好調が続いてきたが、ここにきて停滞ムード。勝ったことだけがポジティブな要素という試合となった。
■マドリーの先発メンバー
GK:クルトワ
DF:カルバハル、バラン、ナチョ、レギロン
MF:カゼミロ;モドリッチ、クロース
69分:クロース→バルベルデ、74分:ベンゼマ→ベイル、83分:ビニシウス→アセンシオ
セルヒオ・ラモスの代役はナチョ。その他は現状の序列順といった面々。
■レバンテの先発メンバー
GK:フェルナンデス
DF:ベソ、カバコ、ピエール
MF:バルディ、カンパーニャ;シモン、ロキーナ、ルナ
FW:マルティ、モラレス
60分:ロキーナ→ドゥクレ、73分:マルティ→ドワメナ、89分:バルディ→ブクセビッチ
中位につけるレバンテ。ホームで勝ち点15、アウェイでも15と、アウェイで頑張っている成績。
■勝っただけ
ミッドウィークに試合がなく、1週間空けての試合で、コンディション的にはこれまでよりマシな状態で臨めるものと思われた。
負傷者も減ってきており、表向きは終盤に向けて戦力が整いつつあるように見える。
だが、この試合でも前節同様攻撃が低調。得点は2つのペナルティによるもののみであった。
原因としては、ビニシウスから始まる左サイドの攻撃への対策をされ始めていることが大きい。
今のところビニシウスが一番良いのは味方を生かすパスなので、まず内側へのパスコースを消す。その上でドリブルに対しては複数で応対し、スピードに乗らせるスペースは与えない。ミドルレンジでのシュートの優先度は低くてよく、周囲と近い距離感で連携をとらせなければ問題は少ない、といったポイントを押さえられている。
彼が一番外に開いてその内側を使う、という仕組み自体は良い。
この形の最も大きな課題は、彼自身の得点力が脅威になっていないという点だ。
良いシュートが枠に飛ぶというイメージが守備側にあれば、切るコースも変わりドリブルやパスの選択肢が増えるが、現状ではそれほどの認識を与えるに至っていない。効果を高めていくにはその点を改善していく必要がある。
チームとしては、左サイドが抑えられた時に他に良い手段がないことが痛い。
右サイドは堅実だがそれ以上ではないし、中央はより難しい。ベンゼマが下がってくれば変化は付けられるものの、そうなると最前線の枚数を欠くことになるから、微妙なバランス調整が必要になってくる。
こうしたことから、現有戦力では、大きなブレイクスルーがない限り左で勝負する構造はあまり変わらないと考えられる。
ビニシウスを出発点とした攻撃の進化に期待しつつ、攻撃の迫力を補うため守備の安定は意識して試合を進めていかなければならないだろう。
■ベイル
得点後のベイルの振る舞いについては、多くの報道がなされているが、本人が何も語っていないので、本心がどういったところにあったのかはわからない。
ただ、本心が如何なるものであっても、少なくとも表向きは波風の立たない態度を保つべきだったということは言える。
扱いや人間関係に問題、不満があるなら、外部の人の目に触れないところでしっかり議論すれば良い。見えるところでこうした態度を取るとあることないこと書かれることになるのだし、それで一番不利益を被るのはベイル自身だ。
ポジション争いをしているビニシウスやバスケスが味方のゴールを喜んでいるのに、と言われるのは、単純にもったいない。
良いように解釈すれば、内向的で真面目な彼にとっては、こういう自分が取ったものでもないペナルティは大きく喜ぶほどのものでもなく、次のプレーへ向かいたいという思いもあったのかもしれない。
だとしても、味方の気持ちも受け止めつつ、自分の意欲の表現も両立するやり方が合っただろうと思ってしまうし、もはや若手ではない彼ならそうした要求に応える義務もあるだろう。
クラブとしてさほど大ごとにしていないところを見ると、良くも悪くもベイルの扱いは変わっていないし、今後も変わらないということでもあるのだろうと考えられる。
主力であれば、こういう騒動で序列が下がるといったことも考えられるのだが、逆に彼の置かれている立場を慮るような雰囲気になっているから、そういう位置にはいないということなのだ。
要するに、ベイルが技術的にも精神的にも絶対的な主力ではなく、サブとして有効な駒でしかないという評価が、この騒動で改めて浮き彫りになったということになる。
彼にとっては、残酷な現実が可視化されたように思われる。
■最後に
今節を受けてバルセロナとの連戦を見据えると、不安は大きい。
対策がなされつつある攻撃に改善を施すために、できるならもう数試合ほしかったというのが正直なところだ。
ただ、試合の中で見出される光明もあるものだ。そういう期待は持っていたい。
バルセロナとの試合では、いつでも得がたい経験を得られる。特にリーガは、プライドを別にすればタイトルを直接左右するような状況での試合ではないから、縮こまらず、勇気を持った選択を、ソラーリもプレーヤーもしてほしいと思う。