レアルマドリードのある生活

レアルマドリードの応援日記。試合中心にお送りします。

CL決勝トーナメント準々決勝第2戦 vマンチェスターシティ

アウェイで歴史に残る激闘。

120分を凌ぎきってペナルティ戦で準決勝進出を決めた。

 

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■マドリーの先発メンバー

GK:ルニン

DF:カルバハル、リュディガー、ナチョ、メンディ

MF:カマビンガ、クロース;バルベルデ、ベリンガム、ロドリゴ

FW:ビニシウス

 

79分:クロース→モドリッチ、84分:ロドリゴ→ブライム、102分:ビニシウス→ルーカス・バスケス、110分:カルバハル→ミリタン

 

チュアメニが出場停止のためカマビンガが先発。

 

マンチェスターシティの先発メンバー

GK:エデルソン

DF:ウォーカー、アカンジ、ルベン・ディアス、グバルディオル

MF:ベルナルド・シルバ、ロドリ;フォーデン、デブライネ、グリーリッシュ

FW:ハーランド

 

72分:グリーリッシュ→ドク、91分:ハーランド→フリアン・アルバレス、112分:デブライネ→コバチッチ、アカンジ→ストーンズ

 

主力が帰ってきて第1戦より陣容が整った。

 

背景

第1戦は3-3でドロー。

セットプレーの準備にまずさがあり開始早々2分にベルナルド・シルバに決められたものの、マドリーにはカウンターの糸口があり、左のロドリゴと中央のビニシウスで攻め切る形を作れていた。

 

エデルソン、デブライネらがおらず、シティのボール保持と勝負どころの選択にはやや甘さがあったように思う。最後まで崩し切るほどには徹底されておらず、そのためマドリーに攻撃の機会があったという構図だった。

 

崩し切るところまでいかないので押し込んでからミドルを狙う機会が出てきて、シティはフォーデンとグバルディオルがエリア外から得点を挙げた。

それに対しマドリーはビニシウスのクロスをバルベルデが叩き込むゴラッソで追いついている。

 

先制するも…

そして第2戦。シティは離脱していた面々が帰ってきた。

デブライネの復帰によって彼とベルナルド・シルバが揃い両サイドで勝負することができるようになった。

また、ビニシウスを単独で抑えられるウォーカーが最終ラインに入ったこと、配球できるエデルソンがGKに戻ったことで、後顧の憂いなくボールを保持して押し上げられる。

こうしたことから、確率が高い勝負のパスを入れられるチャンスが第1戦に比べて増えていた。

 

これに対しマドリーは4-4とロドリゴがブロックを作って対抗。

グリーリッシュにカルバハルが応対するため大外が空く場合は、バルベルデが最終ラインに入って5バック化し相手を見ていた。

出ていけるチャンスで出ていくのはまずビニシウス、ロドリゴ、ベリンガムで、キープできれば全体で押し上げるがとにかく無理はしない判断のよう。カルバハルのクリア気味のボールをベリンガムが収め、ビニシウス、ロドリゴと繋いで挙げた先制点は、低リスクでやりきるこの狙い通りの形だった。

 

しかし、時間を経るごとにシティのボール保持の正確性が際立つようになっていく。

第1戦の教訓を踏まえ、マドリーはミドルシュートを狙えるサイドから中央へのマイナスのパスへのケアを集中していたが、シティもさすがでそこでギャンブルせずやり直す。

よって、もう一度守り直す必要に迫られ、自分たちの時間をほとんど持てない状況が続いた。

 

マドリーはボールを回収出来たらクロースがボールを供給して前線の少人数で攻め切りたかった。だが、シティもそこが主たるルートなのはわかっているので監視が強い。またボール保持の形が良いので不用意なロストも少ない。

狙ったように良いボールが供給できる形は少なく、先制点のように偶然に頼るような形でしか自陣から脱出できず、ゴール前のバスを動かせない時間が続いた。

 

メッシ的存在の有無

グアルディオラのチームに対してこういうブロックを作って臨んだ時、かつてはメッシがいた。

自分で縦にいける選択肢を持ちながら味方を使えてワンツーも受けられる彼は、作っていたブロックを外側から単独で破壊できる力の持ち主であり、彼によってケアしなければならないポイントが増えていた。

 

今回のシティにおいて、そうした存在は見当たらなかったことはマドリーにとって救いだった。

ハーランドにはゴール方向を向かせない対応を続けて試合から消した。

また、脅威となる2列目の面々は、対応を間違えない限りは単独で仕掛けるよりもパスを選択する雰囲気があり、辛い状況でも勝負させるポイントをある程度は限定できていたように思われる。

 

ボールを手放さないままスピードアップするには、狭いスペースの中のどこかで無理できるプレーヤーが必要だ。

地上戦だったメッシとは異なるものの、例えばハーランドに空中戦を含めた1v1を頑張ってもらうという選択肢もあったと思うが、この試合ではとことんボール保持にこだわった印象だった。

 

唯一異色だったのは72分から出場したドクで、毎回前を向いてドリブルを仕掛けていた。

明確にやられた場面はなくてもこういうプレーヤーがいると攻撃にスピードが生まれるきっかけになるし、事故が起きる恐れも高まる。

グアルディオラとしては試合が混乱していくのは本意ではないのかもしれないが、疲れてくる時間に試合を混乱させ得る面倒な存在であった。

 

1点でしのぐ

そして76分に同点。えぐられて入れられたボールをクリアミスしたところをデブライネが決め切った。

 

1回の失点をきっかけにバタバタと失点を重ねてしまうのがよくある試合展開である。昨シーズンの対戦でも一気にやられたところがあった。

しかし、ここから2点目を与える隙を見せなかったのが今シーズンのチームの強さだ。

 

守備に走って疲労が見え、攻撃面ではパス供給の役割が大きく制限されてしまっていたクロースをモドリッチに替えて中盤をフレッシュに。

守備で頑張れ、ボールを自力で持ち上がれるモドリッチが入ったことで、体力的に厳しい時間帯にシティに下がらせることができる場面も作れた。

失点したら非常に苦しくなるのはシティも同じ。終盤や延長に入ってから危険なプレーを見せられたことによって、息継ぎしつつ試合を進めることができたと言える。

 

とはいえ、マドリーに2点目を取れるチャンスはほぼなかった。

ロドリゴをブライムに替え、ビニシウスをルーカス・バスケスに替えた時点で、少人数で攻め切る形を完全に失っており、PK戦狙いでやむなしという雰囲気に。

 

PK、最後に

PK戦では、ここまで落ち着いてプレーを続けたルニンが引き続き良いプレー。先に飛んでしまうことも少なく、止められるチャンスが多いプレーをできていた。

 

PK戦は運と言われるが、控えGKのケパによるアドバイス、たくさんのプレーヤーが蹴りたいといったというアンチェロッティが語ったエピソードなど、プレーしている人たちだけではないチーム力が問われるものだということを実感させられることとなった。

 

今のマドリーは「強い」というよりも「負けない」という方が適切かもしれない。

アウェイで相手のペースの試合となった時、それを自分たちの方に取り戻すのではなく、その流れに対応してやりきってしまえる。

ギリギリのところでとどめは刺されないように耐えられる力は、大一番に強いマドリーたるゆえんだが、新しいチームにもその力は確実に受け継がれているようだ。