レアルマドリードのある生活

レアルマドリードの応援日記。試合中心にお送りします。

ラ・リーガ第11節 vバルセロナ

アウェイで勝利し首位をキープ。直接対決で前節の取りこぼしをカバーすることができた。

 

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■マドリーの先発メンバー

GK:ケパ

DF:カルバハル、リュディガー、アラバ、メンディ

MF:チュアメニ;バルベルデ、クロース;ベリンガム

FW:ロドリゴ、ビニシウス

 

52分:メンディ→カマビンガ、63分:クロース→モドリッチロドリゴ→ホセル、89分:ビニシウス→ルーカス・バスケス

 

中盤5人説が流れるなどしたが無難な構成に。アトレティコ戦のような冒険はなかった。

 

バルセロナの先発メンバー

GK:シュテーゲン

DF:アラウホ、クリステンセン、イニゴ・マルティネス、バルデ

MF:ギュンドアン、ガビ;カンセロ、フェルミン、ジョアン・フェリックス

FW:フェラン・トーレス

 

61分:フェラン・トーレスレバンドフスキ、72分:フェルミン→ロメウ、77分:カンセロ→ヤマル、ジョアン・フェリックス→ラフィーニャ

 

バルセロナも負傷者が多く、苦しいやりくり。カンテラーノが出てきているのが救い。

 

マドリーの長所と短所

4-3-1-2、ベリンガムシステムが定着したマドリー。

かつてこの形を目指した時のイスコやハメスとベリンガムの違いは、守備の計算が立つということである。

この特性によって、「メディアプンタを置きたいが4-3では守れない」というジレンマは解消された。

守備時にベリンガムを左サイドに下げて4-4のブロックを作ることで守備の安定を得、彼自身の攻撃性能と両立させるようになった。

 

デメリットは、ビニシウスとロドリゴの2トップとの組み合わせが悪い点だ。

ボールを奪った時に彼らとベリンガムの距離が遠いことがしばしばあって、しかも9番らしくない2人であるために、2人とも裏を狙ったりサイドに出たりして糸が切れた凧のようになってしまっていることがある。

 

これではそれぞれの能力に相乗効果があるとは言い難く、効果的にゴールに迫れていない時間帯が長いのが現状だ。

そこをひらめきのワンプレーで何とかできているのがマドリーらしいが、サイドで常に脅威となっていた時期のビニシウスとロドリゴと比べると慣れないポジションで苦労している感が強い。

 

一方のバルセロナも、主力級の負傷が相次いで苦労しているよう。出し手も受け手も離脱しているなかで踏ん張っている。

報道を見る限りにおいては財政的に非常に苦しく、短期的な結果を求める補強が続いている。だが、そこにカンテラーノが出てきてくれるのが、いかにもバルセロナである。

ポゼッションで一世を風靡したバルセロナらしいプレーヤー、バルセロナのトップチームのために育てられたという雰囲気ではなく、今のトップチームの状況に合わせられるプレーヤーが出てきているのが印象深い。

 

苦しい攻め

6分にバルセロナが先制。

縦に当てて出ていくギュンドアンのシンプルなプレーへのマドリー守備陣の対応が遅れ、間をきれいに割られた。

 

ビハインドでボールを持たされることになったマドリーは、バルセロナの守備の対人能力の前に苦戦。

左に開いたビニシウスがアラウホに完全に抑え込まれ、ロドリゴも存在感を示せる場面がない。広いエリアをカバーできるガビが効果的で、本格的な攻撃に移る前に芽を摘まれてしまう。

 

左ラテラルが攻撃のアクセントをつけられないメンディであったことも影響し、サポートがないまま勝負せざるを得ないことが多いのも難点だった。

アタッキングサードでどうこう以前にボールを前に進められず、この2トップの悪い部分が如実に出てしまっていた。

 

こういう流れになると守備にも悪影響が出てくる。

良い時はビニシウスとロドリゴで何枚も引き連れて押し下げてくれるのだが、左サイドをアラウホ一人で制圧されてしまっていたため、バルセロナの面々が後方をそれほど気にせず攻撃に顔を出せる。

バルセロナが良い時間帯にレバンドフスキという絶対的なフィニッシャーいなかったことは、マドリーにとって幸いであった。

 

交代でギアチェンジ

52分にカマビンガを投入。

そもそも彼が先発という話もあったくらいで、手を付ける可能性が一番高いところを後半の早い時間に変更。

サイドでのアイデアが増えるので、点を取りに行くのだというメッセージははっきりしている。ラテラルは好まないカマビンガにとってはちょっと酷な話だが、メリットの多い起用である。

 

メンディと比較してみると、厳しい場面でもボールキープできる点、必要な時に持ち上がれる点でカマビンガに軍配が上がる。

ビニシウスの発展途上な時期には、メンディも内側でプレーしたり積極的にサポートしたりしていたし、自陣エリア内でのルーレットなんていうプレーあったので、保守的なプレーヤーというわけではない。

今や左サイドはビニシウスのエリアになっているから、被るくらいならサポート程度にしておいて、守備で頑張るという意識なのかもしれない。

 

その点カマビンガは必要な時に必要なプレーがあるなら自分でやる気概があるように見える。

彼には本来のポジションに戻ってプレーする野望があるから、そういうことも前向きなエネルギーになっているようである。

とはいえ、この試合でのように追いかける場面での選択肢が少ないから、カマビンガが頑張れば頑張るほどラテラルでのプレー時間が増えそうなのは何とも切ない話ではあるのだが…

 

63分にモドリッチとホセルを入れて大きな変更は完了。

後方での安定感があるクロースから一列前でボールを動かせるモドリッチに替えたことで、攻撃にむかうメッセージが強まる。

また、先述の通り出て行ってしまいがちだった2トップをホセルとビニシウスのセットにしたことによって、中央の起点ができることが増えた。

ホセルが受けて中盤が前を向いて押し上げていく形によって、アタッキングサードでのプレーが続けられるようになった。

 

そうしてプレーエリアを押し上げていったことが、68分のベリンガムのゴラッソへとつながった。

コーナーからの流れではあったが、直前にチュアメニのミドルもあったように、バルセロナのブロックを下げさせていた時間帯だからこそのシュート機会でありゴールであった。

バルセロナも61分にレバンドフスキを入れ中央の軸を明確にしつつ、チャンスがありつつ決まらなかったところを決め切ってくれればという交代をしていたところ、マドリーがじわじわと自分たちの勝負できる環境を作っていたなという印象。

 

バルセロナ事情を察する

同点の後、バルセロナロメウラフィーニャ、ヤマルを投入。

ガビとロメウがボール回収してフレッシュな両サイドで前進、レバンドフスキが中央でという狙いに。

ガビは最後まで精力的で厄介な存在であり続けたが、彼のエリアに単独で侵入することがなくなり、選択肢を持った状態でプレーできることが増えたため前半のように制圧されることがなくなった。

 

一番警戒すべき、守備からの速い攻撃の起点となるプレーをあまりさせず、交代後の成果はマドリーの方が大きかったように感じられる。バルセロナとしてはここにペドリやフレンキーがいれば…というところだっただろうか。

 

サイドのプレーヤーは多く良い形を作れれば勝負できる。

ただし、その一歩手前の場面において、中央で攻撃を差配できる人材を欠いていたことが、後半のバルセロナにとっては悔やまれる結果となった。

 

さすがのモドリッチ、そしてベリンガム

同点で終わりと思っていたら、最後にドラマが待っていた。

アディショナルタイムに入り後方から繋ぐマドリー。ここでもカマビンガが前に運ぶ中心的な役割を担っていて、ぐっとアタッキングサードでのプレーに持ち込む。

ボールを動かす中でモドリッチがハーフスペースへ侵入、得意な形である。最終ラインは下がっており、2列目も追えない位置へ入り込むタイミングはさすが。

 

カルバハルのボールはやや浮いてしまい、モドリッチはトラップできなかったものの、ゴール方向にこぼれたボールが走り込んでいたベリンガムのもとへ転がり、うまく合わせてシュテーゲンを破った。

 

このゴール前に入ってきてくれるベリンガム個人の長所とともに、9番として中央で待つホセルがファーに動いてスペースを空けていたという組み合わせとしての長所が出た形と言える。

 

最後に

シャビの言うように60分まではバルセロナの試合であり、後半のチャンスどれかが決まっていれば全然違う試合になっていただろうから、先発組の最後の踏ん張りも見逃せない。

だが、結果的にアンチェロッティの途中交代がすべて正解となって、後半のギアチェンジで差をつけたといった印象の試合になった。

 

ボールを持っても効果的に進められないので、できればバルセロナに持ってもらってカウンターの方が良かったマドリー。

ここぞというところで細かいミスが出て先制点以降チャンスを生かせなかったバルセロナ

それぞれパッとしない内容だった試合展開から、アンチェロッティが先に動いたことで運をつかんだ。

 

課題としては、ビニシウスとロドリゴが消された時のプランBの確保である。

一番無難な選択肢はホセルを先発起用することだろう。ターゲットになれるし、スペースも作れて周りも生かせる。

だが、7と11を先発起用させたいクラブの事情もあり、ビッグマッチほどこの二人の先発になるものと思われ、彼らが個人で何もできない時に何ができるかを考える機会となった。

 

自由に動き回るのが良い2トップとはいえ、ある程度距離感は保つとか、中央のエリアに人は確保しておくとかの決まりがないと、それぞれでプレーしては1+1=2以上にはならない。

もちろん必要な時はアイソレーションして勝負してもらえばいい。

この試合のようにそればかりになってしまって、かつ相手が互角以上だとチームとしても攻撃がとん挫してしまうから、中央でつぶれるとか下がってきて変化をつけるといったような工夫がほしい。

 

全体の中でプレーすることが結果として個人も生きることに繋がっていくのだから、二人の関係を高めていくことを強く願う。