レアルマドリードのある生活

レアルマドリードの応援日記。試合中心にお送りします。

リーガ・エスパニョーラ第26節 vバルセロナ

コパに続いていいところなく敗戦。チームを取り巻く環境は悪くなってきている。

 ■マドリーの先発メンバー

GK:クルトワ

DF:カルバハル、バラン、セルヒオ・ラモス、レギロン

MF:カゼミロ;モドリッチ、クロース

FW:ベイル、ベンゼマ、ビニシウス

 

55分:クロース→バルベルデ、61分:ベイル→アセンシオ、76分:カゼミロ→イスコ

 

ベイルが先発。そのほかはいつも通りの面々。

 

バルセロナの先発メンバー

GK:シュテーゲン

DF:セルジ・ロベルト、ピケ、ラングレ、アルバ

MF:ブスケツ、アルトゥール;ラキティッチデンベレ

FW:メッシ、スアレス

 

71分:アルトゥール→ビダル、78分:デンベレコウチーニョ、89分:ブスケツ→セメド

 

セルジ・ロベルトが右サイドバック

 

■ベイルはローテーションと解釈

最初にベイルの起用について。

彼の先発起用に疑問が出ているとの報道があったが、賭けているのがプライドのみで、ミッドウィークには実を取るべきCLがある日程でのローテーションと捉えれば、さほど違和感はない。

 

追う展開でもクロースを投入、序列の低いイスコを使ったことを見ても、ソラーリにとってそれほど無理をするべき試合ではなかったのだろう。

 

こういう試合での起用となること自体、ベイルのサブとしての立場を如実に表しているし、ここで奮起できないようでは今後の見通しも厳しい。

試合終了を待たずに帰ったという態度は措くにしても、左のビニシウスが(決められなかったとはいえ)5本のシュートを放ったのに対し、1本ではどうにもならない。

 

■悪化の一途

3回対戦して、得点はコパ第1戦の1点のみ。この得点の少なさが状況の悪化を物語っている。

コパ第2戦ではチャンスがあったものの決めきれず、この試合ではそこからさらに後退、いい場面を作るところで問題を抱えることになった。

 

左サイドに偏る攻撃は相変わらずだが、そこに人数をかけすぎている。

良い時はビニシウスとサイドバック、適宜もう1人くらいの関与で相手をはがせていた。この試合ではそこにベンゼマも顔を出し、中盤からも常に近い距離感で参加しているプレーヤーがいて、スペースに対し人数過多。混み合ってスピーディーに突破できなくなるし、中央の人数不足も起こる。これで良い形を継続して作ることはできない。

 

ビニシウスが単独で突破できた時にチャンスになっているのは、人数と時間をかけていないために中央もある程度準備できているから。

彼の能力に依存するのが良くないのは当然その通りで、最低限サイドバックとの関係は欠かすことはできない。とはいえ、ゴールを目指す前の段階の崩しに注力しすぎてしまうのも本末転倒だ。

 

監督が代わって当初は、ベンゼマが「9番化」し、彼のところでフィニッシュする形を目標にすることができていた。

時間経過とともに、ベンゼマがサイドに流れ、本来サイドにいたロナウドが中央に入ってきていたようなかつての動きに戻りつつある。それで中央で決めてくれる人がいなくなっているのだから、迫力不足は当然の結果だ。

チャンスがあって点が取れない試合は年に何回か訪れるもので、やむを得ないが、チャンスを作ることに苦労する状況は受け入れがたいものがある。

 

原因としては、監督交代の一時的な効果が薄れていることと、手詰まり感により行っている修正の方向性の違いが考えられる。

監督交代のブーストは長くは続かない。そのインパクトは徐々に日常に吸収されていく。そこで新監督の戦術的な枠組みがぼけてしまい旧弊に戻る現象は、マドリーに限らずどのクラブでも起こりうることだ。

今回はそれに加えて、いったんは機能し始めていた左サイドの攻撃が頓挫し始めたという経過が加わって、問題を複雑化させている。

一度はできたのだからと、そこへ立ち戻るべく修正を加えているものの、返って状態を悪化させていて、身動きが取りづらくなっているようだ。

 

元の形に戻るのでは対策を打たれていく一方なので、それを原型としつつ違うメンバーの起用やマイナーチェンジにより改善していかなければならない。

 

例えばジダン期を考えてみよう。

ジダンも当初はロナウドをそれまで同様左においていて、守備をさせることに一時的に成功していたが、徐々に普段の守備ブロックに参加しないロナウドに戻っていた。そこで、守備をさせる方向にやり直すのではなく、彼を中央に置く形に変化することに成功、さらには時に休みを取らせる起用法も承諾させ、その後の成功へと繋げた。

左に置いて使い続けるそれまでの起用法では、その後の成功はなかったかもしれない。ジダンはこれにより、守備の安定やロナウドのストライカーへの変化を手にしたのだった。

 

現状では、バスケスをアセンシオに置き換え右の攻撃の活性化を図る、守備の貢献が大きい代わりに組み立てに制約があるカゼミロをバルベルデに代えるといったことは考えられるだろう。

そうした変化ができないと、対策された形に拘泥することになってしまう。

 

■守備も

守備の強度も落ちている。

ラキティッチの得点の場面はバルセロナ右サイドの何の変哲もないパス交換で守備が置いていかれていた。

特定のメンバーを起用し続けていることによる疲労も影響しているかもしれない。モドリッチを筆頭に中盤は何とか良く走っていたが、カゼミロの本領とも言えるフィルター機能はそれほどでもなく、最終ラインの負担も大きかった。

 

クロースをバルベルデに代えて以降、攻撃のレベルダウンはあまり感じなかったから、上下に動けて守備強度を上げられる彼の継続起用は真剣に検討して良いのではないか。このレベルの試合ですぐに点が取れるようになる特効薬は今のところ見当たらないから、守って勝つ渋い試合を積み重ねて行くことを当面目指すべきだ。

 

守備強度の低下から想定できる最も悪い状況はソラーリの求心力低下。

表向きはそうした発言はほぼなく、少なくとも先発組の忠誠心に問題はないように見えるが、それも「今のところは」という注釈つき。結果が出ないのに守備に奔走させられているという雰囲気になれば、ベニテスと似たようなことになってしまいそうだ。

 

コパ敗退、リーガも無理となって、CLも早々に終わるようなことがあれば、シーズン三分の一を残してソラーリ体制は死に体となってしまい、今後に繋がるものを何も積み上げられずに残りシーズンを消化することになる。何とかベスト4あたりまではたどり着いて、シーズン終盤まで期待をもてるようにしないと、現在のチームの土台が吹き飛ぶようなことになりかねない。

そうならないためには、先発組に加えもう少しの戦力の活用を図り、コンディションを維持しつつ守備強度を保って、トーナメントでしぶとく生き残る道を選ぶのが無難。攻守どちらを見ても、やり方、起用法の変化が求められる。

 

■最後に

同じ相手と短期間に3回対戦するということで、どう変化していくのかが見えやすい期間だったが、辛い内容と結果となった。

結果を出すことで前向きな雰囲気を取り戻し、機能を回復する道筋に到達することを期待するしかない。

 

この状況の中CLがあるのはピンチだが、これを期にやり直すチャンスでもある。

内容はともかく、勝ちあがりという結果を出して希望を持てる流れを作ってほしい。