なんとかベルナベウで勝ち点3を得た。
しばらくはこんな試合が続くかもしれない。
■マドリーの先発メンバー
GK:クルトワ
DF:カルバハル、ミリタン、リュディガー、フラン・ガルシア
MF:バルベルデ、チュアメニ;ギュレル
FW:ロドリゴ、エンバペ、ビニシウス
69分:ロドリゴ→モドリッチ、ギュレル→ブライム、85分:ビニシウス→セバージョス、エンバペ→エンドリッキ
ベリンガムが1か月ほどの離脱。
新しいチームにとっては苦しいが、序盤は何とかやっていくしかない。
ギュレルが中盤に入った。
■バジャドリーの先発メンバー
GK:ヘイン
DF:ルイス・ペレス、コメルト、ボヨモ、ロサ
MF:ジュリッチ;イバン・サンチェス、キケ・ペレス、メセグエル、マチス
FW:マルコス・アンドレ
58分:マチス→モロ、メセグエル→アマジャ、71分:マルコス・アンドレ→シジャ、ジュリッチ→マリオ・マルティン、85分:キケ・ペレス→エンディアイエ
クロースの不在
スーパーカップと前節で見えてきたのは、クロースがいなくなって組み立てに困っている様だった。
スーパーカップはアタランタがある程度出てくる守備だったのでそこまでではなかったが、前節のラ・リーガ、マジョルカ戦は、さっさと撤退する相手に対しどこでスピードアップできるのかわからないまま終わってしまった。
クロースがやっていた正確で速いサイドチェンジが失われたため、右に寄せて左といったような形で一番強力な人たちにスペースを与えられない。
同サイドの狭いところで何とかアイデアを出さなければならず、確率の低いプレーを狙うしかなかった。
マジョルカ戦ではベリンガムが下がった位置でクロース的なパスを出し、お馴染みの形に近い場面があったが、彼を負傷で欠くことになって本格的に新しい形を考えていく必要がでてきている、というのがこの先1か月の状況だ。
特に、しっかり引いて守ってくる国内の中位下位相手に勝ち点3をどのように取っていくかという点が重要。
この10年、組み立てや苦しいところのプレス回避をずっと担ってきたプレーヤーがいなくなったのだから、こうした影響があるのは当然。
クロースの役割を同じレベルでやれるプレーヤーはいないのだから、ベリンガムに彼の真似をして取り繕ってもらうよりも、今のうちに新しいバージョンを検討しておくべきではなかろうか。
もちろん、それには、内容はともかく勝ち点3を取れるという前提がある。
勝てなければその先はないので、とにもかくにも勝ちつつ、その中で模索していければ、という序盤戦だ。
その意味で、
マジョルカ同様しっかり下がって、1トップを中心にカウンターを狙ってくるバジャドリーもまた、いい相手となった。
右サイドの存在感
ベリンガムもいなかった今節。
チュアメニのサイドチェンジがノーチャンスでサイドラインを割った場面で、クロースの不在を強く感じた。
そういう大きな展開のプレー志向は引き続き見せつつも、主体は同一サイドの攻め。
メンバーから考えればもっと左に偏ってもおかしくなかったと思うが、ギュレルがボールを動かせて右サイドを使えていたのが好印象だった。
確かに、ベリンガムがいなかったための構成であったことは間違いない。
だが、左サイドを広くしたいとなると右サイドに守備をひきつける必要があり、そうなると狭いスペースが得意なプレーヤーが生きやすい環境になる。
左足のシュートを見せつつ、カルバハルやバルベルデの縦への走りを使うプレーができるのはギュレルかブライム。
序列が高くはない彼らの起用が左右のバランスを整えることになる、かもしれない。
まずは守備の安定を
バジャドリーは全員下がっている時間が長く、ミリタンもリュディガーも相手陣にいることがしばしば。
前節のムリキに比べるとマルコス・アンドレに収まる印象がさほどなかったため、危険な場面になることは少なかったが、一発狙いであることは明白な相手に対して、ちょっと怖い。
クロス対応でも怪しげな場面が見られ、守備陣は昨シーズンから変わっていないのだから、連携はしっかりしてほしいところ。
セットプレーなどで失点してそのままのらりくらり、というありがちな勝ち点の落とし方が少なかったことが、昨シーズンのリーガでの成功につながった。
その基盤を維持することが重要だ。
攻撃が停滞している状況なので、先に失点すると非常に苦しくなる。
攻撃に目が行ってしまいがちだが、後ろが安定することが結果として前線の活性化にも寄与するのだから、おかしなリスクを負わずに堅実にやってもらいたい。
先制とコントロール
今節は懸念していたのとは逆にマドリーがセットプレーで先制。後半開始早々にバルベルデがミドルレンジから撃ちぬいた。
流れの中で思うような形ではなかったし、相手に当たってのゴールではあったが、こういうゴールを取っていくことが序盤の結果に結びついていく。
この試合でも、先制したことでさすがにバジャドリーもある程度攻撃を考えざるを得なくなり、マドリーがプレーしやすい環境になっていった。
スペースができてきたところで、パスの出し入れができるモドリッチを投入。不用意なボールロストのリスクを下げつつ、攻撃の流れをつくってもらおうという形に。
後から出てきたセバージョスもそうだが、こういう展開の試合で考えてプレーしてくれ、ゲームメイクできるプレーヤーがベンチにいてくれるメリットは大きい。
二人ともこのプレー時間で満足してはいないだろうから、その点は申し訳なくも思う。救いなのはアンチェロッティ体制で表立った造反の動きがない点。
特にセバージョスについては、プレー時間が欲しければ移籍の扉も開かれている状態で、しっかりしたプレーを続けてくれているのはありがたい。
ブライム、エンドリッキ
短い時間で結果を出したのはブライムとエンドリッキ。
オープンになっていたので、最後までエンバペがいれば彼に点を取ってもらえていたかもしれない。
が、ビニシウスとともに下げたことからは、彼らをユニットで考えているということと、個人としては短期の結果に拘泥する必要はなくシーズン通しての数字を期待している、という点を読み取れ、個人的には印象が良かった。
ブライムはここで頑張れると序列が上がるかもしれない。
先述のとおり、右サイドの狭いところでやれるプレーヤーの枠をギュレルと争って、その上を目指せる可能性があるからだ。
まだ公式戦3試合ではあるけれども、混雑しているのが明らかな左サイドにお邪魔してしまうロドリゴよりは今のところの印象は良い。
それでいて数字も残せるとなれば、長い時間使わない理由がなくなってくる。
エンドリッキは一発で今の価値と可能性を示した。
どんなゴールであっても、取れるか取れないかの違いは果てしなく大きい。しかも逆足でニアを抜いてのもの。
可能性が低いながらもレンタルなどの線もありえた状況で、トップチームで引き続きやれるだろうと思わせるには十分なプレーだった。
最後に
前節の引き分けで早くも騒がしくなりかけた状況を、とりあえず押し留められる結果となった。
リーガで粘り強くやっていくことが先々の成功を作るので、慌てず続けてほしい。
第3節はミッドウィーク開催。ラス・パルマスとアウェイで対戦する。