今朝、チュアメニが31年までの契約延長に合意と大きく報じられた。
高い移籍金が期待できることから中盤の放出候補筆頭とされてきたチュアメニだが、このタイミングで契約延長となれば、今夏の放出は99%以上なくなることとなる。
まだ公式発表はされていないものの、この契約延長はマドリーにどのような影響をもたらすのだろうか。
中盤の補強戦略の後退
影響の1つ目は、中盤の補強戦略の後退である。
チュアメニ、カマビンガ、場合によってはバルベルデも売却候補として中盤の補強を考えていたのは、この2シーズン彼らを主軸とした中盤で攻撃を作ることができなかったという苦い経験による。
クロース、モドリッチの後継たる戦力を加えず、アスレチック能力に優れた面々の技術的な成長に期待したアンチェロッティのラストシーズン。
多少のミスには目をつぶると明言してギュレルを一列下げて使ったアロンソ期と、ピタルチらカンテラーノに期待したアルベロア期。
こうした組み合わせの試行錯誤は実を結ばず、クラブが求めるスムーズな移行に失敗している状況である。
そのため、ピボーテの序列トップであるチュアメニを売却してでもエンソ・フェルナンデスのようなプレーヤーと契約し、攻撃を作れる中盤の復活を目指したのが今夏のこれまでの動きだった。
チュアメニが契約延長となれば、4-2-3-1になるといわれるモウリーニョの布陣のドブレピボーテ+メディアプンタの3枠に対しチュアメニ、ベリンガムは確定。
残り1枠をバルベルデ、カマビンガ、ギュレルで奪い合うこととなる。
ここにさらにクラックを一人追加すると、ポジション争いが事実上なくなることとなり、バルベルデ、カマビンガが不満分子化する恐れが強まる。
こうした事態を避けるためには、彼らを売却するというような大規模な改造をする必要が出てくるが、貴重なクラブ内育成選手を手放すリスクは大きい。
また時期としても、もう7月も2週目であり、そこまで手を付けるにはやや時間が足りないように思われる。
このように、バルベルデやカマビンガに相応の額のオファーがありプレーヤーが移籍に合意するなど、よほどの動きがない限りは当初の中盤の補強戦略は後退することになると思われる。
他ポジションでの売却の加速
影響の2つ目は、他のポジションにおける移籍のスピードアップである。
これまでにベルナルド・シルバ、コナテ、ククレジャ、ドゥンフリースと補強を進めてきたマドリーは、今後の補強をするための枠を空けるべく、売却を進める時期になってきている。
買戻し額の500万ユーロを下回る400万ユーロでベティスと合意したと報じられているフラン・ガルシアの移籍はこの文脈に位置づけられるだろう。
しかし、中盤で売却できそうなプレーヤーがいなくなったことで、他のポジションのプレーヤーを売却する動きが強まっていくことが予想される。
実績のあるプレーヤーをモウリーニョが求めているとされるセントラルでラウール・アセンシオ。
帰ってくるエンドリッキ、W杯で価値を高めているブライム、中盤の情勢によってはバルベルデと、多士済々の右エストレーモで埋もれないようにする必要があるマスタントゥオーノ。
ラウール・アセンシオ同様、実績の部分で不安視される可能性があるゴンサロ。
契約延長交渉の状況によっては市場に出すことになるかもしれないビニシウス。
こうした面々は、それぞれの事情とモウリーニョの意向の組み合わせにより、移籍が急速に進展する可能性がある。
マドリーとしては金銭よりも枠を優先する状況で、売却がなければさらなる補強もないため、ある程度は条件を下げても合意に向かうかもしれない。
参考になるのはフラン・ガルシアやニコ・パスの事例。
将来の移籍金の50%の権利をつけたり、買い戻しオプションを設定することで来夏以降に手放す決断を先送りにしたりする手法を使ってクラブ間合意を取ることが考えらえる。
攻撃が変わらない恐れ
3つ目の影響は、攻撃を作ることができない状況を変えられないままになるかもしれないこと。
先に述べたように、そもそも中盤の入れ替えを目指したのは攻撃を作れず、持っている戦力を最大限生かせていない2シーズンから脱却するためだった。
しかし、チュアメニが残留したことで、中盤はフリーのベルナルド・シルバが加わるくらいの変化に留まると思われる。
ベルナルド・シルバの能力と実績には文句のつけようがないが、他方でフリー移籍であるという事実は重く、序列として優先されない可能性は残っている。
この2シーズンとほとんど変わらない戦力と序列で、監督だけが変わることで劇的な向上が見込めるだろうか?
こうした疑念が最初からある状態で、マドリーは新シーズンを始めることとなる。
少しでも躓けば「やはり」と指摘されてしまう状態であり、モウリーニョとチームはそのルートにはまらないよう進んでいかなければならない。
モウリーニョがひとまず蓋をするだろうとはいえ、昨シーズンまでの火種が残っている。序盤からスムーズにいけないと、モウリーニョごと再燃するリスクは抱えている。
そうならないためには、既存の戦力が変わってくれることに期待しなければならず、この点においてはモウリーニョ効果に期待するしかない。