レアルマドリードのある生活

レアルマドリードの応援日記。試合中心にお送りします。

リーガ・エスパニョーラ第3節 vレバンテ

代表戦明けはいつも難しい。その印象を強くする試合となった。

■マドリーの先発メンバー

GK:カシージャ

DF:カルバハル、ナチョ、セルヒオ・ラモス、テオ

MF:クロース、マルコス・ジョレンテ;ルーカス・バスケス、アセンシオ、マルセロ

FW:ベンゼマ

28分:ベンゼマ→ベイル、62分:マルコス・ジョレンテ→イスコ、72分:ルーカス・バスケスコバチッチ

ジダンはがらりとメンバーを替えた。CLのスタートも見据えて、コンディションを重視したということだろう。

■レバンテの先発メンバー

GK:ラウール

DF:イバン・ロペス、ポスティゴ、チェマ、トーニョ

MF:ハソン、カンパーニャ、ピエル、レルマ、イビ

FW:アレグリア

20分:イバン・ロペス→ペドロ・ロペス、55分:アレグリアボアテング、68分:イビ→サム・ガルシア

■誤算

代表組はコンディションが良くなく、ローテーションにより慣れない組み合わせを採用したこともあって、攻撃は停滞気味。これはジダンも想定済みだったはず。ボールを持たされる展開が続く中で、どこかで点が取れれば良いというくらいだったのではないだろうか。チームを信じるにしても、この状況で問題ないレベルでプレーができると考えるほど楽観的ではないだろう。

しかし、誤算が2つ。

1つ目は早々に先制点を許したこと。

12分にイビにゴールを決められ、追いかけなければならないことになった。ただでさえ攻撃がうまくいかないであろう状況なのに、2点は遠い。先にゴールを与えることは絶対に避けなければならなかったのに、あっさりとリードを許した。

レバンテは自信をもって試合に入っていくことになったし、1失点しても勝ち点1をベルナベウから持ち帰れるという事実は精神的に余裕を与える。まずしっかり守れば良くなったことから、守備の集中は増し、マドリーの攻撃の展開にスライドしてついてくることができていた。

2つ目はベンゼマの負傷交代。

中盤から良い形でボールが進んでいかない時に、前線で起点になってくれるベンゼマの存在は重要だったのだが、28分で負傷交代となってしまった。

これにより、中盤より後ろでボールが行ったり来たりするだけの時間が増えることになって、エリアに多く侵入してチャンスを作ることができなくなった。

確かに得点の面ではベンゼマは物足りないが、前で受けて中盤を生かしてくれれば、持たされるボールポゼッションを能動的なものへと変えることができる。その機会を失って、攻撃が難しくなったことは否めない。

代わって入ったベイルは、9番としてのプレーには不慣れで、効果的とは言いがたかった。散発的な裏抜けや、クロスにあわせる形で、試合を通して何度かチャンスはあったので、彼の価値を考えると、どれか1つくらいは決めるべきだっただろう。流れに関係なくゴールを決められるからこその彼の値段なのに、今はどこにいても並のプレーだ。

いかにも悩んでいる風なのも印象が悪い。観客からのサポートも受けづらくなるし、チームメイトもボールを出すことに躊躇するかもしれない。ふてぶてしくボールを受けてゴールを狙う様を演じて見せた方がうまく物事が回っていくように思うのだが、彼は少し真面目すぎるようだ。

ジダンの選択ミスも

こうした誤算はあったが、ジダンの選択ミスもいくつか見受けられた。

最も目立ったのはテオとマルセロの併用。

やり繰りの結果とはいえ、マルセロが前のスペースに居座ることが多くなっていたことから、後ろから駆け上がりたいテオの良さが出た場面は少なかった。

併用するにしてもマルセロにサイドから中央に入ってプレーするようにするとか、よりそうした傾向を持つ中盤が本職のプレーヤーを起用するといった対策は必要だっただろう。

終盤になってマルセロがポジションから離れることが多くなったことから、テオはサイドを動けるようになったが、時間は少なかった。リズムも良くないままだったので、チャンスにならない酷いクロスを連発。彼らの併用でメリットは得られなかった。

マルコス・ジョレンテとクロースの組み合わせも良くなかった。

ボールを持ってもマルコス・ジョレンテは偉大な先輩であるクロースに展開を任せてばかりで、彼らしいプレーをしていなかった。守備面での貢献はともかく、ボールを持つ時間が長い試合でこういう役割の重複があるともったいない。より守備的なカゼミロと組ませたり、逆に攻撃的なイスコと組ませたりして、役割分担出来る方が良い。

もっと我を出してくれるという期待もあったのかもしれないし、その点についてはマルコス・ジョレンテがおとなしすぎたということもできるだろうが、結果としてはジダンの先発の選択が悪かったということに。彼には別の形でチャンスがあればと思う。

最後に、マジョラルを招集しなかったこと。

モラタとマリアーノが去ったセンターフォワードの補強をせずにシーズンが始まった以上、またジダンもマジョラルへの信頼を述べていた以上、せめて招集はしておくべきだった。

中盤の層に比べてこのポジションの層は薄い。かといって、うまくいっていないベイルに任せるなら、本職のマジョラルに期待する方が自然だ。

こうした状況でマジョラルが招集されずベイルが招集され、アクシデントの際に真っ先にピッチに入ったことで、「ベイルが過度に優遇されているのではないか」という疑念が強まることにもなりかねない。それはベイルにとっても不幸なことだ。

オフの補強策の是非はともかく、現状の戦力がこうなっている以上、マジョラルには相応のチャンスがあるべきだろうし、そうであるならば、大幅なローテーション策を取った今節は良い機会だったはず。

その意味で、彼の招集外はもったいなかったし、ベンゼマの負傷によって、結果的にフォワードがいないメンバーで試合に臨んだジダンの判断が間違っていたこととなった。

■久々にセットプレーから光明が

悪いことばかり書いてしまったが、コーナーからルーカス・バスケスのゴールで追いつけたのは良かった。勝ち点1に留まったことで忘れられがちだが、ゴールはゴール。

久々にセットプレーからゴールがあったし、最初に合わせたのはまたもセルヒオ・ラモス。また今シーズンもセットプレーは危険だと印象付けられただろう。そうなればファールを避けるプレーにもなるし、コーナーも与えたくないから守備は考えることが増えて、攻撃はよりやりやすくなる。

こういう流れの中では厳しい試合でセットプレーで点を取れるかどうかは、リーガではもちろん、CLでも重要なポイントになりうる。今シーズンも「93分の男」が何度も現れるかもしれない。

■最後に

終盤、勝ちこせるかというところでマルセロが暴力行為で退場となって機運は失せてしまった。

11人いてもゴールが入るかどうかは別問題だが、全く必要のない行為。それだけ不満の溜まる試合展開だったと捉えるしかないが、何とも残念。

結局、バレンシア戦に続いてベルナベウで引き分けに終わった。

昨シーズンも4連続引き分けがあったし、序盤なのであまり深く心配する必要はない。終盤にピークを持ってくるために、今の時点では無理しない方針なのははっきりしているから、どうしてもこういう試合は出てきてしまう。

ただ、それはシーズン全体でのこと。試合ごとに区切ってみるならば、ピッチに立つ以上はまず勝利、その上でより良い内容を目指してもらわなければならないわけで、その点については不満ばかりが残る試合となった。

ローテーションで出場機会を得た面々はチャンスを生かすようなプレーではなかったし、普段の先発組がその威信を示すこともなかった。挙句の果てに第2カピタンが要らない行為で退場となってはどうにもならない。

出るからには、それなりのプレーがないとローテーションしても意味がない。油断があったならば、それを正す良い機会としてほしい。

次節はアウェイでラ・レアルと対戦。

依然としてロナウドは出場停止、マルセロも出場停止で欠くこととなるが、誰がプレーするにせよ、この2試合の教訓が生きるようなプレーになれば。