2連敗中のマドリー。がらりと流れを変えるのは難しいので、またひとつずつ積み上げていきたいところ。
■マドリーの先発メンバー
GK:ケイラー・ナバス
DF:ナチョ、バラン、セルヒオ・ラモス、マルセロ
MF:カゼミロ;モドリッチ、クロース
25分:マルセロ→イスコ、78分:モドリッチ→コバチッチ、82分:ベンゼマ→モラタ
右サイドバックはナチョに。
■マラガの先発メンバー
GK:カメニ
DF:ロサレス、ムニョス、ビジャヌエバ、フアン・カルロス
MF:レシオ、カマーチョ;フアンピ、フォルナルス、チョリ・カストロ
FW:ペニャランダ
67分:ゴンサロ・カストロ→ジョニー、73分:フアン・カルロス→デミチェリス、78分:ペニャランダ→マイケル・サントス
何と言っても脅威はカメニ。調子に乗せると面倒なことになる。
■流れを失うも、救いはセットプレーに
マドリーの立ち上がりは良かった。
ボールを早めに回収して波状攻撃を仕掛けられていたし、サイドを使ってボールを動かしていこうという意図が感じられた。エリア内に入る場面こそ少なかったものの、チャンスの芽は多く作り出せていて、ここからカメニが守るゴールにどう迫ろうか、といった雰囲気。
マラガがおとなしい試合の入り方をしたことが、マドリーを助けた部分もある。
ベルナベウとはいえ連敗中で不安もあるマドリーに対し、積極的にチャレンジする選択肢もあり得た。試合がバタつけば、マドリーが自滅するかもしれないからだ。しかし、マラガはごく普通の立ち上がりを選択。カウンターへの狙いも見えず、マドリーとしては助かった。
ここからリードを得られないのが、いかにも流れの悪いチームという印象。
マラガを押し込めていた15分ほどまでの間に、ベンゼマのヘディングシュートの場面、ロナウドが抜け出した場面と、決定機が2つもあったにもかかわらず、どちらも決められなかった。
ベンゼマのヘディングは枠に飛ばさなければならないポジションでフリー。ロナウドはカメニとの1対1で素直すぎるシュート。コースも甘く、難なく処理されてしまった。
こうなると、徐々にマラガが盛り返してくるのは当然。序盤は全く繋がらなかった攻撃が少しずつ合ってきて、マドリー陣内へ入る回数が増えていく。
中盤同士の攻防では、マドリーの疲労の色が濃く、拮抗してきてからはボールの回収に手間取るようになって、良い形の攻撃が鳴りを潜めてしまうことになった。
また、25分にはマルセロの負傷交代という不運も重なった。
イスコを入れて中盤に組み込み、ナチョを左に、ルーカス・バスケスが右サイドバックに下がることで対応はできたものの、攻撃の重要な駒を失い、得点は遠くなったかと思われた。
両サイドバックを高いレベルでそつなくこなしてくれたナチョにマドリディスタは感謝すべき。
守備の問題はほとんどなく、よく走って両足どちらでも一定程度の精度のクロスが期待できるのは素晴らしい。彼がいるおかげで、こうした不測の事態にも対応できるというもの。負傷離脱もなく、いつも戦力として計算できるのも大きなポイント。
最終ラインの様々な穴をナチョがうまく塞いでくれるおかげで、完全な破綻を免れているのだ。
一進一退の試合となって不安が募る展開となったところで、セットプレーに救いがあった。
35分、クロースのコーナーにセルヒオ・ラモスが頭で合わせて先制。遠目の位置にもかかわらず、正確かつ強いヘディングシュートでカメニの壁を破った。
さらに43分、左サイドからのクロースのフリーキックにまたもラモス。右足を伸ばして押し込んだ。
クロースのボールの質、そしてそれを生かすセルヒオ・ラモスのゴール前での強さが光った。
チームとしても、いかに彼に合わせるかを考えているようで、僅かでも自由なスペースを与えるべく周囲が動いている。それほどまでに今の彼のセットプレーの信頼性は高い。
少し前までは一番の弱点で、失点はするが得点は全くできない、というのがマドリーのセットプレーだったのに、今や強力な武器になっている。
■またも流れを手放し、今度は失点
マラガとしては、盛り返してきていた流れを断ち切られる失点。しかも2点差となって、勢いが萎んだ。後半も最初はマドリーがペースを掴んでいく。
運動量が落ちつつあったマラガに対し、イスコが中央に入ってトップ下のように振る舞い、ラインの間でボールを受けて攻撃を司っていた。アトレティコ戦でも見られたように、この位置のイスコがボールを多く触れれば、攻撃はより簡単になる。
2点連取した前半の終盤の勢いを引き継いで、試合を決定付ける3点目を取れそうな流れを保てていた。
それなのに、今度は守備陣が足を引っ張ることに。
63分、左サイドのフアン・カルロスのドリブルに対して出てきたバランが一発でかわされ、エリア内へ侵入してのシュートを許す。ナバスがセーブしたものの、こぼれ球をフアンピが冷静にコースを突くシュートを決めて2-1と1点差とされてしまった。
ルーカス・バスケスが追って来ていた状況で、遅らせれば1対2で問題なく対応できていた可能性が高い場面。間合いが悪く、間を割られて中に入られるという一番まずいやられ方をしてしまった。
厳しいながらもセットプレーで2点を挙げて、後半も良さそうに見えたところでの失点。前半同様、まずまずだった立ち上がりに結果として得点を奪えず、後半は致命的なミスを突かれて失点することになってしまった。
マラガは勢いづき、マドリーは不安に駆られることに。「2点差は危険」という言葉を地で行く状況に。
マラガはジョニー、復帰してきたデミチェリスと先に手を打つ。マドリーはモドリッチも負傷交代という最悪の展開。2枚も負傷による交代を余儀なくされることになった。
ただ、コバチッチが計算できるプレーヤーになっていることで、多少は不安が和らぐ。まして、マラガが出てきてカウンターを狙える時間帯である。ボールを運べるコバチッチがこうしたところで使えるのはありがたい。
この場面ではもちろんまずは守備。残り時間が少なくなる中で追いつかれると、また劇的な展開を作らなければならなくなるが、今はそんな雰囲気はない。何としても逃げ切る必要があった。
凌いでいる間に2点差に出来れば試合を終わらせることが出来るので、とどめのゴールの期待もしたが、そちらはチャンスを生かせず。
こういうギリギリのところで、攻撃が機能して守備を助けるとか、逆に守備の固さでチームを安心させるといったようにうまくカバーし合えるのが理想的。良い流れの時はそれが自然に出来るものだが、今はとことん苦しい展開に。
失点はせず逃げ切ったものの、うまく繋ぎ、決めれば「終わりよければ全て良し」といった雰囲気で締められそうなカウンターの場面でプレー選択が悪くパスがずれるという象徴的なプレーで試合は終わった。
■勝ってこそ
良い時間帯はあったものの、決めきれず苦労し、負傷も重なる踏んだり蹴ったりの試合で、セットプレー2発で勝ち点3をもぎ取った。
もっと楽な試合運びは出来ただろうし、内容としては不安定さや疲労が露呈したものとなったが、それでも今は勝ったという事実こそが重要。
勝利できなければ内容を追求することなどできないのだから、また勝利を重ねていく中で、良いパフォーマンスを取り戻していければ良い。
負傷交代となったマルセロとモドリッチについては、マルセロは左足大腿二頭筋にグレード2の負傷、モドリッチは右足長内転筋への過負荷とそれぞれ発表されている。
マルセロは1か月、モドリッチは2週間ほどでの復帰見込みとの報道で、CLに向けては何とかなりそうで一安心。
とはいえ、過密日程の中主力を2人欠くのは明らかに厳しい。中盤はまだ駒が豊富だが、サイドバックが深刻で、ナチョとダニーロしかいない。ダニーロの奮起に期待しつつ、場合によってはカスティージャのプレーヤーのステップアップにも希望を持ちたい。
ミッドウィークはアウェイでセルタとコパの第2戦、週末はレアル・ソシエダをホームに迎える。