレーをしたいという意思は理解できる。
だが、リードした展開で負傷交代というアクシデントで起用されたのだから、それなりの選択をしてほしいところだし、そういう判断をせずにやりたいことをやるというなら、個の能力が優れていても相応の立場にならざるを得ないだろう。
逆にベンゼマは気が利きすぎる。
サイドが手薄でそもそも攻撃の組み立てが機能してないとなれば、しっかりそこに参加して厚みを持たせてくれるが、それがゆえに中央の枚数が不足する結果となった。
この数年、マドリーは守備をしないが点は期待できるロナウド、というメリットとデメリット、やりたいことが分かりやすいプレーヤーの存在から逆算してチームを作ってきた。
その基準点を失い、皆そこそこ攻守ともに頑張るようになったものの、かえって混沌としてしまったというべきなのだろうか。
チームとしてのバランスの取り方は、本当に難しい。
■最後に
良いところを強いてあげれば、得点は挙げられるようになっている。
その分、安易な試合運びさえなくなればもっとよく見えるようになる可能性は残っている。
今週末はベルナベウでラ・レアルとの対戦。
ホームで、たまには楽しく見られる試合をしてほしい。