レアルマドリードのある生活

レアルマドリードの応援日記。試合中心にお送りします。

ラ・リーガ第6節 vアトレティコ

ここまでやってきたベリンガムシステムの並びを変えて完敗。

ビッグマッチで既存の形に手を加えたが、うまくいかなかった。

 

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■マドリーの先発メンバー

GK:ケパ

DF:ルーカス・バスケス、リュディガー、アラバ、フラン・ガルシア

MF:カマビンガ;バルベルデ、クロース;モドリッチ

FW:ベリンガム、ロドリゴ

 

46分:モドリッチ→ホセル、57分:フラン・ガルシア→メンディ、ルーカス・バスケス→ナチョ、カマビンガ→チュアメニ、70分:クロース→ブライム

 

クロース、モドリッチを併用し、ベリンガムが前線に移動。

 

アトレティコの先発メンバー

GK:オブラク

DF:ナウエル・モリーナ、エルモソ、ヒメネス、サビッチ、リノ

MF:サウール、マルコス・ジョレンテ、コケ

FW:モラタ、グリースマン

 

46分:コケ→ビツェル、65分:ナウエル・モリーナ→アスピリクエタ、82分:モラタ→メンフィス、86分:ヒメネス→コレア、リノ→ハビ・ガラン

 

サイドに見える構造的課題と質的な課題

アトレティコはミッドウィークのウニオン・ベルリン戦と同様5バックの布陣。

ミッドウィークにも効果的な攻撃ができず苦労しており、同格のアトレティコに対してはそれ以上に厳しい内容となることが予想された。

 

理由の一つは構造的な問題だ。

今シーズンのマドリーの基本形である4-3-1-2(4-1-2-1-2)は、サイドの人員がラテラルだけで、そこにインテリオールやベリンガムが関わっていくことになっており、サイドに常時いる人数としては手薄である。

ドリブルで打開できるビニシウスがいない今サイドを突破しようとするなら、サイドチェンジなどでスペースがある状態を作り出すしかないのだが、スライドが間に合うことが多い5バックだとそうなる可能性が低い。

 

もう一つは、カルバハルを欠いてルーカス・バスケスとフラン・ガルシアの量ラテラルとなっていることに起因する質的な問題だ。

大外の攻守を一人で取り仕切ることになっているラテラルには、スタミナをはじめとする身体能力、ボールを扱う技術、守備技術などなど幅広いことを求められている。こうして任せられる状況が得意なカルバハルは今シーズン水を得た魚のようにプレーしていた。

一方、バスケスとフラン・ガルシアはそうしたプレーヤーではない。攻撃時にチームにアイデアを提供できるプレーヤーではなく、あくまでサポート役として輝くタイプである。

 

そんな彼らにサイドの攻撃を一任させるのは酷で、特にクロスの質は悲しくなるレベルだった。

ファーに流れるボールだったりそもそも相手に当ててしまったりと、中にいるプレーヤーにチャンスがなく、これでは守備に脅威を与えることができない。

よってサイドに守備を寄せることも難しくなり、守備のずれを生み出す可能性が少なくなってしまう。

 

より大きな視野で考えると、ピッチでのニーズに合っていない戦力となった移籍市場での立ち回りはどうだったのかという疑問も確かにある。

だが、高価になりがちな万能型のラテラルを何枚も抱えておくことは現実的には難しいし、特にマドリーはピッチの状況と補強戦略が密接にリンクしているわけではない。

プレーが不安定かつ負傷しがちだったメンディを、カンテラーノで忠誠心のあるフラン・ガルシアに安価に置き換えられたことで良しとしなければなるまい。

 

そう考えると、4-3-1-2はベストメンバーではそこそこ機能するが組み合わせによって少なくともアレンジが必要だ。

負傷者の状況などによってはシステム自体の変更も検討すべきかもしれない。

 

ベテランの併用で得た教訓

このように、攻撃が苦しいことが予想されたから守備で手堅くプレーして1点を争う試合にしたかったところ、前後半ともに開始早々に得点を許してしまい厳しい試合にしてしまった。

アトレティコの狙いは手薄なサイドで高い位置を取るラテラルの裏で、得点の場面のほかに何度もやられていた。

 

 

守備的な役割は遂行してほしい両ラテラルがそれもできなかったことは今後に向けても痛い。

色々やってもらう立場になった結果、得意な分野がおろそかになるのはよくあることなので、このような守備の不安を見ても役割の整理は必要と感じてしまう。

 

また、クロースとモドリッチを先発させたことで、インテリオールの守備強度が若手よりも落ちたことも否めない。

途中からカマビンガとクロースを入れ替えており、中盤の組み合わせミスは明らかだった。

 

ではどうして彼らの先発併用したのかというと、その理由ははっきりしない。

 

作戦の意図としてはポゼッションの安定や、それによってウニオン・ベルリン戦で手詰まり感のあったアタッキングサードでのアイデアの創出ということが考えられる。

この辺についてはアンチェロッティが試合後に述べた内容の通りだ。

 

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しかし、開始早々の失点で試合全体の趨勢が変わってしまい、当初の意図が見えづらくなってしまった。

 

メンバーを見て、ビッグマッチにおいてはこれまでやってきた若手四人衆を解体し、信頼の厚いベテランに回帰することに肯定的な論調が広がることを私は懸念していた。

ベリンガムを加えて本格的に始まった世代交代の流れは重要である。今シーズンこれまでベテラン2人をローテーションに組み込む形で起用してきたことで、そうした方向に進むかのように見えていた。

 

それにもかかわらず、ビッグマッチではそうした流れに関わりなくベテランに頼る選択が続くと、シーズンが進むにつれて彼らへ依存する傾向が強まってしまうことになってしまう。

これでは他の面々の士気に影響するし、何より世代交代という大きな流れを押し留めることになる。

 

上で触れた通り、シーズンの中で4-1-2-3を採用するときに慣れたベテランをインテリオールに配置してタクトをふるってもらうという場面はあり得るというのが私の考えだ。

しかし、今シーズンの主たる布陣である4-1-2-1-2を採用する場合においては、若いメンバーが重要であることが明らかになったと言えるだろうし、ビッグマッチであることでより強く認識されたとも言えるだろう。

 

実際に以下のような報じられ方がされている。

ペレス会長が気に入るかどうかが全てではないし、ベテランを悪し様に言っている印象が感じられてやや気になるニュアンスがあるが、「今シーズン進むべき方向はどちらか」については再確認されたという解釈はできる。

 

 

 

このように進むべき道が確認されたことは、今回の敗戦で得られた教訓だ。

 

ロドリゴ、主役へのチャレンジ

トンネルを抜け出せないロドリゴについて少し触れておきたい。

 

この試合で、ホセルとベリンガムではなくロドリゴとベリンガムの組み合わせであったことから、彼にはまだチャンスがあるように見える。

「一旦控えに回そう」という選択から、一旦だったはずの期間がどんどん伸びていくことは往々にしてあるものだが、そうならずにまだ済んでいる。

 

一方で悲観的に見ると、2トップの形で組み合わせをどう変えてもロドリゴが効果的にプレーできていないのもまた確かだ。

自由に動き回るビニシウス、ポストプレーが得意なホセル、中盤との間を取り持ってくれるベリンガム。どのタイプと組んでもロドリゴが主役になっていないのである。

 

振り返ると、これまで彼は攻撃の中心ではなく強力なジョーカーとして立場を築いてきた。

ベンゼマやビニシウスが守備の目を集める中で、得意ではない右サイドでのプレーをこなすことによってやってきたのだ。

 

今シーズンもビニシウスが主役ではあるが、ロドリゴは彼の引き立て役として2トップを組んでいたわけではない。

ロドリゴもまた主役として輝くことを強く期待されているのである。それは11番をつけていることからも明らかだ。

望まれた立場に立つべく、チャレンジを続けてほしい。

 

最後に

デルビーでの敗戦となるとどうしても重苦しくなってしまうが、序盤で短所や課題が見えたことは前向きにとらえたい。

 

ここまで勝ってきたので忘れてしまいがちだが、今シーズンは新しいことを始めているシーズンである。

うまく消化して更なる発展を遂げる可能性は十分にあるので、そこに期待して見ていきたい。