レアルマドリードのある生活

レアルマドリードの応援日記。試合中心にお送りします。

リーガ・エスパニョーラ第14節 vバルセロナ

カンプノウでのバルセロナ戦。明るい時間のキックオフ。

■マドリーの先発メンバー

GK:ケイラー・ナバス

DF:カルバハル、バラン、セルヒオ・ラモス、マルセロ

MF:コバチッチ、モドリッチ、イスコ

FW:ルーカス・バスケスベンゼマロナウド

66分:イスコ→カゼミロ、77分:ベンゼマ→アセンシオ、86分:コバチッチ→マリアーノ

セルヒオ・ラモスの相方はバラン。カゼミロはベンチで、イスコが先発となった。

バルセロナの先発メンバー

GK:シュテーゲン

DF:セルジ・ロベルト、ピケ、マスチェラーノ、アルバ

MF:ブスケツアンドレ・ゴメス、ラキティッチ

FW:メッシ、スアレスネイマール

60分:ラキティッチイニエスタ、78分:アンドレ・ゴメス→アルダ、88分:ネイマール→デニス・スアレス

イニエスタはベンチでアンドレ・ゴメスが先発。

■互いに縦に入らず

マドリーは攻撃時は3トップ、守備時は4-5-1になる形。

最初はロナウドを前に残してイスコを左に組み込んでいるように見えたが、ここは攻撃が終わった時のポジションによってロナウドも入るようになっていた。さすがのロナウドも、この試合ではスペースを埋める仕事をする回数が多かった。

序盤は互いに寄せが速く、ポゼッションが何度も入れ替わる展開。その中で、互いに縦にボールが入らない状況が見えてきた。

マドリーの出足はやや悪く、ファールを取られがちだったものの、サイドで数的不利になることが少なく、アタッキングサードへのいい形での侵入を防げていた。また、バルセロナの中盤は誰がそういう仕掛けのパスをするのかはっきりしなかった。特にアンドレ・ゴメスが曖昧で、攻撃麺での貢献はほぼなかった。

時折入るボールはタイミングがわかりやすく、モドリッチが何度もカット。モドリッチの凄みとともに、イニエスタのいないバルセロナの中盤の難しさが表れていた。

マドリーは、危ない時は無理に出さないバルセロナ戦ではお馴染みのリスク回避を徹底。以前のようなプレスの速さはなくなったとはいえ、奪った後の混乱した状態で奪い返されてショートカウンターでやられてきた経験が生きている。

だが、その中で数少ないボールを受けてほしかったベンゼマがぱっとせず。最初はサイドに流れて受けるなどしており、まずまずかと思っていたが、時間経過とともに消えていき、前線での収めどころがなくなったことで、マドリーも縦パスが入らなくなっていった。

バルセロナとの試合は、中盤で拮抗しつつも互いに前線が生きるアタッキングサードにボールも入ってチャンスができる展開が、非常に速いテンポで起こるからこそ、最もレベルの高い試合の1つになってきた。

ところが、この試合では、中盤でのせめぎ合いはあるものの、そこから互いに良いボールが供給されず、前線が輝く機会が少なかったので、さほどレベルの高いものとはならなかった。

プレーはとても速く、その点だけでも2チームのレベルの高さは示されてはいたが、この数シーズンの中では最も「らしくない」試合になったと言えるだろう。

前半、どちらかというとペースを掴んでいたのはマドリー。

モドリッチを中心に、相手の前でボールをカットできていた分、バルセロナより攻撃開始位置が高く、サイドからボールを運んで良い形を作りかけていた。マルセロとイスコがいて多少狭くても変化を起こせる左サイドを中心に、チャンスの芽は作れていたのだった。

その先が問題で、ベンゼマロナウドがフィニッシュの場面で何も出来ず。ベンゼマは組み立てでの貢献もなく、ゴール前でも存在感なしと散々。どちらかでもやってくれれば違うのだが、これでは辛い。どうせならエリア内で迫力を出せるマリアーノを早々に出したいと思ってしまう出来だった。

■セットプレーと交代と

中盤で互いに損耗する前半から後半へ。

マドリーは何も出来ないベンゼマをどう扱うおうか、というところ。

カゼミロを投入してイスコを前線に上げ、アトレティコ戦のような形を取るか、単純にマリアーノやハメスといった前線のプレーヤーと置き換えるか。

カゼミロだと、はまれば守備は安定するが、彼もまだまだ万全といえず、全体のバランスを再調整しなければならないリスクも伴うし、マリアーノやハメスは出場機会がない中で急にこの試合という不安もあって悩ましい。

と思っていたら、バルセロナが先制。53分、左サイドからのフリーキックネイマール。中でスアレスが合わせた。

こういう展開の試合ならセットプレー、といういかにもな得点。ここぞであわせた2人は素晴らしかった。

これでバルセロナは余裕が出た。ボールを持つのは得意なので、じりじりと攻めつつ時間を使っていけば良い。60分にラキティッチからイニエスタに替えたことで、その考え方ははっきりしたものとなった。

逆にマドリーは攻撃的に振舞うことを迫られる。これまでのプランではジリ貧となるので、方針を変換しなければならなくなった。

その選択肢が攻撃の核となるべきイスコを下げてカゼミロというのは不可解。

まずは更なる失点を防ぐ意図だったかもしれないが、彼の投入後もバランスは取れず。カゼミロのコンディションも明らかに良くなく、想定よりもずっと低いレベルのプレーだった。

そうしたことから、前掛かりになってスペースをバルセロナにいいように使われるように。これは、やられる時にお馴染みの試合展開である。先制されてからのカゼミロ投入、バランスの再構築は、状況を悪化させこそすれ、好転する手段とはならなかった。

77分、ここでベンゼマに見切りをつけ、アセンシオ。更に86分に奮闘してきたコバチッチを下げてマリアーノ。

遅きに失した感は否めない。先発への信頼を示す必要もあり、早くに交代策を採ることが良いことばかりではないのだが、この試合に限ってはジダンの判断は良くなかった。

交代のメンバーも、アセンシオの投入自体は悪くはないが、マドリーの攻撃は行儀が良すぎ、バルセロナ想定の範囲内で動いていたようであったので、状況を変えるため前線で頑張れるマリアーノを試すべきだったのではないだろうか。

中盤を増やし、最後にパワープレーにかけるという考え方は正しいが、終盤の時間帯で勝負をかけるには「正しすぎた」ようにも思う。

バルセロナは微妙だったアンドレ・ゴメスをアルダに、88分にはネイマールをデニス・スアレスに替えて逃げ切りを図る。

こちらはリードをしているので、セオリー通りで良い。

が、アルダは中央ではうまくいかないことも。デニス・スアレスが先でも良かったかもしれない。結果的に、そのアルダのファールがマドリーの同点ゴールを生む巡り会わせとなる。

89分、左サイドでマルセロがアルダに倒されフリーキックモドリッチのキックにセルヒオ・ラモスがあわせた。

バルセロナは最後の最後で綻んだ。ボールに対してマドリーは3人ほどフリー。それでも決めたのがセルヒオ・ラモスというのが彼らしい。

最後のプレーでマリアーノがボールを運ぶも、シュートは選択せず。プレーが切れたところで試合終了。

マリアーノはせっかくなので、がむしゃらに行っても良かった。物怖じしたわけではないだろうが、こういう試合、場面でやりたいことをやってこその彼。次のチャンスは生かしてほしい。

■最後に

互いに攻撃がうまくはまらない状況でセットプレーを生かした。

バルセロナとしては、先制後、ネイマールイニエスタ、メッシとあった決定的な場面を1つも決めきれなかったことが悔やまれるだろう。マドリーは、あの時間帯を無失点で凌いだ(というにも混乱しすぎていたが)ことで、最後まで希望を持ってプレーすることができた。

アウェイで勝ち点1は貴重だし、それは試合展開を考えればなおのこと。これを生かすためにも、すぐに取りこぼすなどということがないよう引き締めてほしい。

個々のプレーヤーではベンゼマの状態の悪さが心配される。ポストプレーもなく、エリア内でも仕事が出来ないのであれば、フォワードらしいプレーができるマリアーノに時間を与え、ベンゼマはコンディションを整えつつ使った方がいいかもしれない。現状でモラタが復帰してくれば、モラタがポジションを取れるだろうと確信してしまう。まだまだシーズンは続くので、どこかで上向いてくれることに期待しておく。

コバチッチはまずまずの内容。攻撃で輝くプレーはあまりなかったが、タックルでボールを奪う場面もあり、ポジションと役割をわきまえて落ち着いてプレーしていた。だが、その彼もモドリッチにはまだまだ敵わない。ボールを奪い、運ぶ期待されたとおりのプレーをして中盤を支えてくれた。良いお手本が側にいるのはコバチッチにとってもマドリーにとっても幸せなこと。どんどん吸収してほしい。

ミッドウィークにCLドルトムント戦。1位通過をかけての試合となる。これが終わるとCWC。毎年参加クラブがコンディションを崩してしまう、扱いの難しい試合が待っている。うまく処理してシーズン後半を良い状態で迎えられれば。